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【エレコム編】中の人に聞いてみた「Wi-Fiルーターの買い換え時とセキュリティ対策」

「セキュリティ情報を積極的に公開することで『知らずに使う』リスクを減らす」

エレコムの最新Wi-Fi 6対応ルーター WRC-X3000GS3-B

 自宅のWi-Fiルーターが犯罪に使われる、そんなリスクを防ぐため、INTERNET Watchでは「Wi-Fiルーター見直しの日」として啓蒙を行っている。といっても自宅のWi-Fiルーターをこのまま使い続けていいのかは気になるところだろう。

 現在のWi-Fiルーターのセキュリティ対策は、技術基準適合認定によって定められている部分もあり、一見、どのメーカーも同じに見える(技術基準適合認定については関連記事「Wi-Fiルーターの新常識!! もう1つの「技適」で必須化されたセキュリティ対策とは?」参照)。しかし、実際にはメーカーごとにサポートやセキュリティ対策への姿勢の違いがあり、それが実際の製品の特長にもなっている。

 そこで本稿では、エレコム株式会社 技術開発部 ネットワークデバイス課 課長 谷川 篤氏と同課 コンシューマNWデバイスチームチームリーダー 神田鉄也氏に、同社の具体的な方針やユーザーに推奨する買い替え年数などを伺った。

エレコム株式会社 技術開発部 ネットワークデバイス課 課長 谷川 篤氏
エレコム株式会社 技術開発部 ネットワークデバイス課 コンシューマNWデバイスチーム チームリーダー神田鉄也氏

ユーザー視点を重視する通信機器メーカー

 最安値を争うようなエントリーモデルに始まり、10ギガ有線対応高性能モデル、Wi-Fi 6E対応ながらリーズナブルなモデルと、ユーザーが欲しいと思うポイントを押さえたモデルを豊富にラインアップするエレコム。家電量販店などでも、よく見かける身近なWi-Fiルーターで、実際に利用しているユーザーも多いことだろう。

 同社のセキュリティ対策で特徴的なのは、積極的に情報を公開しようという姿勢だ。基本的なセキュリティ対策をしつつも、脆弱性に影響のある製品やサポート終了する製品などを積極的に公開することで、ユーザーへの注意を喚起している。

 過去、本サイトでも同社製品を対象とした脆弱性関連のニュースが何度も掲載されたこともあり、そのイメージが強く残っている人もいるかもしれないが、むしろ積極的な告知で脆弱性があることを「知らずに使う」人を減らそうという姿勢は、正直で、誠実なものと言える。

 特徴的な製品づくりもそうだが、セキュリティ対策でもユーザー視点を重視しているメーカーと言えるだろう。

11月14日にエレコムから出された脆弱性に関するニュースリリース。ここから直接ファームウェアダウンロードページに遷移できるようになっている

サポート期限、現状では制限を設けず

 Wi-Fiルーター製品のサポート期限について、エレコムでは明確な年数は定めておらず、柔軟な対応としているとのこと。将来的には、一定の年数を定める可能性もあると言うが、現在は検討中ということのようだ。

 前述したように、セキュリティ関連のリリースやサポート終了に関する情報はリリースとして積極的に公開しており、同社ウェブサイト内のセキュリティ情報のページから過去の情報を確認することができる。

エレコムのセキュリティ情報のページ。セキュリティに関する情報を過去にさかのぼって見つけられるようになっている

 脆弱性の内容やその脅威、対処方法なども明記されているので、同社製品を利用しているユーザーは確認しておくことをおすすめする。

ロジテックブランドの頃からいち早く自動アップデート機能を搭載

 ファームウェアの更新については、特に提供サイクルなどを定めず、脆弱性が発見されたタイミングで迅速に対応するという姿勢だ。範囲が広く、その深刻な影響がある場合は、なるべく早く対応する体制となっている。

 もちろん、Wi-Fiルーターの自動ファームウェアアップデート機能についても、現状販売されている全ての製品で対応済みとなっている。自動ファームウェアアップデートは、比較的古くから対応しており、旧ロジテックブランドのIEEE802.11n時代あたりから採用されているという。もちろん現在のエレコムブランドに統一されてからは、すべての機器に搭載済みとなっている。

WPA3は最新機種ではすべて対応し、デフォルトで有効に

 Wi-Fiの暗号化方式であるWPA3は、最近発売の機種はすべて対応しており、デフォルトで有効化されている。

 暗号化のパスワードや管理画面のパスワードについては、出荷時に製品ごとにランダムな値を設定済みだ。初期設定でユーザー自らが設定する方式の場合、簡単なパスワードが設定されてしまうこともあることから、他の国内メーカーと同様に、商品出荷時からランダムな値を採用している状況だ。

製品にはかんたんセットアップシートが同梱される。初期設定で複雑なパスワードが設定され、そのまま使っても高いセキュリティを担保できる

最長5年、無料で使えるセキュリティ

 追加のセキュリティ対策としては、一部の製品でトレンドマイクロ スマートホームネットワークを搭載している。初期設定で有効になっており、追加のサブスクリプション費用も不要。最長5年、同社が告知する日付までサービスを利用可能だ。

ルーター自体にセキュリティ機能を持たせることで、ネットにつながるさまざまな機器を脅威から守るトレンドマイクロ スマートホームネットワーク

 悪質サイトブロック機能や、脆弱性を狙う攻撃に対する防御などが必要な場合は、搭載モデルを選んでおくメリットがあるだろう。搭載モデルや設定方法は以下をご確認いただきたい。

▼製品Q&A トレンドマイクロ スマートホームネットワークの設定方法

おすすめの買い替え時はいつ?

 現状、同社はサポート期間に期限を設けていないこともあり、長期的な利用も可能ではあるが、買い替えを推奨するタイミングとしては5年程度だと言う。

 これは、Wi-Fiの規格が進化したり、スマートフォンなどの接続する端末のスピードが上がったりするサイクルで買い替えるメリットが大きいという理由もあるが、Wi-Fiルーターのしくみ上の課題もある。

 内部に搭載されているWi-Fi関連のチップを動かすためのドライバなど、チップベンダーから提供されるSDK側にも一定のサポート期限があり、古すぎると、その更新が提供されないケースがあるからだ。

 こうした根本部分は、Wi-Fiルーターメーカーでは修正ができないため、長期間使い続けるよりも、5年程度で買い替えた方がリスクが低くなるというわけだ。

 同社が公表するサポート情報などもチェックしながら、5年程度で買い替えを検討するといいだろう。

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