特集

【NECプラットフォームズ編】中の人に聞いてみた「Wi-Fiルーターの買い換え時とセキュリティ対策」

「使命は高いレベルでの信頼性を提供すること。買い替えは3~5年を目安に」

Wi-Fi 6E対応フラグシップモデル WX11000T12

 自宅のWi-Fiルーターが犯罪に使われる、そんなリスクを防ぐため、INTERNET Watchでは「Wi-Fiルーター見直しの日」として啓蒙を行っている。といっても自宅のWi-Fiルーターをこのまま使い続けていいのかは気になるところだろう。

 現在のWi-Fiルーターのセキュリティ対策は、技術基準適合認定によって定められている部分もあり、一見、どのメーカーも同じに見える(技術基準適合認定については関連記事「Wi-Fiルーターの新常識!! もう1つの「技適」で必須化されたセキュリティ対策とは?」参照)。しかし、実際にはメーカーごとにサポートやセキュリティ対策への姿勢の違いがあり、それが実際の製品の特長にもなっている。

 そこで本稿では、NECプラットフォームズ株式会社のアクセスソリューション事業部・ビジネス推進第一グループ 杉浦順一氏とホームネットワーク事業第三グループ戸塚昭彦氏に、同社の具体的な方針やユーザーに推奨する買い替え年数などを伺った。

採用実績や対応から伝わる実直さ

 ホームゲートウェイなどの回線事業者向け機器やレンタル用Wi-Fi機器としての採用例も多く、市場での信頼性の評価も高いNECプラットフォームズ。そんな同社だからこそ、市場や取引先相手から求められる品質やサポートに対する要件も自然と高くなっている印象があるが、同社もそれに応える形で対応に努めている。

 その表れの1つがサポート期間についての明確な方向性の公表だ。どの機種を、いつまで、どの範囲でサポートするかについて、はっきりと、そして明確に記載し、ユーザーが自分の機種について簡単にサポート期間を確認できるように工夫している。実にNECプラットフォームズらしい対応だ。

サポート期限は販売終了から5年、ウェブサイトでも情報発信

 サポート期間については、明確な期限を設けないメーカーが多い中、同社は「販売終了から5年」という期間を明確に打ち出している。

 しかも、単に年数を公表するだけでなく、どの範囲でサポートするかを公開しており、「電話やメールでの問い合わせ」「故障の際の修理」「新しいファームウェアの公開」という3つのサポート内容が明確になっている。

 昨今のセキュリティ状況を考慮して、社内で検討したとのことで、こうした辺りからも同社の実直さがうかがえる。

 もちろん、セキュリティ被害の状況やモデルの販売状況などによる例外はあるにせよ、最低でも購入してから5年は安心して使えることがはっきりしているのはメリットだろう。

 また、機種ごとのサポート状況も同社のウェブサイトで公表されている。自宅にある機器の背面などで型番を調べれば、いつまで安心して使えるかがすぐに確認できるのもありがたい。

「Atermのサポート期間について」に掲載されたブロードバンド&ワイヤレス製品のサポート状況(2023年10月時点の情報)

 なお、関連ページ(主要Wi-Fiルーターメーカーのサポートコンテンツリンク集)でメーカーごとのサポートページを紹介しているので、アクセスしてみることをおすすめする。

ほぼ全ての現行機種がファームウェア自動更新に対応

 ファームウェアの更新について、更新頻度については明確な規定はない。セキュリティ被害の重要度に応じて、柔軟に対応するタイミングを設定する方向になっている。

 ファームウェアの自動更新機能については、現行機種ではほとんどの機種で対応済みとなっている。古い機種では、ファームウェアの自動アップデート機能に対応していない場合もあるが、緊急用に内部的にはアップデート機能を持っているため、クリティカルな脆弱性が見つかった場合など、状況次第では自動更新も不可能ではない仕組みになっているという。

WPA3にも早い段階で対応、パスワードは初期設定から複雑なものに

 Wi-Fi接続の暗号化は、現行機種のほとんどのモデルでWPA3をサポートしている。この現行機種には、Wi-Fi 6だけでなく、Wi-Fi 5対応の一部機種も含まれており、広い範囲で新世代の暗号化をサポート済みとなっている。

 暗号キーやパスワードなどは、機器ごとのランダムな値が出荷時に設定済みとなっている。比較的早い段階からランダムな値を採用してきたメーカーなので、手元のある機種が多少古くても安心して利用できるだろう。

 なお、ファームウェアの自動更新とWPA3に対応したモデルは、「DLPA推奨Wi-Fiルータ」として同社ウェブサイトでもまとめられている。

セキュリティやアプリで安全と利便性を充実

 同社製品は、追加のセキュリティ機能が豊富なメーカーの1つだ。

 Wi-Fiルーターの安全性診断や不正サイトブロックなどが利用できる「トレンドマイクロホームネットワークセキュリティ(90日間無料で以降は有料)」を利用できるほか、Wi-Fi接続状況の確認や遠隔操作を可能にする「Aterm ホームネットワークリンク」、リモートワーク用に分離された個別のSSIDを設定できる「リモートワークWi-Fi」、Wi-Fiに接続中の端末を可視化して管理する「見えて安心ネット」、子供向けの接続制御機能「こども安心ネットタイマー」などの機能を提供している。

 単にセキュリティ機能を実装するだけでなく、それぞれにわかりやすい名称を設定して、何に使う機能なのかをわかりやすくしている点も特徴だ。

「Aterm ホームネットワークリンク」なら、電波状況の確認やヒートマップ作成に加え、リモートでの再起動やファームウェア更新、さらに見知らぬ子機から接続があった場合、プッシュ通知もしてくれる

おすすめの買い替え時はいつ?

 買い替えについては、前述したようにサポート期限が販売終了から5年なので、これが1つの目安になる。いつ買うかによって期限が変わるが、購入から5年をひとつ目安として検討するといいだろう。

 ただし、同社としては、サポート期限だけでなく、セキュリティ規格やWi-Fi規格、スマートフォンやPCなどの接続する側の機器の進化なども検討し、3~5年での見直しを推奨している。例えば、今ならWi-Fi 6Eに対応したスマートフォンが多く登場しているので、5年未満であっても、新しい規格に対応したWi-Fiルーターに買い替えを検討していいタイミングと言える。

 なお、通信機器に詳しいユーザーにとっては当たり前かもしれないが、同社の「Aterm」シリーズは、「aterm.jp」という製品名の専用ドメイン名で運用されている珍しい例となる。それだけ歴史が古いことでもあるのだが、現状35周年の記念サイトも公開されており、「Aterm」と言う名前の由来(筆者も知らなかった)や懐かしのAterm「IT」シリーズが登場する歴史なども見ることができる。

Atermは今年で35周年

 こうした長年続く「Aterm」というブランドも、同社の信頼性の高さを表すもののひとつと言えるだろう。

【Wi-Fiルーター見直しの日 2023:記事一覧】