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新世代スマホ・タブレット通信環境改善計画 5つのポイントで選ぶ快適な「11ac」無線LANとは
NEC「Aterm」シリーズが"鉄板"と呼ばれる理由から考えてみる
(2014/12/1 06:00)
iPhone 6やiPad Air 2など、新世代のスマートフォンやタブレットの登場を機に「Wi-Fi(無線LAN)環境を見直そう」という動きが加速しています。Wi-Fi機器選びで重要な5つのポイントについて、無線LANルーター通の間で評価の高いNECプラットフォームズの「Aterm」シリーズを見ながら、IEEE 802.11ac対応ルーターの選びの基準を考えてみることにしましょう。
見過ごされがちな「Wi-Fi(無線LAN)」環境
新型のiPhone 6やiPad Air 2、Android搭載の最新端末の登場を機に、スマートフォンやタブレットを買い替えたり、新たに手に入れたという人も少なくないのではないでしょうか。
最新機種の動作のなめらかさに感動したり、撮影した写真のきれいさに驚いたりすると同時に、より快適に使うために、いろいろなアプリをインストールしたり、カバーなどのアクセサリーを選んだりと、それぞれの方法で、日々、活用していることでしょう。
そんな活用方法の中でも、最近、特に注目が集まってきているものがあります。ズバリ、「無線LAN」です。
最近では、「Wi-Fi」という呼び方の方が一般的ですが、無線LANは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの機器をワイヤレスでインターネットに接続するための環境のことです。
携帯電話事業者などが無料、もしくは低価格でレンタルするようになった影響もあり、すでに使っているという人も少なくないと思いますが、実は、このWi-Fiが、スマートフォンやタブレットの快適さを左右する重要なポイントとなりつつあるのです。
冒頭でも取り上げたiPhone 6やiPad Air 2は、従来機種からWi-Fiの性能が引き上げられ、最大433Mbps(iPhone 6)、867Mbps(iPad Air 2)のIEEE 802.11acという規格に新たに対応しました。従来のiPhone 5sが1世代前のIEEE 802.11n対応の最大150Mbps、iPad Airが最大300Mbpsだったことを考えると、大幅な速度向上が実現されたことになります。
対応規格 | 最大速度(Mbps) | |
iPhone 5s | IEEE 802.11n | 150 |
iPhone 6 | IEEE 802.11ac | 433 |
iPad Air | IEEE 802.11n | 300 |
iPad Air 2 | IEEE 802.11ac | 867 |
どちらも従来機種で比べると約3倍という速度向上は、CPUなどの性能向上より、むしろ大きなインパクトといえますが、残念ながら、家庭内のWi-Fi環境が古い影響で、この実力を発揮できていないケースもあります。
11acで通信できていれば、アプリのダウンロードや更新があっと言う間に済んだり、映像配信サービスなどをより高画質で、より快適に楽しむことができたり、各種クラウドサービスをまったく意識せずに活用したりできるのに、家庭内に設置されている無線LANルーターが11acに対応していないというだけで、このようなチャンスを逃しているというわけです。
スマートフォンやタブレットを快適に使うためには、保護シートを張ったり、カバーを選んだりするのと同じように、端末側の性能をフルに発揮できるWi-Fi環境を整えることが、何にも増して、重要なことなのです。
自宅の無線LANルーターをチェックして、IEEE 802.11acに対応していないのであれば、スグにでも買い替えを検討すべきでしょう。
快適な無線LAN環境の5つのポイント
しかしながら、「買い替える」と言っても、何を基準に製品を選べばいいのかがわからないという人も少なくないはずです。
無線LANルーターなどの通信機器は、どちらかと言えば「裏方」の存在です。スマートフォンやタブレットなどの端末のように、各所で大きな話題になるような製品ではありません。
しかしながら、その一方で、パソコンやスマートフォン、タブレット、テレビ、レコーダーなど、さまざまな機器のインターネット接続を一手に引き受ける重要な役割を担っています。いわば、縁の下の力持ちとなる無線LANルーターだからこそ、買う側の「目利き」が重要になるわけです。
では、具体的にどのような基準で無線LANルーターを選べばいいのでしょうか? 重要なのは以下の5つのポイントになります。
ポイント1 とにかく速い
iPhone 6やiPad Air 2の速度をフルに発揮させるには、無線LANルーターが対応している規格に注意する必要があります。以下は、主なWi-Fiの規格と速度を表示にしたものです。
規格 | 速度(Mbps) | 周波数帯(GHz) | 帯域幅(MHz) | MIMO |
IEEE 802.11b | 11 | 2.4 | 22 | 1 |
IEEE 802.11g | 54 | 2.4 | 20 | 1 |
IEEE 802.11a | 54 | 5 | 20 | 1 |
IEEE 802.11n | 72 | 2.4/5 | 20 | 1 |
150 | 2.4/5 | 40 | 1 | |
300 | 2.4/5 | 40 | 2 | |
450 | 2.4/5 | 40 | 3 | |
IEEE 802.11ac | 433 | 5 | 80 | 1 |
867 | 5 | 80 | 2 | |
1300 | 5 | 80 | 3 |
前述した通り、iPhone 6は最大433MbpsのIEEE 802.11ac、iPad Air 2は最大867MbpsのIEEE 802.11ac対応となります。また、最新のAndroid搭載のスマートフォンやパソコンなども最大867MbpsのIEEE 802.11ac対応となる製品が多い状況です。
このため、製品を選ぶときは、まずIEEE 802.11acに対応していることを確認します。ただし、IEEE 802.11ac対応の製品であっても、433Mbpsまでのモデル、867Mbpsまでのモデルといったように、モデルごとに対応する速度が異なる場合があります。
一般的に433Mbps対応のモデルの方が低価格ですが、この無線LANルーターに最大867MbpsのiPad Air 2を接続した場合、当然ですが、433Mbpsの速度でしか接続できないため、本来の半分の実力しか発揮できないことになります。
1300Mbpsに対応した製品は867Mbps/433Mbpsに、867Mbpsに対応した製品は433Mbpsにも対応できるので、基本的に上位のモデルを購入しておけば、より高速なWi-Fiに対応したスマートフォンやタブレットが登場したとしても、対応できることになります。
なお、Wi-Fiの速度は、規格上の速度と実効速度で分けて考える必要があります。例えば、433MbpsのiPhone 6でも、実際に通信できる実効速度は200Mbps前後となります。これは、無線LANルーターの処理能力、アンテナの性能など、機器の性能に加えて、通信距離や周囲の環境などが影響するためです。
製品を選ぶ際は、メーカーが公表している実効速度に注目するといいでしょう。中には、実効速度を公表していないようなメーカーもあるため、きちんとデータを公表しているメーカーの中から製品を選ぶことも重要です。
ポイント2 家中どこでも
続いてのポイントは、家中どこでもつながる通信範囲の広さです。せっかく無線LANを導入したとしても、使いたい部屋に電波が届かなければ意味がありません。このため、なるべく通信範囲が広い製品を選んでおく必要があります。
通信範囲の広さは、対応する規格と通信品質が大きく影響します。基本的に新しい規格に対応した製品の方が、通信品質の改善が加えられているため、より通信範囲も広くなる傾向があります。
また、例えば、11acの867Mbpsと11nの300Mbpsで比べた場合、距離や遮へい物の影響で信号が同じように減衰したとしても、実際に通信できる速度は、もともとの速度が高い867Mbpsの方が高くなります。これも規格が新しいことのメリットです。
一方、通信品質は、アンテナの性能と言い換えても差し支えありません。と言っても、大きさの話ではありません。大きい方が有利なように思えるかもしれませんが、電波で通信するWi-Fiで重要なのは、通信範囲に死角が発生しないようにアンテナをうまく配置したり、いかに外部からのノイズの影響を受けないようにアンテナを設計するかが重要なポイントとなります。
この部分は、メーカーの技術者の腕の見せ所で、独自技術を惜しみなく投入することで、品質を高めるだけでなく、アンテナの小型化まで実現してしまうような例もあります。こういった点に注目することこそ、「目利き」のコツの1つと言えるでしょう。
ポイント3 いつでも安心
「いつでも安心」というのは、言い換えると製品の安定性や信頼性です。Wi-Fiは、普段は目立たない存在ですが、いったん、トラブルが発生すると、パソコンやスマートフォン、タブレット、テレビなど、あらゆる機器に影響を及ぼすことになります。
このため、24時間365日、安定して動作し続けることは、何よりも重要なポイントと言えます。
安定性については、製品のスペックなどから判断することが難しいと言えますが、長年にわたって通信機器を手がけてきたメーカーや法人用途でも実績があるメーカーが1つの判断基準となるでしょう。
また、購入前にメーカーのサポートページなどを参照し、QA情報が豊富に掲載されているか、高度な設定についてのわかりやすい解説などが掲載されているか、ファームウェアのアップデートがきちんと提供されているかどうかなどを確認するといいでしょう。
QA情報や設定情報は、初めてのユーザーにとって大きな助けとなります。また、ファームウェアの更新が継続的に提供されるということは、製品に対しての責任をメーカーがきちんと考えている証拠であり、不具合などを真剣に改善する姿勢の表れとなります。
そもそもメーカーのWebページを見れば、真剣に製品を開発しているのか、販売するための宣伝にのみ力を入れているのかは容易に判断できるはずです。
製品のクチコミ情報も安定性や信頼性を判断する基準となりますが、まずはWebページなどを自分の目で見て、メーカーを信用できるかどうかを確かめてみるといいでしょう。
ポイント4 スグ、いろいろ
無線LANルーターを導入する際の1つの障壁となるのが接続設定です。特に、iPhoneやiPadをつなぐための機器を選ぶ際は、これらの機器に対応した接続設定が用意されているかどうかが重要なポイントとなります。
パソコンやAndroid端末であれば、「WPS」と呼ばれる汎用的なボタン設定方式を利用することができますが、iPhoneやiPadでは、この方法は利用できません。
無線LANルーターの中には、製品に同梱されている設定用シートのQRコードをiPhoneのカメラで読み取ることで、接続できる製品があります。iPhoneやiPadを手軽に接続したいのであれば、こういった設定をサポートしている製品を選ぶといいでしょう。
なお、製品によっては、WPSやQRコード設定に加えて、NFCを利用してスマートフォンをかざすだけで設定できる方式やゲーム機などでもサポートされている独自のボタン設定方式に対応している製品もあります。
Wi-Fiで接続する端末は、iPhoneやiPadだけではありません。パソコンやスマートフォン、ゲーム機など、あらゆる機器を手軽に接続できるように、複数の接続方式をサポートしている製品を選ぶことが重要です。
ポイント5 さりげなく
最後のポイントは、見た目のデザインです。無線LANルーターのような裏方の機器は、どちらかと言えば、目立たず、コンパクトに設置しておきたいものです。
最近では、大きなアンテナを外部に搭載した無線LANルーターや本体そのものが大きな製品が多くなりつつありますが、中にはアンテナを内蔵し、コンパクトな本体を実現している無線LANルーターもあります。
イメージとしては、アンテナが目立つ方が広い範囲で使えそうですが、実際にはそうとは限りません。逆にアンテナの方向がうまく調整できずに使いこなせなかったり、大きなアンテナがノイズを拾う原因になってしまうこともあります。
そもそも、リビングなどに目立つ機器が設置されているのは、あまり好ましい状況とは言えません。コンパクトでさりげなく、それでいてきちんとした通信性能を備えた製品を選ぶことが重要です。
多くの条件を満たすNECプラットフォームズの「Atermシリーズ」
こうした点を満たす製品はさまざまありますが、冒頭で紹介したように、NECプラットフォームズの「Atermシリーズ」などが候補になるでしょう。
ポイント1の速度については、きちんとWeb上で実効スループットを公開しています。
同社のラインナップには、IEEE 802.11acの1300Mbps(5GHz)+IEEE 802.11nの450Mbps(2.4GHz)に対応したハイエンドの「AtermWG1800HP2」を筆頭に、IEEE 802.11acの867Mbps(5GHz)+IEEE 802.11nの450Mbps(2.4GHz)対応の「AtermWG1400HP」、同じくIEEE 802.11acは867Mbps(5GHz)となるものの、2.4GHz帯がIEEE 802.11nの300Mbpsで有線LANも100Mbps対応となる「AtermWF1200HP」、IEEE 802.11acの433Mbps(5GHz)+IEEE 802.11nの300Mbps(2.4GHz)の「AtermWF800HP(有線100Mbps)」があります。
iPhone 6をつなぐための機器をリーズナブルに選びたいなら「AtermWF800HP」でも十分ですが、一緒にiPad Air 2やAndroid端末、さらにパソコンまでつなぐなら、理想は最上位の「AtermWG1800HP2」、せめて867Mbps対応で有線もギガビット対応となる「AtermWG1400HP」あたりは選んでおきたいところです。
これらの製品であれば、残りのポイントの条件もきちんと満たすことになります。いずれのモデルも同社独自の「μEGB」や「μSRアンテナ」といった技術によって、広範囲の通信とアンテナの小型化を両立させています。
また、NECのAtermシリーズと言えば、安定性や信頼性の高さは、Wi-Fi機器の中では群を抜いて高く、クチコミで「鉄板」と表現されることも多い製品となっています。同社のWebページを見れば、サポート情報がいかに充実しているかも確認できるので、安心して利用することができるでしょう。
設定方法もNFCの「らくらく『かざして』スタート」、QRコードの「らくらくQRスタート2」、ボタン設定の「らくらく無線スタート」、汎用設定の「WPS」と複数方法をサポートしているため、いろいろな機器を手軽に接続することができます。付属の設定ガイドのわかりやすさ、アプリやユーティリティの品質も高く、初めてでも安心して利用できる製品です。
もちろん、サイズも小さく、設置場所も選ばないうえ、アンテナ内蔵のスッキリとしたデザインは、どんな環境に設定しても違和感がありません。すべての条件を満たす製品と言える。無線LANルーターの入れ替えを検討しているユーザーにとっては、とても魅力的な製品と言えるでしょう。