■Googleのクリエイティブコモンズ検索
mashup(マッシュアップ)という用語が流行している。もともとはヒップホップ系の音楽用語で、たくさんの曲を混ぜ合わせてリミックスしてしまうテクニックのこと。転じて、さまざまな情報をさまざまなソースから入手し、それらを混ぜ合わせて提供するようなネットビジネスのことを指すようになっている。まあ言ってみれば、Webサービスをユーザーサイドから見つめ直したようなものだね。
クリエイティブコモンズ検索は、このこのマッシュアップの一種である。クリエイティブコモンズというのはスタンフォード大のローレンス・レッシグ教授が中心になって設立された非営利組織で、著作権をひたすら守るのではなく、クリエイティブな活用を促進していこうという狙いを持っている。この考え方に賛同し、クリエイティブコモンズを表示しているコンテンツについては、一定の条件を満たせば著作権者に直接許可を得なくても、自由に引用したり、再利用できるようになっている。
このクリエイティブコモンズのコンテンツだけを検索できるシステムは、Yahoo!が他社に先駆けて2005年3月から提供していた。そしてGoogleも英語版で、アドバンス検索オプションとしてクリエイティブコモンズ検索を提供し始めている。
残念ながら日本語版はまだ未対応のようだ。
■関連記事
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■AdWordsに地理情報を導入する
Googleのキーワード広告であるAdWordsは、国や言語にターゲットを分けて広告を配信することが可能だ。だがここに来て、さらに細かくターゲットを絞ることが可能になった。緯度と経度を入力し、地図上の座標を決められるようになったんだ。
Googleの説明によれば、AdWordsのターゲット・カスタマイズ機能を利用すると、一定の範囲内に住んでいる顧客だけに、広告を表示させることができる。まず最初に顧客のエリアの中心をどこにするかを決め(たいていは広告主のオフィスか店がある場所だね)、そこからどの範囲までの顧客を対象にするかという半径距離を決める。そうするとAdWordsは自動的に検索者の居場所の緯度と経度を判別し、その検索の結果表示ページにAdWordsを表示させるかどうかを判断してくれる。
これで広告のターゲッティングに、またも新たな要素が加わったというわけ。キーワード広告で成功するためには、必ずしも年齢や性別、人種、年収などの個人情報を知る必要はない。必要なのは、人々がどうやって検索エンジンを利用しているのか――つまり、どのような検索キーワードを使っているのかということを知ることなのである。そして今度は、そこに地理情報も加わったということだ。
地理情報によるターゲッティングは、今後モバイルコンピューティングが主流になっていけば盛り上がってくる可能性が高い。今はまだ機器や接続回線によって行動の自由は制限されているけれども――携帯電話は小さくて使いにくいし、携帯キャリアの電波範囲も不安定だ。特に海外に旅行に行ったりすると、本当にひどいよね。でもいずれは携帯電話はもっとネットで検索しやすい素晴らしいインターフェイスを持つようになるだろうし、接続状況も改善されていくはずだ。そしてそうなってくれば、キーワード広告はまた新たな局面を迎えることになると思う。
■URL
GoogleによるAdWordsのターゲット・カスタマイズ機能の説明
https://adwords.google.com/support/bin/answer.py?answer=7116&query=customized&topic=0&type=f?ctx=awblog&sourceid=awo&subid=US-ET-AWB-112105_1
(2005/12/06)
【著者プロフィール】 |
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・文=ジェフ・ルート(Jeff Root)
ECジャパン株式会社のSEOチーフスペシャリスト。日本には出たり入ったりで早や10年。メールアドレスは「jeff@ecjapan.jp」。日本語もOKなので、気軽にメールをくれると嬉しい。 |
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・翻訳=佐々木俊尚
元全国紙社会部記者。その後コンピュータ雑誌に移籍し、現在は独立してフリージャーナリスト。築42年の古い家で、犬と彼女と暮らす。ホームページはこちら。 |
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