被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

生駒里奈さんも引っ掛かってしまった! SMSの「スミッシング詐欺」で不正利用の被害に

 現在、女優として活躍中の生駒里奈さんは、1月上旬にスミッシング詐欺の被害に遭ったことについて、自身のYouTubeチャンネルや、テレビ番組で報告しました。

 2020年12月中旬、いつも使っているショッピングサイトから「カード番号を再登録して更新しないと使えません」といった内容のショートメッセージ(SMS)が届きましたが、この内容を信じてしまったことが問題につながってしまいました。

 SMSのリンク先のウェブサイトでクレジットカード情報を入力すると、エラーが表示されたため、別のクレジットカード情報も入力したようです。しかし、繰り返しエラーが表示されたため、不審に思ってクレジットカード会社のウェブサイトに直接アクセスしてみたところ、問題なくログインできました。

 最初にアクセスしたウェブサイトは偽物で、入力した情報が悪用されて結果的に15万円ほどの不正利用の被害に遭ってしまったのです。

 「Uber Eats」でクレジットカードが使えなかったため、困っていたところ、クレジットカード会社から、ブランドものの靴や服をたくさん購入したかどうか確認の電話が来ました。本人は身に覚えがなかったため、不正利用の被害に遭っていることがここで発覚したのです。被害額がさらに膨れ上がる前にクレジットカード会社が気が付いて利用を停止しました。

 初めてフィッシング詐欺に引っ掛かったので、そのときは補償を受けることができましたが、2回目はないと言われたそうです。別のクレジットカード会社にも連絡をして利用を停止したので、クレジットカードが使えない状態になり、大変な思いをされたようです。

 生駒さんは「(ネット詐欺)メールはおかしいので気付くよ、とよく言われますが、よく通販を使う人が見ると、やらなきゃ(更新しなきゃ)と思っちゃうんです。気を付けてください」と注意を呼び掛けました。

 このネット詐欺はSMSを使ったフィッシング詐欺である「スミッシング詐欺」です。

 ポイントはSMSで来ている点です。通常のメールと比べると、SMSは到達率が高い上に読まれる確率も高いのです。SMSでは送れる文字数に制限があるので、説明が不足していても仕方がないと思ってしまいがちで、とりあえず記載されているリンクを開いてしまうケースが多いのです。

 メールはタダで送信できるので、何億通でもばらまけます。しかし、SMSの送信には料金がかかります。サイバー犯罪者はその料金を負担しているのですが、それでも利益が出てしまうほど効率が良い方法になるのでしょう。

本物のSMSと同じスレッドに表示されるケースも、Amazonをかたるスミッシング詐欺

 フィッシング対策協議会が2月3日に出した報告によると、Amazonをかたるスミッシング詐欺が多く確認されているそうです。怖いことに、差出人を「Amazon」と偽るだけでなく、本物のAmazonからのSMSと同じスレッドに偽のSMSが表示されるケースもあるようです。

 2020年12月には、吉本興業所属のお笑い芸人であるエハラマサヒロさんがAmazonをかたるフィッシングメールに引っ掛かってしまい、クレジットカードの限度額まで不正利用されてしまいました。

 このように、個人情報の漏えいに人一倍気を遣っているはずの有名人でも、スミッシング詐欺やフィッシング詐欺に引っ掛かってしまうことがあります。

 対策としては、基本的にSMSやメールに記載されているリンクを開かないことです。自分でそのサービスに直接アクセスしてログインすることで、偽サイトにアカウント情報を入力してしまうことを回避できます。

 もしも入力したことに気が付いた場合は、カード会社に連絡して再発行してもらいましょう。即対応できれば被害を最小限に抑えることができるかもしれません。

 最も効果があるのは、この手の詐欺が流行っていることを知ることです。被害に遭った人の話を聞くと、そんな詐欺があることを知らなかった、というケースが多いです。

 もし、インターネットの使い方が苦手な人が身近にいる場合は、本連載の記事をシェアして読むように勧めてあげてください。事例を知っていれば、警戒心を抱くことができます。警戒心があれば、詐欺被害も減少することでしょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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