甲斐祐樹の Work From ____
第5回:「テレキューブWEB会議センター」
「手ぶらでビデオ会議」できるボックス型の専用個室
2020年12月25日 14:00
「テレキューブ」は、テレキューブサービス株式会社が運営するテレワークスペース。電話ボックスのような形状の個室で、電源やWi-Fiといった作業用の設備を完備。防音性にも優れており、機密情報を扱うビデオ会議なども可能としている。
オフィスや鉄道駅を中心に展開、「手ぶらでビデオ会議」できる新サービスも
テレキューブはオフィスビルや鉄道駅などを中心に展開しており、2020年の設置台数は累計160台。基本的には1カ所につき数台程度の設置数だが、2020年10月から2021年3月までは実証実験期間として、新丸の内ビルに9台、豊洲フォレシアに6台の合計15台を設置し、実証空間「テレキューブWEB会議センター」を展開している。
料金プランは個人向けプランと法人向けプランが用意されており、個人向けプランは15分250円で利用可能。法人向けプランは個人向けプランと同様の従量課金に加えて、100時間の利用権が付いた月額8万円のプラン、4時間の利用権が付与されたIDごと3000円のプランなどが用意されている(料金はいずれも税別)。
テレキューブの室内はWi-Fiや電源など作業に必要な最低限の環境が用意されているが、前述のテレキューブWEB会議センターではビデオ会議用のタブレットとLEDライトも導入し、手ぶらでビデオ会議ができる「手ぶらでWeb会議」サービスを提供。タブレットには「Zoom」と「V-CUBE ミーティング」のアプリがインストールされており、利用できるビデオ会議サービスは今後も拡充予定という。
新型コロナウイルス感染症の対策として、換気ファンの24時間連続稼働に加えて、利用者の予約の間には5分間のインターバルを確保。さらにテレキューブの筐体に抗菌コーディングも施している。また、入室できるのが1名であり、無人で運営されているため、そもそも密集や密接も回避されている。
「手ぶらでビデオ会議」は簡易的ながら便利
利用の際にはテレキューブのユーザー登録が必要。個人情報の入力などが必要なため、あらかじめ利用が決まっている場合は事前に登録を行っておくほうが手軽だが、スマートフォンからウェブサイトにアクセスしてその場でユーザー登録することも可能だ。
ユーザー登録を済ませたら、テレキューブの入り口に表示されているQRコードを読み取って入室またはその場での利用を設定。入室すると扉は自動で施錠され、一度外に出るとまた自動で施錠される。開錠はスマートフォンから行なえるため、入室して荷物を置いておき、一度外に出る、というのも可能だ。筆者も実際に体験したとき、入室したはいいがトイレに行きたい……というときに、荷物を置いてトイレに行くことができたので助かった。
新丸の内ビルのテレキューブWEB会議センターは前述の通りビデオ会議用のタブレットが用意されており、ZoomとV-CUBE ミーティングが利用可能。Zoomについてはクライアントとしての参加のみでビデオ会議の主催はできず、発行されたミーティングIDやパスコードを入力してログインすることになる。
ビデオ会議だけなら完全に手ぶらで利用できるが、資料を見たりチャットしたりという利用ができないため、ビデオ会議の利用としてはかなり簡易的。ZoomのチャットをするためにはPCやスマートフォンでもログインする必要があるため、タブレットでの利用は音声のみで済む場合やZoomチャットが不要な場合に限定される。
とはいえ、音声メインのやり取りであればPCを持たずに利用できるのは便利。LEDライトが用意されているため顔も明るく表示されるのもうれしい。
コロナ禍で利用者が急増、今後は商業施設への展開も
テレキューブWEB会議センターの開設に際して開催された内覧会では、テレキューブの現状や今後の展開に関して説明が行われた。
2019年8月からサービスを開始しているテレキューブだが、2020年に入って利用者数が急増。テレワーク導入企業が増え始めた3月にはテレキューブの稼働率が2、3倍まで増加。緊急事態宣言が発出された4月から5月は利用者数が落ち込んだものの、県跨ぎの移動が解禁されるとさらに利用は増え、8月には3月と比べても倍以上の予約時間となった。1人あたりの利用時間も当初は30分から1時間程度が主だったが、現在では1時間以上の利用が増えているという。
利用シーンとしては外出中でのテレビ会議、移動の間の隙間時間での作業のほか、声を出してのプレゼン練習という利用シーンも想定。外出が多いビジネスマンも、テレキューブを活用すればオフィスに戻ることなく作業できるため、移動時間を減らして生産性向上につなげられるという。
設置エリアも順次拡大し、2021年には390台、2022年には690台、2023年には1000台の設置を目指す。また、在宅ワークの普及が進む現状を踏まえ、ビジネス街だけでなく商業施設への導入も進めていくという。
この連載について
ビジネスパーソンが仕事をする/できる場所が多様化しています。従来からの企業の自社オフィスやシェアオフィス/コワーキングスペースはもとより、コロナ禍で広まった在宅勤務(Work From Home)、ホテルやカラオケボックスのテレワークプラン、さらにはお寺や銭湯まで(!?)。この連載では、そうしたざまざまな「Work From ○○」の事例や、実際にそこで仕事をしている人・企業の取り組みなどを、フリーランスライター・甲斐祐樹がレポートします。