INTERNET Watch 30周年

【2024年のINTERNET Watch】KADOKAWAへのサイバー攻撃でニコニコが長期停止、SNSを悪用した「闇バイト」「偽広告」が深刻な社会問題に

2024年の出来事

 2024年(令和6年)は、元日に最大震度7を観測する「令和6年能登半島地震」が発生し、甚大な被害をもたらす波乱の幕開けとなった。一方で、新型コロナウイルス感染症の流行から初めて1年を通して行動制限のない年となり、訪日外国人客が急回復した。各地で活気が戻る半面、一部の観光地ではオーバーツーリズムが社会問題化した。

 7月には、渋沢栄一らをデザインした新紙幣が20年ぶりに発行され、大きな話題を呼んだ。また、夏には全国的な記録的猛暑が続いたほか、8月には、宮崎県で震度6弱を観測した日向灘を震源とする地震(M7.1)の発生を受けて、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表され、防災や災害時における情報収集の重要性を強く意識させられた。

 7月から8月にかけてフランスで開催されたパリオリンピックでは、日本代表が海外開催のオリンピックとして過去最多となる金メダル20個を獲得した。さらにメジャーリーグでは、ドジャースの大谷翔平選手が前人未到の「50本塁打、50盗塁(50-50)」を達成し、ワールドシリーズ制覇も果たすなど、スポーツでは明るい話題が続いた。

2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2024年の話題を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧

1. KADOKAWAグループに大規模サイバー攻撃、ニコニコなどが長期障害

ニコニコおよびKADOKAWAグループのサイトに週末から大規模なサイバー攻撃か。10日朝時点でも復旧せず

 KADOKAWAグループに対してランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃が行われ、6月8日未明から「ニコニコ」の各種サービスや同社ポータルサイト、出版・物流の基幹システムが停止した。

 ニコニコでは、6月14日に「ニコニコ動画(Re:仮)」として、ニコニコ動画に投稿された人気作品から一部の動画が視聴できる仮設サービスを公開した。公開当初はサービス開始初期(2007年)の動画を視聴でき、SNSなどでは当時を懐かしむ声が上がっていた。

 その後、8月5日にニコニコの主要サービスが再開されたほか、KADOKAWAオフィシャルサイトや書籍の注文・情報・販促システムなども段階的に復旧が進められ、2025年2月7日をもって、一連の障害により停止していたすべてのサービスが再開された。

2. 「闇バイト」募集の大部分がSNS、警察庁が特徴や手口を公表

「闇バイト」募集の大部分はXなどのSNS、「即日即金」「ホワイト案件」といったキーワードに注意―警察庁が特徴を発表

 警察庁は、首都圏などで相次いだ強盗や詐欺事件の実行役を募る「闇バイト」について、SNSなどにおける求人の特徴などを公開し、注意を呼びかけた。

 闇バイト募集の大部分はX(旧Twitter)で行われており、「即日即金」「ホワイト案件」といったキーワードが多用されているのが特徴。応募後にTelegramなどの秘匿性の高い通信アプリへ誘導される。

 個人情報を送信してしまい、自分自身や家族への脅迫があったとしても、警察は確実に保護するとしており、犯罪に加担する前に、勇気を持って抜け出し、すぐに警察に相談してほしいとしている。

3. 国家的な支援を受けたサイバー脅威や「地政学的リスク」が表面化

中国のサイバー攻撃集団「APT40」に対する国際アドバイザリーに日本も署名、攻撃事例・対策を共有

 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)と警察庁は、豪州が主導する、中国の国家的な支援を受けたサイバー攻撃グループ「APT40」に関する国際アドバイザリーの共同署名に加わった。

 このほか、警察庁は日本人になりすましてIT関係の業務を受注する北朝鮮IT労働者に対する企業への注意喚起を行ったほか、米国などの複数の組織が親ロシア派ハクティビストによる執拗なサイバー攻撃が深刻な被害を生んでいると緊急警告している。

 こうした国家的な支援を受けた脅威の急増を受け、翌2025年にIPAが発表した「情報セキュリティ10大脅威」では、組織の脅威として「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」が初めて選出されることとなった。

4. 集合住宅も光配線中心に、フレッツ光「VDSL/LAN」新規受付終了

NTT東日本、「VDSL/LAN配線のみ」かつ「現在利用なし」の集合住宅で、フレッツ光のVDSL/LAN配線方式での新規受付を10月24日に終了、光配線への移行促す

 NTT東日本は、集合住宅向けのフレッツ光において「VDSL配線方式」および「LAN配線方式」の新規申込受付を順次終了すると発表した。

 集合住宅の通信品質向上と電気使用量削減による環境負荷低減を目的として光配線方式への移行を促進していくとしており、利用のない建物から順次新規受付を終了し、既存の契約者に対しても「光配線方式」への変更を呼び掛けている。

 NTT西日本も「ひかり配線方式」と「VDSL/LAN方式」の集合装置が併設されている建物と、「VDSL/LAN方式」の集合装置が単独設置されていて利用者がいない場合において、2025年1月31日までで、「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN方式」などの新規受付を停止すると発表している。

5. 「177」「104」「タウンページ」など、固定電話関連サービス続々終了

NTT東西、天気予報サービス「177」を2025年3月末に終了。利用減少などにより

 NTT東西は、天気予報サービス「177」を2025年3月末をもって終了すると発表した。

 このほか、2026年3月末には「104」番号案内や、紙媒体の「タウンページ」の発行終了についても発表が行われ、固定電話に関連するサービス終了の発表が相次いだ。

6. 「サポート詐欺」が大問題に、70歳以上の相談が増加

70歳以上の「サポート詐欺」相談が大幅増加! PCに突然表示される警告画面に、国民生活センターが注意喚起

 独立行政法人国民生活センターは、「サポート詐欺」に関する相談が70歳以上で大幅に増加しているとして、注意喚起を行った。

 サポート詐欺では、ウェブサイトを閲覧中に「ウイルスに感染しました」のような偽の警告画面を表示し、特定の番号に電話をかけるよう指示されるもの。電話をかけると、ウイルス駆除のためなどと称してPCの遠隔操作ソフトをインストールすることなどを指示され、高額の「サポート費用」を請求される。

 同センターでは、PC利用中に突然警告画面や警告音が現れても、あわてて画面に表示された連絡先に電話しないことなどをアドバイスしている。ウェブブラウザーを強制終了するなどすれば、サポート詐欺の画面を閉じることができる。

7. 総務省、MetaほかのSNS事業者に「なりすまし型偽広告」対策を要請

総務省、MetaほかのSNS事業者に、被害急増中の「なりすまし型偽広告」対策を要請

 総務省は、FacebookやInstagramを運営する米Meta Platforms、および、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構(SMAJ)に対して、広告出稿時の事前審査と、偽広告の削除を実施するように要請した。

 この要請は、SNSなどで著名人や有名企業になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスなどへの勧誘を図る広告からユーザーを誘導する「SNS型投資詐欺」や、マッチングアプリなどで知り合った相手に、投資や資金援助などの名目でお金を奪い取る「SNS型ロマンス詐欺」の被害が拡大していることを受けたもの。

 2026年8月には、警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁、総務省、法務省および経済産業省の7府省庁合同で、なりすまし詐欺広告への対策強化について、デジタル広告プラットフォーム5社に文書による要請を行った。

8. 「ダークパターン」撲滅を目指すダークパターン対策協会が設立

意図せず不利な行動をさせるウェブの「ダークパターン」撲滅目指す組織設立、優良サイト認定制度の運用へ

 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)を主幹とする「Webの同意を考えようプロジェクト」は、プロジェクトの発展的解消と、誠実なウェブサイトを認定するためのガイドラインの策定、認定制度の運用などの活動を行う一般社団法人ダークパターン対策協会の設立を発表した。

 ダークパターンとは、「1回きりの購入のはずが定期購入になっていた」「解約画面が見当たらない」「解約料に不当に高い金額が請求されている」といった、ユーザーに意図せず不利な行動をさせる、悪質なウェブサイトにおける誘導やシステムの設計を指すもの。

 同協会では、ダークパターンを用いないウェブサイトを第三者の審査をもとに認定する「NDD認定制度」を運用している。

9. NTTの日本語処理に特化した国産LLM「tsuzumi」の提供開始

NTTが開発したLLM「tsuzumi」、NTT Comより商用生成AIサービスとして提供開始

 NTTコミュニケーションズ株式会社は、NTTが独自開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」を活用した生成AIサービスの提供を開始した。

 「tsuzumi」は、1GPUで動作できる軽量なモデルでありながら、高い日本語処理能力を備えているのが特徴。省電力・低コストで運用できるほか、オンプレミス環境での構築にも対応する。

 2025年10月には、日本語性能や特化型モデル開発効率が向上した「tsuzumi 2」の提供を開始している。

10. 「Starlink」を活用した南極昭和基地からの8K映像リアルタイム伝送に成功

KDDIら、南極昭和基地から「Starlink」による8K映像リアルタイム伝送に成功

 KDDI株式会社と国立極地研究所は、南極昭和基地と日本本土を衛星ブロードバンド「Starlink」で接続し、8K映像のリアルタイム伝送に成功したと発表した。

 昭和基地で従来使用されていた映像伝送技術では、映像品質はHDTVが上限だった。今回、Starlinkを活用することで大容量・高速通信を実現し、極地からのリアルタイムでの映像伝送が可能となり、遠隔医療や学術研究、観測データの迅速な解析などへの活用が期待されている。