被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
Instagramに写真を撮るだけ、1日5分の作業で月収100万円という投稿を見かけた
2019年1月25日 06:00
写真メインのSNS「Instagram」には、「#副業ママ」というハッシュタグで30万件以上、「#副業主婦」で10万件以上の投稿があります。主婦が生活の隙間時間で副業をできるという内容です。その人のかわいい子どもの写真と実際にたくさんの入金がある通帳の写真が投稿されており、信用できそうな内容。1日で6万円とか10万円も稼げるというのです。ノンアダルトで未経験者歓迎、しかも即日で振り込んでくれると書いています。1日5分と謳っているところ30分かかったとしても、6万円が話半分だとしても、割がいい仕事です。子育てで忙しいものの、教育費などのお金は欲しいので、連絡するだけ連絡してみようか、と考えてしまう人がいます。
これはネット詐欺です。本連載で取り上げるネット詐欺の多くは、ユーザーをターゲットにしてアプローチしてきますが、Instagramの副業は待ち受けタイプです。キラキラした投稿とあり得ないほど儲かるという副業を提示し、ユーザーからの連絡を待っているのです。
消費者庁は、平成29年にこのような事業者に関する注意喚起を行っています。お金を欲しがっているユーザーから、逆にお金を奪い取る方法を想像できますでしょうか?
100万円稼げるから、まずは10万円のマニュアルを買ってくれ、というのです。もちろん、稼げる金額もマニュアルの金額もまちまちです。マニュアルではなく、情報商材だったり、会員権だったり、サポートコースの契約料だったり、呼び名はまちまちです。しかし、まずは稼げるようになるまで、サポートするという体をとっています。
さらに、お金を奪って終わりではありません。その被害者には他のユーザーを勧誘するように仕向けます。他のユーザーを勧誘すれば、キックバックが発生するのでお金を回収できますよ、という仕組みを提示するのです。実際、勧誘すれば、犯人も被害者も両方儲かります。ねずみ講の仕組みなのですが、消費者庁の調査によると「月収200万円以上稼いでいる人がいます」と謳っていても、その事実はなく虚偽でした。ごく一部の成功事例も嘘だったのです。
今、収入を底上げするために副業が流行っていますが、あり得ないほど美味しい話はあり得ない、と肝に銘じておくことが重要です。もし、美味しい話を見つけたとしても、誰かに相談してみてください。家族や友人に話すのが恥ずかしいなら、消費者ホットラインに相談してみましょう。電話番号は「188(いやや!)」です。
もし連絡してしまっても、先に手付金や何らかの商材やツールの購入を求められた場合は、いったん落ち着きましょう。何の経験もなく稼げるわけはないので、逆にその手の話を持ちかけられて信頼してしまう人もいます。この手の事例が存在する、ということを知っておけば、最初から近づかずに済みます。ぜひ、Instagramをしている奥さんやご両親がいたら、教えてあげてください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。