被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
高齢者のネット詐欺被害を撲滅しよう!
ネット詐欺メール厳選6通+α、11月に届いた100通からピックアップ
2019年12月13日 06:00
筆者は複数のメールアドレスを持っていますが、10年以上使っているメールアドレスには多数の詐欺メールがほぼ毎日届きます。今回は筆者のところに届いた最新詐欺メールをまとめて紹介しましょう。低クオリティであきれてしまうものから、タイミング次第では誰でも引っかかってしまうものまで、11月も多種多様でした。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
毎月100通以上のネット詐欺メールが来ますが、最近の主流はLINEとAmazonをかたるフィッシング詐欺です。詐欺サイトに誘導し、LINEやAmazonのアカウントをゲットしようとしているのです。
Amazonをかたるメールでは「残念ながら、あなたのアカウント Amazonを更新できませんでした」と始まります。ひどい文章なので詐欺だと分かりますが、将来きちんとした日本語に翻訳されるようになることを考えると怖いですね。
LINEは「アカウントに異常ログインされたことがありました」とか「検証してお願いします」とあるので詐欺だと分かります。
11月13日に来たのは、三井住友銀行をかたるフィッシング詐欺メールです。口座は持っていますが、融資の申し込みなどはしていないので、引っかかることはありませんでした。メールアドレスを調べたところ、ぐちゃぐちゃの文字列だったので詐欺だと分かります。ただし、日本語が完璧なので、危険度は高めです。
11月2日には、「AirPods 2」が当たったので、送料200円で送るという詐欺メールが来ました。こちらは200円とともに、クレジットカードや個人情報を盗むのが目的です。こちらのメールアドレスを本文に書いて信頼度を上げようとしていますが、やはり日本語が少々変です。
JCBをかたる詐欺メールも来ました。こちらの日本語はぼちぼちで、JCBカードをメインで使っている筆者はちょっと驚きました。署名の住所は本物ですし、メールアドレスのドメインは「@jcb.co.jp」でした。ログインURLも「https://jcb.xxxxxx.com」と似せてきています。
結論から言うと、メールアドレスは偽装、ログインURLも「xxxxx.com」部分が本物のドメインです。なかなかハイレベルな詐欺メールでした。
11月18日に来たマイクロソフトをかたった詐欺メールは、安全な環境で実際に引っかかってみました。セキュリティのためにPINコードを設定しろ、と誘導しています。「Pinコードを設定します」をクリックすると、Officeのウェブサイトに似せたページが表示されました。「今すぐ認証」をクリックすると、マイクロソフトアカウントや姓名、住所、電話番号、クレジットカード番号、有効期限、名義、セキュリティコードまで求めてきます。入力後、最後の最後の「閉じる」ボタンが中国語になっているのが笑えます。その後、本物のマイクロソフトのウェブサイトにリダイレクトされます。
信じてしまったら、最後まで入力してしまうことでしょう。まずは、疑うこと。その次に、メールのURLを開かず、自分でマイクロソフトのウェブサイトを検索してログインするようにしましょう。
ネット詐欺は、メール以外からも忍び寄ってきます。11月18日にはFacebookメッセージで「私を飲みに連れていってください。ここから連絡ください」と英語で来ました。筆者は、Facebookにお酒を飲んでいる投稿ばかりしているので、あり得ないことでもありません。しかし、URLを開いたら、アダルト系の出会い系サイトでした。典型例なので、もちろん詐欺と判断が付きましたが、知識がなく、タイミングが悪いと引っかかってしまいかねないので注意が必要です。
手を変え品を変え、ネット詐欺メールは蔓延しています。たとえ、月に100通届いても、被害に遭わないようにデジタルリテラシーを高めましょう。今回紹介したような事例を知ることが、その一歩となります。
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