被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
オークション/フリマで見かけたら怪しんだほうがいい怪しい常套句
2019年12月20日 06:00

ネットオークションやフリマアプリでの取引はトラブルが絶えません。最近は、サービス側も露骨な詐欺に対しては対策を取ってくれるようになりましたが、サービスが定めた正規の手続きとは違う手順で取引したり、相手に悪意と知識がある場合などは、被害を回復できない可能性があります。経験を積めば怪しいと分かる誘いも、トラブルに出会ったことがない人だと判別がつかないことでしょう。そこで今回は、ネットオークションやフリマアプリで言われたら、ネット詐欺を怪しんだほうがいいフレーズを紹介します。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「直接取引できますか?」
これは、あらゆる取引サービスでNGです。サービス側が利用料を徴収できないので当たり前です。ネット詐欺を仕掛ける側は、「手数料を浮かせて、その分少し安くします」と持ち掛けます。しかし、メールアドレスや電話番号を教えてしまうのはリスクです。料金を支払ったのに品物が送られてこないとか、品物を送ったのに料金が振り込まれないといったトラブルが起きる可能性は高いでしょう。個人情報を悪用されるかもしれませんし、出会い目的の人が来る可能性もあります。被害に遭っても、当然そのサービスは補償などしてくれません。
「受け取り評価のあとに発送します」
フリマアプリで見かけるのですが、入金とともに受け取り評価をしてくれたら、すぐに発送します、というものです。受け取り評価は受け取ってから評価するものなので、明らかに正規の手順から逸脱しているのですが、初めて取引する人はそんなものか、と思ってしまいかねません。
受け取り確認をしたということは取引が終了したとお互いのユーザーが認めたわけですから、お金が相手に振り込まれてしまいます。受け取り確認を先にさせようとするのはネット詐欺ですので、注意してください。
「箱のみの販売です」
筆者もひっかかりそうになったネット詐欺です。高価な製品がとてもお手頃な価格で出品されていて、多数の写真や説明の長文が掲載されているのが特徴です。そして、その中のどこかに、注意書きとして「箱のみの販売です」と書いてあるのです。見逃した人が製品そのものをもらえると思って入札してしまうのを狙っているのです。実際に、空箱だけで本当に取引されているものもあるので、ネット詐欺と断じることもできませんが、お金が発生するときは全文を細かく読むことをお勧めします。
「並行輸入なのでサポートはなし、ノークレームで」
出品者が海外で買ってきたものなので、メーカーからはサポートは受けられない、と記載されているケースです。ブランド物のバッグや財布などに多く、ほぼ偽物です。並行輸入品そのものが悪いわけではなく、偽造アイテムを売る際に、そのような言葉で信用させようとしてくるのです。安いからと言って、偽物に手を出すのはやめましょう。
「落札者がキャンセルしたので取引したい」
ヤフオク!では対策されましたが、オークションサイトの典型的なネット詐欺手口です。最高落札者が取引を辞退したので、次点だったあなたに買ってもらいたい、と連絡するのです。もちろん、直接取引を持ち掛けてきます。この場合、最高落札者も、相手の自作自演の場合があります。相手にしないほうがよいでしょう。
「未発売製品です」「予約商品です」
サービスによっては予約した製品を出品することができます。しかし、販売まで数カ月ある場合、リスクは跳ね上がります。お金は支払われてしまいますし、取引の詳細情報が消えてしまう場合もあります。その間にアカウントを消してしまう可能性もあります。とてもリスクが高いので、問題ないと判断できない限り、初心者は手を出すのを避けたほうがよいでしょう。
以上が、見かけたら怪しんだほうがいい常套句となります。ありえないほど美味しい話はあり得ないと肝に銘じておきましょう。また、オークションサイトやフリマアプリを使う際は、ウェブサイトをよく読んで、正規の手続きを把握してください。お金が絡むところで、適当に操作するのはリスクが高すぎます。被害に遭ったとき、サービス側や警察が助けてくれず泣き寝入りすることはざらです。デジタルリテラシーを高め、自己防衛に努めましょう。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。