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【アイ・オー・データ機器編】中の人に聞いてみた「Wi-Fiルーターの買い換え時とセキュリティ対策」

「目安は5年。よりいいモデルへ『機種変』感覚で買い替えを」

アイ・オー・データ機器のWi-Fi6対応ルーター「WN-DAX4200QR」

 自宅のWi-Fiルーターが犯罪に使われる、そんなリスクを防ぐため、INTERNET Watchでは「Wi-Fiルーター見直しの日」として啓蒙を行っている。といっても自宅のWi-Fiルーターをこのまま使い続けていいのかは気になるところだろう。

 現在のWi-Fiルーターのセキュリティ対策は、技術基準適合認定によって定められている部分もあり、一見、どのメーカーも同じに見える(技術基準適合認定については関連記事「Wi-Fiルーターの新常識!! もう1つの「技適」で必須化されたセキュリティ対策とは?」参照)。しかし、実際にはメーカーごとにサポートやセキュリティ対策への姿勢の違いがあり、それが実際の製品の特長にもなっている。

 そこで本稿では、株式会社アイ・オー・データ機器 企画開発部 企画2課 チーフリーダーの田中千雄氏に、同社の具体的な方針やユーザーに推奨する買い替え年数などを伺った。

株式会社アイ・オー・データ機器 企画開発部 企画2課 チーフリーダー 田中千雄氏

国内市場をリードするメーカーとしての責任

 アイ・オー・データ機器は、ユーザーに「気づき」を与えるのが巧みなメーカーだ。

 セキュリティの問題は、重要だとわかってはいても、ユーザーにとって捉えどころが難しく、具体的な対策も見えにくい。このため、なるべく「見える」こと、「理解しやすい」ことを重視している。

サポート期限は生産終了から5年が目安

 その具体的な例が、サポート期限の目安だ。同社は、他の多くのメーカーがはっきりと公言しないWi-Fiルーターのサポート・修理について生産終了(販売終了)から5年という目安を掲げている。

 ただし、5年というのはあくまで目安であって、製品によっては5年以内にサポートを終了した製品もあるとのこと。製品ごとのサポート期間については、同社のウェブサイトにある「Wi-Fiルーターサポート・修理終了機種一覧」でご確認いただきたい。

Wi-Fiルーターサポート・修理終了機種一覧(画像は2023年9月26日更新のもの)

 もちろん、買い換えの相談など電話での問い合わせは無期限に対応するとしており、機械的に期限を設けているわけではなく、修理やファームウェアの更新などの技術面のサポートの目安となっている。

 メーカーとして長く使ってほしいが、その一方で、脆弱性が増える状況を考えると、買い替えてほしいというメーカーのジレンマがあるのは事実だ。こうした業界全体が抱える課題に対して、ひとつの方向性をきちんと示している点は英断と言えるだろう。

ファームウェアは現行モデルのほぼ全てで自動更新される

 ファームウェアの更新については、脆弱性が発見され次第、迅速に提供する体制にしていると言う。Windows OSのような定期的な更新タイミングを設けてしまうと、逆に更新提供時期が定期的なタイミングにずれてしまう可能性があるため、むしろ定期的なタイミングは設けないという考え方だ。

 もちろんファームウェアの自動更新機能も、現行機種で基本的にほぼすべてのモデルで実装されている。2016年8月以降に発売のモデルから搭載されているため、2020年の技術基準適合認定のセキュリティ基準より以前から対応済みとなっていたことになる。

「リモートメンテナンス機能」もしくは「ファームウェア更新機能」で自動更新を有効にできる(初期値は有効)

パスワードは最初からランダムで複雑なものを設定済み

 パスワードは、出荷時状態でランダムな値を設定する方式を採用している。安全性を考慮しているだけでなく、初期設定時に自分で設定する方法の場合、初心者ユーザーなどの設定の障壁になる場合がある。設定におけるバリアフリーを目指した結果ということだ。

サポート体制充実でセキュリティの不安にも応える

 アイ・オー・データ機器はサポートが充実しており、返金OKや土日サポートなどを提供することで、初心者でも安心して利用したり、セキュリティ対策などについて問い合わせたりできる体制が整っている。またチャットを利用したサポートなども提供している。

 なお、本筋とはそれるが、同社は「Wi-Fiミレル」というスマートフォン向けのアプリも提供している。このアプリを利用することで、手軽にWi-Fiのスピード(インターネットのみだけでなくアクセスポイントまでの速度を計測できるのが秀逸)を計測したり、ヒートマップで電波状況を可視化したりできる。

 このアプリは、同社製Wi-Fiルーターだけでなく、他社製品を利用している場合でも利用可能な点がすばらしいが、このように、ユーザーが困っていること、わからないことに対して、明確な目安を提示しようとする姿勢は、実にアイ・オー・データらしいと言える。

スマホアプリの「Wi-Fiミレル」。他社のルーターやアクセスポイントであっても使える

 なお、実際のサポート情報はメーカーのウェブサイトで確認できる。関連ページ(主要Wi-Fiルーターメーカーのサポートコンテンツリンク集)でメーカーごとのサポートページを紹介しているので、アクセスしてみることをおすすめする。

おすすめの買い替え時はいつ?

 同社がおすすめするWi-Fiルーター買い替えのタイミングはズバリ5年だと言う。

 長く使えることは確かにメリットでもあるが、その分、故障(主に電源周り)や脆弱対策などでユーザーのリスクや手間が増えることにもつながる。であれば、5年という1つの目安を明確に提示し、その間は安心して使えるという方がユーザーにとってはわかりやすいし、結果的にメリットが大きい。

 しかも買い替えるメリットとして、スマートフォンの機種変更と同じようにアップグレードしていく感覚での買い替えも訴求している。5年というのは、おおむねWi-Fiの規格(世代)が変わる期間でもある。

 Wi-Fi 5からWi-Fi 6、Wi-Fi 6Eと、技術的に大きく進化することで、Wi-Fiの安定性や速度も大きく変わる。その状況に合わせてWi-Fiルーターを「機種変」することで、快適さを向上させることができることになる。

 セキュリティに関しても同じ姿勢で、前述したように明確な買い替え時期を提示したり、ウェブサイトで啓蒙記事やサポート終了機種を掲載していたりしている。

▼おうちのWi-Fiルーター、買い替えのベストタイミングは?

▼Wi-Fiルーターサポート・修理終了機種のお知らせ

 もちろん、脆弱性が発見された場合の迅速なファームウェアの更新やWi-Fi接続や管理画面のパスワードのランダム化など基本的な対策はしっかりと実現しつつ、それでも見逃されがちな古い製品に対して、誰にでもわかりやすく、そして明確な基準を示すことで対応している。

 メーカーとして買い替えを積極的に推奨することは、ある意味勇気のいることかもしれないが、こうした積極的な姿勢によって、業界全体に「だいたい5年使ったら買い替えだよね」という自然な風潮が広がることを期待したいところだ。

【Wi-Fiルーター見直しの日 2023:記事一覧】