被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
高齢者のネット詐欺被害を撲滅しよう!
「子犬詐欺」に注意! 日本で次に流行りそうな“ネット詐欺”手口、米国の最新事例から知る
2020年2月28日 06:00
アメリカの連邦取引委員会(FTC)のウェブサイトには、ネット詐欺の事例が報告されています。その中から、直近の事例をチェックし、次に日本に輸入されそうな手口を紹介します。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
まずは、話題の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についてです。コロナウイルスの脅威を解説したり、予防のための方法などを切り口にした文面が送られてきます。ランダムな地域に関する嘘情報のこともありますが、偶然近くに住んでいる人は信じてしまうことでしょう。被害者への寄付を募ったり、適当な治療法のアドバイスをすることもあります。
そして、マルウェアが仕込まれた添付ファイルを開かせようとしたり、寄付させようとします。コロナウイルスに関連するサービスや製品を販売している上場企業の株価が大幅に増加するとして、投資を持ちかけてくることもあります。予防接種や治療のオンラインオファーをしてくることもあるそうです。その手法の話を初めて聞くなら、詐欺の可能性大です。
個人間のモバイル決済アプリを利用した詐欺も増えているようです。このアプリは、お店で利用料金を支払うのではなく、友達や家族に手軽に送金するためのアプリのことです。日本ではあまり普及しておらず、連邦取引委員会のウェブサイトでは、「CashApp」「Venmo」「Zelle」などが紹介されています。
例えば、Venmoは商品やサービスの代金を支払うために利用することは禁止されています。しかし、あまりこの規約を覚えている人はいません。
ある女性は、家族の誕生日に子犬をプレゼントしようと考えていました。ネットで探していたら、可愛い子犬を販売しているサイトを見つけ、モバイル決済アプリで手付金として数百ドルを送信しました。その業者は連絡が取れなくなり、もちろん送金したお金も戻ってきません。クレジットカードや小切手でもないので、取引のキャンセルができないのです。
ちなみに、可愛い子犬の写真を掲載し、販売する手口は「子犬詐欺」と呼ばれ、ネット詐欺の典型的な手口の1つとなっています。ネットで拾った可愛い犬の写真を利用し、安く売ろうとするのです。いったんカモが食い付いたら、犬のケージや獣医からの請求書などの料金も求めます。支払いがあれば、次はペットの保険や空港の通過料金を求めます。もちろん、どこまで支払おうと、子犬は届きません。
「カーラップ詐欺」にも注意しましょう。あなたが所有している車に広告のラッピングをすることで、広告主から週に250~350ドルの報酬が得られるというものです。「車に乗って小遣いを稼ごう!」といった広告で獲物を引っかけるのです。実際にきちんと運用されているビジネスもあるのですが、カーラップ詐欺は巧妙にお金だけをむしり取ります。
先に、広告料金の小切手が届きますが、換金には日数がかかります。そして、すぐに広告を掲載するための料金を支払うように指示されます。もしくは、広告ラッピングを作るクリエイターが多忙なため、前倒しで作業してもらうための特急料金を前払いしなければならないと言ってくることもあります。
指示された金額は小切手の額面の数分の1ですが、迅速に作業するように求められます。銀行への連絡を避けるために、宅配業者の夜間配送を利用しているのが賢いところです。小切手は偽造ですが、名義は実際の企業の名前を利用しているので、信用してしまいがちです。そして、振り込んだお金は返ってきません。
いかがでしょうか。対策としては、本連載でいつもお伝えしているように、「あり得ないくらい美味しい話はあり得ない」「高額商品を購入する際は信用できるサイトを利用する」「怪しいファイルは開かない」「前払いを求められたら詐欺を疑え」といった基本テクニックが有効です。アメリカの最新事例を参考に、日本に上陸したときに引っかからないようにしてください。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。