レビュー
Wi-Fiルーターはどこに置く?「電波の飛び」と「見た目」で色々試してみた!
デザインと色、電波の飛びを検証してみる、「クローゼットの中」も!
2021年5月31日 10:00
Wi-Fiルーターを設置しよう、となると、気になるのが「電波の飛び」だ。家中ちゃんと通信できるようにしたいし、あまり広くないお宅でも、「風呂には電波が入りにくい」なんてこともあったりする。
しかし、「どこでもいいか?」というと、そうでもない場合も多いだろう。「性能重視」で気にしない人もいる反面、「トゲトゲ」した見た目を気にしたり、掃除の手間を考えたりで、物陰に隠したり下駄箱の中にしまってしまう人もいるようだ。もちろん、下駄箱の中では電波の飛びは落ちるはずだが、「それでどのぐらい変わるのか?」が気になる人もいるだろう。
そこで今回、「Wi-Fiルーターの置き場を考える」というテーマで、「電波の飛び」と「見た目」を検証してみた。
題材にしたのは、トゲトゲしてないキューブなデザインのASUS「ZenWiFi AX Mini」と、オーソドックスなWi-FiルーターであるASUS「RT-AX55」の2製品。いずれも最新規格であるWi-Fi 6に対応する最新モデルだ。同社の独自機能「AiMesh」にも対応し、対応製品を追加することで、電波の到達範囲を拡張できる。価格は、オーソドックスなRT-AX55がちょうど1万円前後で、ZenWiFi AX Miniがおおむね1万2000円ほどだ。
ちなみに、検証前は「価格差はデザインの違い」と思っていたが、検証してみると、電波の飛びはZenWiFi AX Miniのほうがいいくらいで、普通のルーターではあまり飛びにくい風呂場でもしっかり電波が入っていた。こうした点を含め、モデルによって電波の飛びと見た目の印象がどう変わるかを確認してほしい。
Wi-Fi 6と独自メッシュ「AiMesh」に対応「ZenWiFi AX Mini」と「RT-AX55」
ASUSの「ZenWiFi AX Mini」と「RT-AX55」に共通するのが、Wi-Fi 6に対応し、5GHz帯が1201Mbps、2.4GHz帯が574Mbpsの最大通信速度となることと、ASUS独自のメッシュWi-Fi機能「AiMesh」に対応する点だ。
iPhone 12/11の各モデルはいち早くWi-Fi 6に対応しているし、Androidにも対応スマホは増えている。また、現在販売されているノートPCも、多くがWi-Fi 6に対応している。Wi-Fi 6ルーターであれば、1人暮らしなら余裕すらありそうなポテンシャルがある。
むしろ、ワンルームや1DKのような間取りの部屋であれば、2台以上のメッシュはオーバースペック気味かもしれない。サイズが小型すぎることから不安になるかもしれないけれど、1台ちょこんと置いておくだけで快適なWi-Fi通信が可能になるのだ。
メッシュWi-Fiに対応しているので、AiMesh対応のWi-Fiルーターと組み合わせれば、電波が届く範囲をシームレスに広げられる。将来的に広い家に引っ越したときに、家中どこでも安定して高速に通信できる環境が整えられるわけだ。
なお、それぞれの製品の詳細については、以下のレビュー記事を参考にして欲しい。
自己主張のない小型デザインの見た目はまるでオブジェ!?女性の部屋に映えるホワイトの「ZenWiFi AX Mini」
さて、最初にシミュレーションしてみるのが、女性が暮らしていそうな部屋だ。
明るい印象のこの部屋には、ZenWiFi AX Mini、しかもホワイトが似合いそう、ということで、さっそく検証を始めてみた。
本来、Wi-Fiルーターは、目に見える場所に置いておく必要はない。できるだけ目立ちにくいところにこっそり設置して、それでいて高速なインターネット接続を提供してくれる縁の下の力持ち的な存在だ。ただ、通常は同心円状に電波が広がるので、できるだけ室内の中央辺りに設置しておきたい。
ところで、もしこの部屋に、ZenWiFi AX Miniではなく、ほかのWi-Fiルーターを置いてみると、どんな見た目になるだろうか。
今回は、RT-AX55とZenWiFi AX Miniのホワイトモデルを室内4カ所へ順次設置し、それぞれの場所でWi-Fi 6対応スマートフォンを使って電波の強さなどを計測していくことにした。
【パターン1】ソファの横にある小さなテーブルの下
その意味で最もオーソドックスな設置場所になるのは、今回の部屋であればソファの横(間取り図では上)にある小さなテーブルの下だろう。さりげなく置かれたZenWiFi AX Miniは、一見するとWi-Fiルーターとは思えず、もはやインテリアの1オブジェ。これがまさかWi-Fi 6に対応する高速なWi-Fiルーターだと誰が思うだろうか……。
RT-AX55は、実売1万円弱とやや安価ながら、黒を基調とし、4本のアンテナが目立つWi-Fi 6ルーターで、サイズや見た目だけが違う、と言ってもいいだろう。だが、ブラックのZenWiFi AX Miniといい、女性らしい部屋へ設置したときには、やっぱり違和感がハンパない。
さて、見た目重視で選んだとはいえWi-Fiの性能も気になるところなので、簡単に電波強度とデータ転送速度もチェックしてみよう。ルーターの近くと、ルーターから遠い場所で、Wi-Fi 6対応スマートフォンを使ってLAN内のデータ転送速度を計測している。
さて、見た目重視で選んだとはいえWi-Fiの性能も気になるところ。そこで室内におけるWi-Fiの電波の届きやすさを数値で具体的に知ることができる電波強度と、データを実際に転送したときの速度をチェックしてみた。
【パターン2】リビングにあるテレビ台の上
これほどまでに小さいサイズで、インテリアとしても成り立つのであれば、あえて目立つ場所に置いてしまってもいいかもしれない。例えばリビングにあるテレビ台の上に、テレビと並べて置いてみるとどうだろう。視聴中は常に視界に入ってしまうとはいえ、背が低く自己主張もしないZenWiFi AX Miniなので、目障りに感じることはなさそうだ。
【パターン3】寝室の隅
寝室の隅の方に、ほかのインテリアといっしょに並べてしまっても、違和感は一切ない。遠目には隣にある置物や観葉植物と同じレベルの存在感で、近づいて見たところで「アロマディフューザーだから」と言い張られると納得してしまう……ような気がする。部屋の反対の隅にあるキッチン棚上でも、食器かキッチングッズの何かに見えて、ほかの人にはWi-Fiルーターと気付かれないかも。
【パターン4】クローゼットの中
Wi-Fiルーターは見た目がよろしくない……、そんな印象を持っている人も多いだろう。クローゼットや靴箱の中へ収められた状態でWi-Fiルーターは使っている人も、案外多いものだ。
ただし、そのようなに閉じた状態は、電波にとって基本的にはいいこととは言えないはず。そこで、実際にクローゼットの中へWi-Fiルーターを置いてみて、電波の強さがどうなるのかを確かめてみよう。
※クローゼット内にWi-Fiルーターを収納すると、扉を閉じた際にインターネット回線や電源まわりの配線ができない場合があります。また、周囲の環境によっては発熱が高まり、万一の場合は発火する恐れなどがあるため注意しましょう
【パターン5】ダイニングテーブルの上
最後に、あまり現実的な設置場所ではないものの、2人掛けの小さなダイニングテーブルの上にも置いてみた。さすがに邪魔になるかな……とも思ったのだけれど、意外にもスペースには余裕があり、食卓にあってもさほど不思議ではないオブジェとなった。楽しい食事を演出するテーブルランプのような雰囲気すら漂う。
90台が1カ所、80台が2カ所と電波強度は一番強いが実用性に難?
部屋の中心に当たる位置だけに、電波強度は良好。特にZenWiFi AXMiniの数字は、90台が1カ所、80台が2カ所とかなりの数値。RT-AX55も、転送速度としてはいい値となっている。
いかがだろうか。実用的とは言えない場所に置くことになっていたりして、なんだかちょっと「無理があるなあ」という感じかもしれない。もちろん、無理のある場所に置かず、Wi-Fiルーターのサイズに合わせた適切なスペースに設置すればいいのだけれど、それはつまり、一般的なサイズの機器だと設置場所の選択肢が限られるということでもある。
コンパクトなキューブタイプのZenWiFi AX Miniなら、そんな狭いスペースでも余裕で置けるという自由度の高さが得られる。目障りにならないシンプルなデザインなので、隠さず堂々と置いてしまってもいいかもしれない。
ワンルームの広さであれば、電波の強さや速度はどの場所でも十分
計測した結果では、値が大きいほど電波強度が強いことを示している。室内のどの地点でもある程度の強さを確保できていた。これならインターネットを通じて動画コンテンツやクラウドサービスなどを利用する際に、Wi-Fiがボトルネックになることはまずないだろう。
そして電波強度については、アンテナが外付けのRT-AX55より、アンテナを内蔵するZenWiFi AX Miniの方が、全般的に強めの結果となった。これは、「電波の飛び」がアンテナの大きさだけではなく、「製品設計やチューニングにもよる」ということを示しているのだと思われる。今回は時間の関係でできなかったが、アンテナを細かく調整すれば、また違った結果になる可能性もある。ただ、調整が不要で電波強度を確保できるZenWiFiは、かなり魅力的な製品と言えるかもしれない。
また、クローゼット内については、特にZenWiFiでは木造なのが功を奏してか(?)、電波強度への影響が小さいことが確認できた。ただ、扉や棚がスチール製だったりすると電波強度へ悪影響があることは否定できない。状況に寄りけりだが、電波の入りが悪い場合には、まず疑ってみた方がいいかもしれない。
男性向けの部屋にブラックの「ZenWiFi AX Mini」で決まり!?
さて、今度は男性っぽさをイメージさせる部屋でシミュレーションしてみた。男性っぽさをイメージさせる部屋にも、コンパクトなZenWiFi AX Miniは意外とよく似合う。もちろんホワイトもいいのだけれど、今回のシミュレーションの場となった部屋は全体的に濃い色調の家具が多いので、ブラックがイメージに合いそうだ。
なお、電波強度については、前節で傾向がつかめたと思うので、この部屋ではデザイン面のみを確認してみた。
【パターン1】テレビ&家電用ラック
まずはテレビやゲーム、キッチン家電などがまとめて置かれている棚に、紛れ込ませるように設置してみた。周囲の色調もブラックなので、一瞬どこにあるのか分からなくなるほどZenWiFi AX Miniがカムフラージュしているのがお分かりいただけるだろう。
【パターン2】ベッド脇のサイドテーブル
ベッドの枕元にあるサイドテーブルに置くのもアリだ。外部アンテナを備えたいかつい姿のWi-Fiルーターがあると、それだけで「100%テッキーな空間」になってしまうが、ブラックのZenWiFi AX Miniなら、部屋のテイストに同化し、落ち着きある大人の部屋みたいな空気感を演出できる気がしてくる。
Wi-Fi 5からの乗り換えにも、新生活を始めたばかりの人たちにもおすすめ
Wi-Fi 6に対応するスマートフォンやノートPCを手に入れたとき、できれば、その高速性能を生かしたいと考えるのは自然なことだ。最近は安価なWi-Fi 6ルーターが続々と登場してきているので何を選ぶべきか迷ってしまうが、1Gbpsを超える無線通信が可能なWi-Fi 6対応の時点で、性能としてはどれも十分。あとはデザインが気に入るかどうか、が重要なポイントだ。
しかも、今回紹介した2つの機種は、いずれ広い部屋に引っ越すことになったとしても、同じAiMesh対応のWi-Fiルーターを買い足すだけでWi-Fiの電波範囲を広げられるので、以前と同じく快適なままで使い続けられる。
さりげなく部屋に置いて、さりげなく高速なネットワークを実現できるZenWiFi AX Miniは、Wi-Fi 5からWi-Fi 6のルーターへ乗り換えを考えている人、そしてこの春から新生活を始めたばかりの学生、社会人のみなさんにおすすめしたい。一方、大型のアンテナを備えるRT-AX55は2000円ほど安価なので、見た目が気にならなければ、コストパフォーマンスの高さが光る。4つ備える有線LANポートも、有線接続したい機器を多く使っているなら魅力となる1台だ。
(協力:ASUS JAPAN株式会社)