INTERNET Watch 30周年

【2025年のINTERNET Watch】アサヒグループHDやアスクルなど大企業へのランサムウェア攻撃が相次ぐ。IoT製品のセキュリティラベリング制度「JC-STAR」運用開始

2025年の出来事

 2025年(令和7年)は、4月〜10月に大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)が開催され、国内外から累計2900万人を超える来場者を集め、大きな盛り上がりを見せた。

 夏には全国的な猛暑が続き、6〜8月の平均気温が統計開始以来最も高い値になったほか、群馬県伊勢崎市では歴代最高気温の41.8℃を記録した。また、山間部にとどまらず市街地でもクマの出没が相次ぎ、人的被害が過去最多を記録するなど深刻な社会問題となった。

 一方、スポーツや学術の分野では明るい話題が続いた。メジャーリーグではドジャースが2年連続の世界一を達成し、大谷翔平選手は自身4度目となるMVPを獲得した。10月には坂口志文氏にノーベル生理学・医学賞、北川進氏にノーベル化学賞が授与された。

2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2025年の話題を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧

1. アサヒグループHDやアスクルなど、ランサムウェア攻撃による被害が相次ぐ

アサヒグループHD、サイバー攻撃によるシステム障害発生を発表

 2025年は大企業を標的としたサイバー攻撃が多数発生した。アサヒグループホールディングスは9月、ランサムウェアによる攻撃を受けてシステム障害が発生したと発表。物流業務にも影響を与え、店舗に同社の飲料が並ばなくなるなど大きな衝撃を与えた。

 また、10月にはアスクルもランサムウェア感染によるシステム障害を発表し、「ASKUL」や「LOHACO」などの受注・出荷が停止した。さらに、同社グループに配送を委託していた企業にも影響が及んだ。

2. IoT製品のセキュリティラベリング制度「JC-STAR」運用開始

IoT製品のセキュリティラベリング制度「JC-STAR」運用開始、経産省とIPA

 経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、IoT製品に対する「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」(JC-STAR)の運用を開始した。

 インターネットとの通信が行える幅広いIoT製品を対象として、共通の基準でセキュリティ機能を評価・可視化する制度で、求められるセキュリティ水準に応じて「★1」~「★4」の4つの基準を定めている。

 2025年3月から「★1」の申請受付が始まっており、Wi-Fiルーターやスマート家電など、身近なIoT製品を中心に適合ラベルの取得が進んでいる。そのほかの適合基準についても検討が進められており、一部の製品カテゴリーでは「★3」の要件が公開されている。

3. 「国家サイバー統括室」(NCO)発足

「国家サイバー統括室」(NCO)発足、能動的サイバー防御の導入へ加速

 内閣府は7月1日、内閣官房に「国家サイバー統括室」(NCO:National Cybersecurity Office)を設置した。

 サイバー対処能力強化法および同整備法を受け、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を改組して設置された。「サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織」と位置づけられており、「能動的サイバー防御」の導入を加速させている。

4. NTT東日本が国内最速となる上下25Gbpsの「フレッツ 光25G」を発表

「フレッツ 光25G」、NTT東日本が国内最速となる上下25Gbpsの光回線を2026年3月提供

 NTT東日本は、最大通信速度が上り・下りともに25Gbpsの光回線サービス「フレッツ 光25G」の提供を2026年3月に開始すると発表した。

 同社によると、25Gbpsの商用サービスは国内初かつ国内最速だという。8Kなど映像コンテンツの高品質化やオンラインゲームやクラウドサービスの普及により法人・家庭ともに大容量データ通信を必要とする機会が増えてきていることから提供に至ったと説明している。

5. NTT、「日本電信電話株式会社」から「NTT株式会社」に商号変更

NTT、「NTT株式会社」へ商号変更、グループ各社とともに商号・ロゴを刷新

 NTTは、「日本電信電話株式会社」から「NTT株式会社」へ商号を変更し、コーポレートロゴを刷新した。1985年の民営化から40年が経過し、「日本電信電話株式会社」という商号と事業内容のギャップが大きくなっていることを背景として挙げている。

 グループ各社も同様の変更が実施され、NTT東西は「NTT東日本株式会社」「NTT西日本株式会社」、NTTコミュニケーションズは「NTTドコモビジネス株式会社」、NTTコムウェアは「NTTドコモソリューションズ株式会社」となった。

6. 特殊詐欺被害が過去最悪に。複雑な演出の「複合型詐欺」が流行

電話、SMS、ビデオ通話などを組み合わせ、複雑な演出の「複合型詐欺」が流行〜トビラシステムズ「特殊詐欺・トレンド詐欺手口レポート2025」

 2025年は特殊詐欺の認知件数が2万7832件、被害額が約1423億円と過去最悪の数値となった。警察庁の発表によると、警察官などをかたり捜査の名目で現金などをだまし取る「ニセ警察詐欺」による被害の増加が顕著だという。

 ニセ警察詐欺では、電話で接触した後にメッセージアプリへ誘導し、金銭の振り込みを要求する流れが多く、偽物の警察手帳や逮捕状を見せるなど、公的機関の権威性を悪用した手法が確認されているという。

 警察庁は2026年3月に、国際電話番号や特殊詐欺などに利用された電話番号の発着信を遮断・警告する機能などを備えたアプリを「警察庁推奨アプリ」として認定する制度を開始している。

7. ユーザー自身に悪意あるコードを実行させるサイバー攻撃「ClickFix」が確認

ユーザー自身に悪意あるコードを“コピペ&実行”させるサイバー攻撃「ClickFix」

 ウェブページに偽の警告画面やCAPTCHAなどを表示し、ユーザー自身にPCを操作させてマルウェアをダウンロードさせる新たな攻撃手法「ClickFix」の被害が確認された。

 ユーザーは、解決策として提示された不正な操作方法に従い、悪意あるコードをクリップボードから貼り付けて自ら実行してしまう。OSの標準機能を用いるため、セキュリティ機能を回避しやすいという特徴がある。

8. 誹謗中傷などの迅速な対応を求める「情報流通プラットフォーム対処法」施行

総務省、Google・LINEヤフーら5社を「大規模プラットフォーム事業者」に指定、誹謗中傷などの迅速な対応求める

 総務省は、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法、旧プロバイダ責任制限法)が施行されたことを受け、大規模プラットフォーム事業者の指定を行った。同事業者はネット上の誹謗中傷や不適切な書き込みに対する削除手続きの迅速化・透明化が義務付けられる。

 当初はGoogle、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xの5社が指定され、その後6月、ドワンゴ、サイバーエージェント、湘南西武ホーム(「爆サイ.com」運営企業)、Pinterestの4社が追加で指定された。

9. NHKの新ネット配信サービス「NHK ONE」提供開始

NHKの新ネット配信サービス、「NHK ONE」に名称決定。10月に提供開始

 日本放送協会(NHK)は、放送法改正により、ネット業務が放送を補完する「任意業務」から、放送と原則同一の内容を配信する「必須業務」に変わることを受け、番組の同時配信や見逃し配信、ニュースの記事や動画などを配信する新しいインターネットサービス「NHK ONE」を開始した。

 すでに受信料を支払っている世帯は追加負担なしで利用でき、スマートフォンやPCを持っているだけでは受信契約の対象にはならないとしている。

10. Wi-Fiの反射波で不審者を検出する“Wi-Fiセンシング”の防犯サービスが登場

Wi-Fiの反射波で不審者を検出する“Wi-Fiセンシング”の家庭向け防犯サービス、オプテージが提供

 オプテージは、Wi-Fiセンシングを活用した防犯サービス「MAMOLEO ライトプラン」の提供を開始した。

 Wi-Fiセンシングは、Wi-Fiの電波の反射を利用してエリア内の人や物の動きを検知する技術で、カメラの映像を使用しないためプライバシーが守られるほか、赤外線センサーよりも広範囲を監視できるといった特徴を持つ。

 また、コンセントに挿して設置する「そっと見守るWi-Fiセンシングプラグ」が発売されたほか、高齢者向け住宅における見守り技術の実証実験が行われるなど、防犯用途にとどまらず、高齢者や家族の見守りでも活用が進んでいる。