INTERNET Watch 30周年

【2003年のINTERNET Watch】「Winny」流行、トラフィック増加が問題になったうえに逮捕者も。「ブログ」が話題になり国内で広がる

2003年の出来事

 2003年(平成15年)3月、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っているとして米英が軍事攻撃を開始し、日本も自衛隊を派遣した。侵攻の直前頃から起きた新型肺炎「SARS」(重症急性呼吸器症候群)の世界的流行も、この年の大きな話題だ。

 日本国内では、阪神タイガースの18年ぶりのセ・リーグ優勝が大いに盛り上がり、星野仙一監督の「勝ちたいんや!」が流行語に。小泉純一郎首相の人気で自民党が大勝した衆院選など、この年に行われた選挙から候補者・政党がマニフェスト(政権公約)を発表するようになり、「マニフェスト」は新語・流行語大賞となっている。

 このほか、新語・流行語大賞には、当時のテレビ番組の影響力を感じさせる「ビフォー アフター」「へぇ~」「なんでだろう~」などが並んでいる。養老孟司氏の著書から「バカ本」ブームを起こしたとして「バカの壁」も入った。

2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2003年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。

1.「Winny」流行、トラフィック増加が問題になったほか逮捕者も

ぷらら、「Winny」や「Win-MX」のトラフィック制御を11月より開始~上りトラフィックの60~80%をWinnyなどが占めているのが現状

 P2Pファイル共有ソフト「Winny」は2002年12月に正式版を公開、INTERNET Watchでは、翌2003年1月に公式サイト閉鎖を報じたのが、初めてのWinnyに関するニュースとなる。

 2004年に開発者の金子勇氏が逮捕され、いわゆる「Winny事件」となるが、2003年時点では、著作権侵害の問題、Winnyを介して感染するウイルスと、WinnyをはじめとするP2Pファイル共有ソフトによるトラフィック増加の問題が話題になっていた。

 上記は、ISP「ぷらら」がWinnyなどのアプリケーションのトラフィックを制御するとのニュースで、「ごく一部のぷららユーザーが起動しているWinnyやWin-MXに対する外部からのダウンロード要求が、ぷらら全体の上りトラフィックの約50~70%」を占め、看過できない状況であるとしている。

 P2Pファイル共有ソフトによるトラフィック圧迫問題は、その後の総務省統計の取り組みにもつながっている。

 Winny関連では、11月の京都府警が著作侵害により2人のユーザーを逮捕したニュースも、大きな話題となった。

 2006年になると、ぷららがWinnyの完全規制を発表。これに関し、総務省は、Winnyによる通信かどうかを判断するため、ISPが通信の内容の一部を監視するのであれば、違法性が認められるとの指摘を行っている。ぷららでは、通信のパターンから判定していて通信内容の監視は行っていないと説明しており、6月に通信遮断機能の提供を開始した。

2. 「ブログ」が話題になり、各社がサービスを続々提供

米Tripod、有料加入者に対してBlog作成サービスを開始

 1月に、米国で話題になっている「Blog」サービスを大手のTripodが開始した、というニュース。この後、11月からNTTデータの「Doblog」、オン・ザ・エッヂの「livedoor Blog」、シーサーの「Seesaa BLOG」、ニフティの「ココログ」と国内でブログサービスの提供が相次いで始まり、日本でもブログが盛り上がり始める。

3. 日本語検索サービス「goo」とGoogleが提携し、検索サービス刷新

gooとGoogle、インターネット検索の技術・マーケティング分野で提携~「日本語検索において最高のものを提供する」NTT-X中嶋社長

 1997年に登場した「goo」は高性能な日本語検索サービスとして当時話題となり、1999年にはYahoo! JAPANと提携し、Yahoo! JAPANの持つデータベースに該当するウェブサイトが見つからなかった場合はgooの検索結果を表示するかたちで、サービスを提供していた。

 1998年に登場し1999年に正式サービスを開始したGoogleは、画期的なアルゴリズムによる検索結果で世界中から高い支持を集め、2000年には米Yahoo!のデフォルト検索エンジンとして採用。さらに2001年には、gooとの提携を終了したYahoo! JAPANがGoogleを採用した。

 gooは2003年にGoogleと提携、それまではInktomiの技術をベースにした検索エンジンだったが、Google検索のデータベースからの検索の前後に独自処理を行う検索サービスとなった。2000年代前半は検索サービス間の競争が激しかったのに加え、ユーザーのインターネット利用の起点となるポータルサイト(多数のサービスを提供する総合サイト)としての競争も激しく、Yahoo! JAPANとgooは、どちらもポータルサイトとしてサービスを展開しており、競合の関係になっていた。

 米Yahoo!およびYahoo! JAPANはこの後、2004年に独自の検索エンジン「YST」(Yahoo! Search Technology)に移行したが、2010年に再びGoogleを採用している。

4. ヤフーとマイクロソフトが「迷惑メール対策連絡会」設立

Yahoo!とMSN、「迷惑メール対策連絡会」設立~増加する迷惑メール対策で提携

 ウイルス感染を広げるために送信されるメール、詐欺などの犯罪メールなどの迷惑メール撲滅を目指した団体が、「Yahoo!メール」を提供するヤフー、「MSN Hotmail」を提供するマイクロソフトという、当時のフリーメール大手2社により設立されたというニュース。

 「マイクロソフトが対策すれば、ヤフーへと流れるというように、メール送信者の標的は巧みに移り変わる。ISP同士で取り組まなければならない問題になった」と、共同で取り組むことの重要性が語られている。なお、現在のもう1つの大手フリーメール「Gmail」は、2004年に提供が開始される。

5. 光回線が80万契約突破など、ブロードバンド回線の普及進む

国内のFTTH加入者が80万件を突破~総務省調査

 2003年の最終更新日となる12月26日に、総務省調査でFTTH(光回線)が80万加入を突破したとのニュース。この年12月時点でのDSL加入数は1000万を突破しており、ブロードバンド回線の普及が進んでいる。

 ADSLサービスはこの年、下り40Mbps以上にまで高速化が進んでおり、12月にはNTT東西が下り最大40Mbpsの「フレッツ・ADSL モアII」を発表、Yahoo!BBは下り最大45Mbpsとなる「Yahoo! BB 45M」を翌年1月から提供すると発表している。

6. 「Blaster」ウイルスが猛威、ネットに接続しているだけで感染の可能性

Windowsの重大な脆弱性を攻撃するウイルスを危険度を上げて警告~感染するとDoS攻撃を仕掛け、外部からも操作可能に

 ウイルス(マルウェア)で、この年最も大きな話題となったのが「Blaster」。Windows XP/Windows 2000の脆弱性を突いて感染し、感染したPCでは、ほかのPCへの感染行動やDoS攻撃が行われるというもので、「インターネットに接続しているだけで(ユーザーが何も操作をしなくても)感染の可能性がある」点が特徴。

7. 「iTunes Music Store」サービス開始、約4カ月で1000万曲を突破

米AppleのiTunes Music Store、楽曲販売数が1,000万を突破

 2003年4月に、Appleの「iTunes Music Store」がサービスを開始した(日本での開始は2005年)。当時はMac用ソフト「iTunes 4」から利用し、Windowsには未対応。iPhoneは当然まだなく、2001年に発売された携帯音楽プレイヤー「iPod」がヒットし、第3世代モデルがこの年に発売される。

 上記のニュースは、サービス開始から約4カ月で楽曲販売数が1000万を突破したというもので、毎週の平均ダウンロード数は50万曲だとしている。また、スティーブ・ジョブズCEOの「4カ月で1000万曲をオンラインで合法的に販売したということは、音楽業界、ミュージシャン、世界中の音楽愛好家にとって歴史的な出来事だ。iTunesとiPodによって、Appleはデジタル音楽のための唯一にして完璧なソリューションを提供していく」とのコメントを紹介している。

8. 「2ちゃんねる」に殺人事件に関連して個人情報が書き込まれ、法務省が削除要請

法務省他、長崎男児誘拐殺人事件の書き込みに対し2ちゃんねるに削除要請

 7月に、長崎市で男子中学生による男児誘拐殺人事件が発生。その後「2ちゃんねる」に個人情報を含む書き込みが行われたとして、法務省などが削除要請を行ったというニュース。

 逮捕された生徒を特定しようという動きが起こり、書き込みが行われたことで、法務省人権擁護局に対して対応を求める情報提供が複数寄せられた。これを受け、法務局が削除依頼を行ったが、発表時点では削除が行われていないとしている。

 このような問題に対し、2005年にはネットの人権侵害情報に対し、法務省が1年間で18件の削除依頼を行ったことを紹介している。

 プロバイダ責任制限法を改定し、2025年に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、大規模プラットフォーム事業者として指定する事業者に対し、侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化、実施状況の透明化などの義務を定めた。

9. メルコが社名変更し、バッファロー誕生

メルコがバッファローに社名変更

 10月1日、メルコが持株会社制に移行し、ネットワーク機器やPC周辺機器メーカーとして知られるバッファローが誕生した。バッファロー(BUFFALO)はもともとメルコのブランド名として使用されていたもので、「BUFFALOブランドは、同社の製品『プリントバッファ』の愛称『バッファ郎』に由来しているという」と紹介されている。

 バッファローの誕生などについては、元メルコ社員である奥川浩彦氏のレポート「大塚家具元社長の大塚久美子氏が、バッファローの親会社メルコHDの社外取締役に~株主&元社員として株主総会に参加してきました~」にも詳しい。

10. 「出会い系サイト規制法」施行される

“出会い系サイト規制法案”が可決、今秋から施行へ

 「出会い系サイト」に関し、児童買春の禁止など児童の保護を目的として、出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)がこの年の6月に可決。9月に施行された。

 この後、2008年末に同法は改正が行われ、事業者の届け出義務付け、18歳未満利用禁止の明文表示などが定められた。現在のマッチングアプリ事業者も、同法の規制を受けている。