被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
不安にさせてから安心させてアカウントを確認させる手口がずるい
2020年6月12日 06:00
先日、Amazon.co.jpをかたったフィッシングメールが届いたのですが、小狡い手口だったので紹介したいと思います。文面は以下のような感じでした。
「Amazon.co.jpをご利用いただき、ありがとうございます。あなたのアカウントに異常な活動が検出されましたので、ご注文商品【Apple iPhone8 Plus 256GB ゴールド docomo】はキャンセルされました。 すぐにアカウント情報を更新してください。
アカウント情報を確認する前に、アカウントへのアクセスを停止します。何卒、よろしくお願い申し上げます。Amazon.co.jpのまたのご利用をお待ちしております。」
差出人には「info@amazon.co.jp」と表示されています。タイトルや本文を眺めた瞬間は、何かトラブルがあったのかもしれないけど、キャンセルされたなら特に金銭的には問題ないか、と感じました。
しかし、「すでにiPhone 11を持っているのに、なぜiPhone 8 Plusを買うのか?」という疑問や、メール本文の「アカウント情報を確認する前に、アカウントへのアクセスを停止します」が何を言っているのか分からないことから、フィッシングメールだと判断しました。
フィッシングメールがアカウント情報を更新させようとしてきたら警戒心も生まれるのですが、「キャンセルしたので被害はないですよ」と言われると油断してしまいます。
おそらく、意味不明な文章は英文の直訳で、元は「あなたがアカウント情報を確認するまでは、アカウントへのアクセスは止めておきます」いう内容だったと考えられます。ユーザーは焦らずに、アカウントをチェックしよう、と思ってしまうかもしれません。
メール本文の「アカウントの更新」というリンクをクリックして、フィッシング詐欺サイトを開けば、アカウントの確認という名目で個人情報を盗まれることになります。
この被害を回避するためには、メールのURLは開かない、という基本を守れば問題ありません。自分でAmazon.co.jpのウェブサイトを開いてサインインすればいいのです。
今回は、フィッシングメールの日本語が変だったので簡単に見破れましたが、もし日本人がこの手のネット詐欺を仕掛けてきたらリスクは高まります。メールアドレスに使用するドメイン名をAmazon.co.jpに似せた文字列にしたり、掲載する商品も注目の新製品で、本文も自然な日本語になっていれば、本当にその商品を注文したユーザーの一定割合がクリックしてしまうことでしょう。
事例を知っておけば、いつか同様のメールを受け取った時に、「もしやネット詐欺では?」と怪しむことができます。不安にさせてから安心させて、その隙を突くというテクニックがあるということを覚えておいてください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。