被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

Facebookで見知らぬ美男美女から友達申請が来た

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 子どもたちと連絡を取り合ったり、無料のネット通話をするためにFacebookアカウントを取得する人も多い。SNSはほとんどやったことがなく、なんとなくアクセスしているだけという人がほとんどだ。しかし、そんな人にある日、見知らぬ美男美女から友達申請が来る。

 メッセージを見ると、単に友達になりたいだけのよう。Facebookにはクレジットカードを登録していないし、何かあれば友達を解除すればいいだけ、と気軽に承認する。これ、本当の知り合いでない限り、ネット詐欺である可能性がとても高い。

見知らぬ人から友達リクエストが来ることはよくある

 被害のパターンはいくつかある。恥ずかしながら、筆者が食らってしまった事例では、友達を承認してしばらくは普通の食事などを投稿していた。しかし、その後いきなりポルノ画像を投稿し始めた。日本では禁止レベルの画像が連投されたのだ。画像をクリックすると、出会い系サイトに飛ばされて課金を求められる。

 個人情報の収集という目的もある。友達になれば、プライバシー設定にもよるが、名前や出身校、学歴や職歴、ウェブサイトなどがまる分かりになる。投稿を友達だけに限定している人でも、つながってしまったら筒抜けだ。

 ほかには、ユーザーの友達にも片っ端から友達申請を出し始める手口もある。共通の友達として自分が入っているので、承認してしまう人もいるだろう。ポルノ画像を投稿しているアカウントの友達であることが知り合い全員にばらまかれてしまうのだ。直接お金を引き出されるわけではないが、大きなダメージになるのは想像に難くないだろう。

 アイコンの画像はだいたいネットから取得されている。怪しいと思ったら、Google画像検索で検索してみると、盗用しているかどうかが分かる。ちなみに、筆者の昔の画像も利用され、偽造のFacebookアカウントに使われたことがある。このときは、知人から連絡を受け、Facebookに連絡してアカウントを削除してもらった。あとは、基本データがほとんど空っぽだったり、2~3個の投稿だけでその後の更新がないといった特徴もある。

 そもそも、知り合いでなければ、SNSではつながらない方がいい。「リクエストを削除」をクリックすれば、友達申請がキャンセルされる。

 ただ、この詐欺手法も進化している。美男美女だけでなく、既存の人物になりすますこともあるのだ。例えば、適当な人名で検索し、友達リストを公開している人を見つける。そしてその人の名前のアカウントを作成し、顔写真もしくは関連する写真をコピーして設定すれば準備完了。友達リストにある全員に「友達になる」をクリックして申請すればいいのだ。これはなかなか、防ぐのが難しい。アカウントを再作成したのか、もしくは誤操作で友達を解除してしまい申請が来たのだろうと思ってしまう。名前が同じだからといって、本人であるとは限らない、ということは覚えておきたい。

 Facebookで友達申請を受け入れるのは慎重になるべき。拒否しても、特に問題は起きないので、迷ったら拒否もしくは放置すればいい。筆者も、明らかにNGなものは即拒否しているが、共通の友達が何人かいるアカウントは判断に迷って保留にしている。メッセージなどで、別途連絡が来れば承認するが、そのままであれば一定期間後に削除すればいい。SNS詐欺ではお金を取られることはほぼないとはいえ、友達関係に影響するので警戒心を持つことを忘れないようにしよう。

迷ったら放置か削除でOK。筆者も判別が難しい申請が20件近くたまっている

DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。