被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

「特別定額給付金」に群がるネット詐欺集団の被害に遭わないために

 全国民に一律10万円を給付する「特別定額給付金」が話題を集めています。早期に手続きした人はもう振り込まれ始めていますが、まだまだ手続きをしていないという人は多いでしょう。マイナンバーカードを取得しておらず、郵送手続きをする人もたくさんいます。

 そんな状況の中、生活のために一刻も早く給付金が欲しいのに申請書が届かずに焦っていたり、紙の手続きが面倒と感じている人は要注意です。

 携帯電話キャリアから、「給付金の申請ができるページを用意したので手続きをしてください」というメールが届いたらどうでしょうか。メールに記載されているURLを開き、個人情報を入力してしまうのではないでしょうか。マイナンバーや銀行口座といった普段は注意を払う情報もお金をもらうためなら入力してしまうことでしょう。

 しかし、こうしたフィッシング詐欺で盗まれた個人情報は、悪用されたり売買される恐れがあります。KDDIとNTTドコモ、ソフトバンクでは、新型コロナウィルスに関連したフィッシング詐欺について、注意を促すウェブページを公開しています。

 給付金の受給にあたり、手数料が必要だと騙す振り込め詐欺も起きています。区役所や総務省は手数料の振り込みをさせるようなことはありません。個人情報の窃取に加え、この場合は現金の被害も発生してしまいます。

 総務省では「メールを送り、URLをクリックして申請手続きを求めることは絶対にない」と注意喚起をしています。メールのURLを安易に開くのは避けましょう。

 電話番号を渡してしまうと、直接電話がかかってくるかもしれません。その場合、通話しながらATMの操作を求められることがあります。これも振り込め詐欺の手口なので、相手にしないでください。

 岡山市の事例では、給付金の事務代行手続きの費用として3000円を振り込むように、ショートメッセージ(SMS)が届きました。振り込み先まで明記している直球勝負のネット詐欺です。もちろん、無視して構いません。

 もし怪しいと思ったら、「消費者ホットライン」(電話番号:188番)に相談してください。給付金に関連しているなら、「新型コロナウィルス給付金関連消費者ホットライン」(電話番号:0120-213-188)に相談しましょう。

 何があっても、銀行口座の暗証番号やマイナンバーとそのパスワードは絶対に人に教えてはいけません。このことはぜひ、肝に銘じておいてください。ご両親などにも伝えておきましょう。

 犯人はなんとしても情報を詐取しようと企みますが、暗証番号やパスワードを教えることがNGだということが分かっていれば騙されずに済みます。正しいデジタルリテラシーと最新のネット詐欺の手口を学び、被害に遭わないようにしましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。