被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

ウェブサイトを閲覧していたらいきなり請求画面が開いた!

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 ウェブサイトを閲覧していると、いきなり「会員登録ありがとうございます! 3日以内に、59800円をご入金ください」といった内容が表示されることがある。もちろん、入会手続きなどをしていないなら、ネット詐欺だ。しかし、知識がない人だと驚いてしまう文面や情報が掲載されているのが賢いところ。

 例えば、「期日までに支払われない場合は、ご自宅もしくは会社にご請求させていただきます」と書かれていれば、無視して画面を閉じにくくなってしまう。また、あなたの情報として、IPアドレスや利用しているブラウザー、サーバーの情報などをずらずらと表示するケースもある。この中で、例えば「ゲートウェイ」のところに自分が契約しているインターネット接続会社の名前が出ていたり、利用しているOSやブラウザーの種類、画面の解像度などが合っていたら、「身元がばれている!」とおののいてしまうかもしれない。

いきなりこのような画面が出てきても、驚かないように

 この手の詐欺のことを「ワンクリック詐欺」という。そして、この手のワンクリック詐欺サイトは、アダルトサイトなど怪しいサイトからリンクしていることが多い。本人は画像や動画を開いたつもりでこの画面が出たら肝をつぶしてしまう。そして、誰にもばれたくないため、振り込んでしまうのだ。

 何もしていないのに、ワンクリック詐欺画面が現れたのなら、対処法は「無視」。そのままウェブページを閉じてしまえばいい。「訴訟する」とか「取引先に身元調査を行う」といった、本当に恐怖心をえぐる文言が並ぶこともあるが、気にしないこと。できれば、もうそういうサイトを開かない方がいいだろう。

 しかし、さらに恐ろしいワンクリック詐欺サイトも発見されている。ウェブページを開いた瞬間、カメラのシャッター音が大きく鳴り、「顔写真を撮影しました」と表示されるのだ。これも、嘘。シャッター音をBGMとして再生しているだけで、PCやスマートフォンのカメラ機能で撮影されたわけではない。アクセス権の同意なしに、バックグラウンドで撮影されることはないので覚えておこう。

 振り込んでしまうのもNGなのだが、それ以上に最悪なのが「異議申し立てはこちら」などの連絡先にメールや電話で連絡してしまうこと。そうすると、直接、詐欺にかけられてしまうことになる。こうなると、もう表示された金額では済まなくなるケースが多い。やり取りしているうちに怪しいと気が付いた場合、その電話番号やメールアドレスを受信拒否して無視すればいい。個人情報を渡してしまった場合も基本は無視するしかないが、相手がしつこそうなら国民生活センターなどに相談しよう。

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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。