INTERNET Watch 30周年
【2004年のINTERNET Watch】「Gmail」「mixi」がサービス開始、プロ野球で「ソフトバンクホークス」「楽天イーグルス」誕生
2026年3月30日 06:30
2004年の出来事
2004年(平成16年)の大きな話題といえばアテネ五輪の開催。水泳の北島康介選手、レスリングの吉田沙保里選手、ハンマー投げの室伏広治選手、柔道の野村忠宏選手、谷亮子選手らが活躍したほか、レスリングの浜口京子選手の父であるアニマル浜口氏の「気合だ! 気合だ!」もメディアを沸かせた。
スポーツ関係では、パ・リーグの再編があったのもこの年。近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブが合併して「オリックス・バファローズ」となったほか、詳しくは後述するが、ソフトバンクがホークスを買収して「福岡ソフトバンクホークス」になり、新球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」設立と、IT企業が親会社となる2球団が誕生している。
そのほかでは、10月に最大震度7を記録した新潟県中越地震が発生。前年より米英を中心としたイラクへの軍事攻撃が続く中、イラクで武装勢力により拘束された事件が複数回あり、拘束された人質が殺害されたこともあった。戦闘が続くイラクに行くのは「自己責任」との発言がテレビなどで繰り返され、新語・流行語大賞トップテンにも「自己責任」はランクインしている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2004年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
1.「Winny」開発者、著作権侵害ほう助の疑いで逮捕
▶京都府警、Winny開発者逮捕~事情聴取では47氏が違法性を認める発言も
前年より流行し、著作権侵害やトラフィック圧迫で大きな問題となっていたP2Pファイル共有ソフト「Winny」の開発者である、47氏こと金子勇氏が著作権侵害ほう助の疑いで5月10日、京都府警により逮捕された。
同氏はこの後5月に起訴、前後して金子氏の支援団体が活動を始めるなどして、2009年の無罪判決まで続く裁判が始まる。
他方でこの後、Winnyを媒介とする数々のウイルスが登場したほか、情報流出事件も続発し、個人や企業に限らず、自治体や自衛隊なども流出元となった。詳細は2023年の映画「Winny」公開記念まとめ記事を参照のこと。
2. Googleが「Gmail」提供開始
▶米Google、無料Webメールサービス「Gmail」のベータ版~容量は1GB
4月にGoogleが「Gmail」ベータ版を発表した。
これまで、シンプルな検索サービスのみを提供し、日本語サービスを開始した2000年の本誌では、何で儲けるのか? との疑問を呈したこともあったGoogleだが、実は2000年10月には検索連動型広告「Google AdWords」、2003年にはコンテンツ連動型広告「Google AdSense」を開始していた(現在は「Google広告」に統合)。
そして、Gmailを皮切りとしたかたちで、次々と新サービスを展開するようになる。上記記事でも言及している「Orkut」はSNSで、2014年にサービスを終了した。この年には、ほかにもGoogleニュースや、Google Desktop Search(2011年終了)を公開。翌2005年にはGoogle Maps、Google Analyticsを開始し、2006年にはYouTubeを買収するなど、今のGoogleのサービス群がそろっていく。
3. SNSが流行、「mixi」「GREE」がサービス開始
▶国内関係者が議論「これからのソーシャルネットワーキングとは」
2004年2月に田中良和氏が「GREE」、3月にイー・マーキュリーが「mixi」を立ち上げ、SNSが流行した。上記記事は、12月に開催された「Internet Week 2004」で実施されたSNS関係者らのセッションのレポート。個人の趣味としてGREEを立ち上げたという田中氏、イー・マーキュリー代表の笠原健治氏らがSNSに関心を持ったきっかけや、SNSによるコミュニケーションについて語り、“SNSは、友人や知人など信頼の置ける仲間を招待するサービスで、「人と人が信頼関係でつながるもの」だ。「SNSは、インターネット上で行なわれている悪い行為を防ぐ効果があるのではないか」”といった分析もされている。
前年に流行しだしたブログとあわせ、今でいうソーシャルメディアの活用が盛んになり、そこで活動する個人に注目が集まるようになる。BroadBand Watchでは当時、「みんなでつなげよう! ブログの輪」、SNSの入門連載「ソーシャルネットワークってなんだ?」を掲載したりもしている。
4. Yahoo!BBで450万件超の情報漏えい
▶ソフトバンクBB、450万件超えるYahoo! BBの個人情報漏洩を認め謝罪
1月にソフトバンクBBはYahoo!BB顧客の個人情報242件が流出したと発表。しかし、2月に入って「Yahoo!BB加入者470万人分の個人情報」を入手したとして同社を恐喝しようとした人物が逮捕されたことから、より大量の漏えいが疑われ、2月末に同社は450万件超の漏えいを認めて謝罪した。これは、当時としては史上最大規模の個人情報漏えい事件。
原因は内部不正によるもので、ソフトバンクの元従業員や業務板城先の関係者がデータを盗み出したもので、業務委託の終了後も関係者が外部から顧客データベースなどにアクセス可能になっていたなど、ずさんな管理体制が明らかになった。
詳細な経緯などは、関連記事をまとめた特集も参照いただきたい。
5. プロ野球パ・リーグ再編、ソフトバンクと楽天が球団を所有
▶楽天イーグルスがプロ野球へ新規参入。楽天では記念セールなどを実施
▶ソフトバンク、球団名は「福岡ソフトバンクホークス」。企業ロゴも一新
近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併により1球団減ることになったプロ野球パ・リーグで、11月に「東北楽天イーグルス」の参入が決まった。また、12月にはソフトバンクがダイエーホークスを買収、「福岡ソフトバンクホークス」となった。
こうした動きの中で、ライブドアは6月に近鉄バファローズ買収の意思を表明している。その後新球団設立の動きもみせたが、楽天の新規参入で、どちらも実現しなかった。
6. Yahoo!BBとNTT東西、最大1Gbpsの光回線サービス
▶ソフトバンクBB、1Gbpsの光ファイバサービス「Yahoo! BB 光」
▶NTT東西、1GbpsのBフレッツ新プラン。戸建て向けに0AB~J対応IP電話も
ソフトバンクBBが10月に最大1Gbpsの光回線による「Yahoo!BB 光」の提供を開始した(ただし最大32ユーザーで共有)。11月にはNTT東西が1Gbps対応の「Bフレッツ」新プランを提供する方針を発表。2005年に提供を開始した。
7. Mozilla Foundationが「Firefox」公開
▶軽量Webブラウザ「Firefox」の正式版v1.0が公開
Internet Explorer(IE)とNetscape Navigator(NN)の「ブラウザー戦争」は1999年頃にIEが大幅なシェアを獲得して終結の気配となったが、Netscapeは1998年に「Mozilla.org」で「Netscape communicator 5.0」のソースコードを公開(NPL:Netscape Public Licenseというライセンス条項による)するなど、オープンソースプロジェクトに活路を見出そうとした。
その後、2003年にNetscapeがAOLに買収されたのに伴い、7月にMozillaのプロジェクトを引き継ぐ「Mozilla Foundation」が設立され、2004年11月にウェブブラウザー「Firefox」の公開に至る。
公開の翌月には1000万ダウンロード突破が報告されるなど、Firefoxは確かな存在感を示した。
8. 「おサイフケータイ」登場、NTTドコモが「iモードFeliCa」搭載端末を発売
▶ドコモ、「iモード FeliCa」を7月上旬開始~携帯電話を“お財布”に
7月に、「FeliCa」チップ搭載の携帯電話をNTTドコモが発表。「おサイフケータイ」と命名された。FeliCaは交通系ICカードなどでも用いられる技術で、今では当たり前になったスマホ電子決済の元祖となる。
9. 「スパム10周年」が記念される
「1994年3月5日、Usenetの複数のグループに投稿された“U.S. Green Card Lottery - New Immigration Opportunity”という、アメリカのグリーン・カード抽選に関する広告が、インターネットで最初に問題になったスパム」だというニュース。ただし、最初のスパムが何であるかには諸説あるともしている。
10. 2ちゃんねる発の物語「電車男」が書籍化、ドラマ・映画化も
5月25日のやじうまWatchで「独身男のよくある妄想を現実に体験した2ちゃんねらーの物語」として、2ちゃんねるまとめサイトが紹介されている。このハンドルネーム「電車男」の物語は後に書籍化され、2005年にはドラマ化・映画化までされて、大きな話題となった。インターネット発のコンテンツがメディアミックス展開するはしりであり、大きな事例と言える。

