被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

高齢者のネット詐欺被害を撲滅しよう!

安いマスクを購入できたつもりが送料で何万円も取られた

 連日、新型コロナウイルスのニュースが世間を賑わせており、マスクが高額転売されるというひどい事態になっています。その中で、商品価格を抑えたままぼったくる手口が流行しているのでご紹介します。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 マスクが欲しくても、薬局などの店頭ではなかなか買えない状況が続いています。ネットでもきちんとしたショップの在庫は売り切れになっています。ときどき在庫のあるショップが出品していますが、ものすごいぼったくり価格になっています。ネットオークションもぼったくり価格が横行しており、経済産業省は2月28日にネットオークションにマスクを出品することを自粛するように要請しました。

 その中で、ときどき適正価格もしくは激安でマスクを出品しているところがあります。掘り出し物を見つけた!と急いで飛びつくととんでもないことになります。送料が1万円とか2万円に設定されているのです。この送料は、商品の説明ページにも決済ページにも記載されています。きちんと読めば引っかかることはないのですが、赤い文字で大きく表示されているマスクの商品価格しか目に入らないと、何も考えず、クリックを進めてしまうことがあります。

1円の商品に1万円の送料が乗っている例です

 商品が届いたなら、詐欺とは言えません。とはいえ、利用者にも返品する権利はあります。自己都合になるので、返送料は自腹ですが、1000円程度でしょう。しかし、問題は返金されるのは商品代金だということです。送料は返金されないので、今回のケースでは意味がありません。基本的には泣き寝入りすることになるでしょう。

 ネットで何かを購入するときに、送料をチェックするのは常識です。実は、昔から似た手口は存在しています。例えば、何らかの製品をオークションサイトなどに1円で出品します。すると、1円ならと気軽に購入してしまう人が多いのです。そして、送料が600円とか700円かかりますが、1円で購入もしくは落札できるのでしょうがないと考えます。

 実はこの商品、100円程度で仕入れています。もちろん1円だと商品価格としては赤字なのですが、メール便などで運賃を180円にすれば、トータルで400円程度の利益が出るのです。

 ネットで何か買うなら送料は必ず発生します。しかし、サイズや重量でいくらくらいかかるのかは検索すれば分かります。その手間を惜しんで適当にすると、結果的に損をしてしまうことがあります。

 デジタルリテラシーを高め、悔しい思いをしないように自己防衛してください。

NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。