被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

転売チケットで楽しみにしていたコンサートに行ったら入場できなかった

 国民生活センターが6月6日、インターネットでのチケット転売に関するトラブルについて発表しました。2013年から相談数は微増していたのですが、2018年には2045件と2.4倍に激増しました。

2013年には479件だった相談兼巣が、2018年には2045件にまで増えています(国民生活センターの2019年6月6日付発表資料より)

 どうしても行きたいコンサートやスポーツの試合、イベントなどのチケットを少しでも安く買いたいとか、公式では手に入らなかったので割高でも買いたいといった人たちが、チケット転売仲介サイトを利用し、トラブルに遭っているのです。

 このトラブルには3パターンあるのですが、完全に自業自得なのがSNSやネット掲示板などで知り合った相手と直接メールやメッセージなどでやり取りしてお金を振り込んでしまうパターンです。前払いしたのにチケットが送られて来ないとか、連絡が取れなくなったと騒いでも後の祭りです。もちろん、SNSや掲示板の運営会社が保障してくれるわけもありません。

 2番目はちょっと可哀想なのですが、ネットで検索して見つけたサイトが公式のチケット販売サイトだと思い込んでしまったケースです。チケット仲介サイトはネット広告を出しているので、慣れていない人は見間違えてしまうことがあるのです。きちんとチケットを購入できたとしても、利益の乗った大幅に割高な価格になっている可能性があります。さらに、最近のコンサートやイベントなどでは、転売チケットで入場できないこともあります。これは公式サイトには明記してあるのですが、勘違いして購入してしまったユーザーは泣き寝入りするしかありません。

 悪質なのが、チケット仲介サイトで代金を支払ったのに、チケットが届かないとか、もらった発券番号が無効になっているというトラブルです。観劇チケットを2万6000円で購入したのに、宅配便でファミリーレストランのクーポン券が届いたケースもあるそうです。連絡すると、「再度メールする」と返信があったあと、音信不通になりました。よくあるパターンのネット詐欺と言えます。

 もし、チケット転売仲介サイトを利用するなら、公式サイトを確認し、最低でも転売禁止ではないことを確認する必要があります。それでも、チケットが届くかどうかは賭けになります。トラブルになっても、チケット転売仲介サイトは当事者間に介入しないので自分で対処するのが基本です。保障サービスもありますが、有料だと利用しないケースも多いでしょう。さらに、保障の条件として会場には入れなかった証明が必要だったりと手間がかかります。

 都合が合わなくなり、転売する側でもトラブルが報告されています。きちんとチケットを送ったのに、チケットが届かないとか入場できなかったと難癖を付けて支払いをしないケースがあるそうです。

 契約当事者の属性を見ると、女性が全体の72.2%と圧倒的に多いのが特徴です。男性は27.8%で30歳代が最も多くなっていますが、女性は20歳代が最も多くなっています。とはいえ、50歳代以上でも多数の相談があります。

 購入金額は1万円~5万円が6割以上を占めています。ネット詐欺に遭っても、自分にも一定の隙があるので、全力で戦おうと思えない金額です。泣き寝入りする多いのではないでしょうか。

 チケット転売仲介サイトで人気のコンサートを調べてみたところ、ネットで購入したチケットでの入場はお断りと書いてあるところがいくつもありました。実際は、確認せずに入れてしまうこともあるようですが、数万円も支払って入れるかどうか分からないまま現場に向かうのはリスクが高すぎます。飛行機を使って泊まりがけで行って、現場で入場拒否されたときのダメージは計り知れません。

 この手のトラブルに遭わないためには、公式サイトを使うのが確実です。都合が悪くなった人が譲渡する場合も、公式のリセールサイトを利用しましょう。東京オリンピックのチケットでも、公式のリセールサイトが用意される予定です。くれぐれも、怪しいところで購入しないように注意しましょう。

NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。