特集

【ネットギア編】中の人に聞いてみた「Wi-Fiルーターの買い換え時とセキュリティ対策」

「脆弱性を見つけたら報奨金! 世界中の情報で安全性をキープ」

日本初のクアッドバンドを実現したWi-Fi 6Eメッシュルーター「Orbi 9 RBKE963」

 自宅のWi-Fiルーターが犯罪に使われる、そんなリスクを防ぐため、INTERNET Watchでは「Wi-Fiルーター見直しの日」として啓蒙を行っている。といっても自宅のWi-Fiルーターをこのまま使い続けていいのかは気になるところだろう。

 現在のWi-Fiルーターのセキュリティ対策は、技術基準適合認定によって定められている部分もあり、一見、どのメーカーも同じに見える(技術基準適合認定については関連記事「Wi-Fiルーターの新常識!! もう1つの「技適」で必須化されたセキュリティ対策とは?」参照)。しかし、実際にはメーカーごとにサポートやセキュリティ対策への姿勢の違いがあり、それが実際の製品の特長にもなっている。

 そこで本稿では、ネットギアジャパン合同会社のマーケティングスペシャリスト 添田絢也氏とテクニカルサポート/ローカライゼーション 向山 優氏に、同社の具体的な方針やユーザーに推奨する買い替え年数などを聞いた。

ネットギアジャパン合同会社 マーケティングスペシャリスト 添田絢也氏
ネットギアジャパン合同会社 テクニカルサポート/ローカライゼーション 向山 優氏

世界中のユーザーに支持されるメーカー

 性能と品質をとことん追求した「Orbi」シリーズを手掛けるネットギアは、技術的な対策はもちろんのこと、ユーザーとのコミュニケーションをうまくセキュリティ対策にも取り入れているメーカーだ。

 国内ではプレミアムブランドというイメージが強いかもしれないが、海外では、エンタープライズレベルの製品をコンシューマー向けに提供するメーカーとして知られており、古くから熱狂的なファンが非常に多い。こうしたコミュニティの力をセキュリティ対策にも積極的に活用している。

古い機種でもファームウェアは更新される?

 セキュリティにおいてWi-Fiルーターの脆弱性対策は重要だが、果たしてどれくらい古い製品までサポートするのだろうか? その点、ネットギアでは基本的に脆弱性対策などに期限は設けていないという。脆弱性の規模やモデルによって対応が異なる部分もあるが、影響範囲が大きい脆弱性については古い製品でも対応するとしている。

脆弱性を見つけたら報奨金! 世界中から情報を集めて安全性をキープ

 海外ベンダーならではのグローバルな展開によって、世界中から脆弱性などの情報を生かす体制が整っているという。それに加えて、世界中のネットギア製品ユーザーやレビュワー、ネットワーク技術者などからの情報を広く募ることで、セキュリティ対策に役立てている。

 中でも代表的な取り組みが報奨金制度だ。「bugcrowd NETGEAR」のサイトで展開されているように、ファームウェアや設定画面、アプリなどの脆弱性を発見した人に対して報奨金を支払う取り組みを実施している。

 例えば、最高の報酬は1万5000ドルで、標準設定のネットギアデバイスに、インターネット経由で不正アクセスできる脆弱性を新たに発見した場合に支払われる。

ネットギア製品の脆弱性を見つけると報奨金を支払うプログラムが用意される。最高報酬額は1万5000ドル!!

 それだけセキュリティ対策に自信があるということでもあるが、常に自社製品の課題をユーザーに問うている姿勢は、他社には見られない特徴だ。

 また、同社はユーザーに対して開発中の製品を提供し、不具合を報告してもらう招待制のベータプログラムも積極的に展開している。商品を市場に広く展開する前に、ヘビーユーザーの視点でトラブルや脆弱性などを洗い出そうという取り組みだ。

 筆者も数年前に1度だけ参加したことがあるが、不具合を報告すると即座に担当から連絡があり、状況などを詳しくレポートするという仕組みで、頻繁に更新されるファームウェアで検証課題が与えられるというなかなかユーザーにとってもハードルの高いものだった記憶がある(英語でのやり取りになるので最終的に筆者が耐えられなかった……)。

 このように、同社はコミュニティやユーザーの視点を非常に重視しており、それが結果的に製品の完成度の高さや安全性の高さへとつながっている印象だ。

パスワードは初期設定で変更

 Wi-Fi接続や管理画面のパスワードなど、セキュリティ設定については、現行機種については、技術基準適合認定に沿って基本的な対策が実施済みとなっている。

 各種パスワードも、初期設定で変更する方式となっており、一定の文字数以上を設定するように案内される仕組みになっている。

パスワードは最初に自分で設定する形。ただし簡単なパスワードにはできないようになっている

ネットワーク全体を守るセキュリティも用意

 セキュリティ対策ベンダー(Bitdefender)の協力のもと「NETGEAR ARMOR」というセキュリティ機能を一部モデルに提供している。サブスクリプション契約が必要だが、モデルによっては一定期間のサブスクリプションが付属している。

ネットワークに接続した機器を保護する「NETGEAR ARMOR」が用意される

 なお、実際のサポート情報はメーカーのウェブサイトで確認できる。関連ページ(主要Wi-Fiルーターメーカーのサポートコンテンツリンク集)でメーカーごとのサポートページを紹介しているので、アクセスしてみることをおすすめする。

おすすめの買い替え時はいつ?

 推奨する買い替えタイミングについて聞いてみたところ、セキュリティ面というよりは、性能面でのバランスを考えた買い替えを推奨するというスタンスであった。

 同社によれば、スマートフォンやPCなどのクライアントとWi-Fiルーターは、例えるならピッチャーとキャッチャーのような関係とのことだ。つまり、お互いに性能を合わせないと実力を発揮できない。

 具体的には、Wi-Fi 6Eの6GHz帯を利用するメリットが大きいため、Wi-Fi 6E対応のスマートフォンやPCが増えてきた現状では、対応機種に買い替えるメリットが大きいと言えるだろう。こうしたWi-Fi規格の変化状況や性能面を考えると、3年程度での買い替えを検討するのがよさそうだ。

【Wi-Fiルーター見直しの日 2023:記事一覧】