被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

LINEビデオで美女とエロチャットしたら脅迫された

 ある日、LINEやSkypeに見知らぬ美女からメッセージが突然届き、ビデオ通話でエロチャットをしようと突然誘われました。チャットを始めると画面の向こう側では片言の日本語を話す外国人女性が話し掛けてきて、言葉巧みに誘ってくるのです。

 これはネット詐欺か!と思っても、ついつい話に乗ってしまったり、理性が飛んで裸の状態でビデオ通話に映ってしまう人もいるかもしれませんが、それは非常に危険な行為です。

 やり取りを続ける途中、こちら側の声が聞こえないということで、音質の良い別のアプリをインストールするように提案してきますが、インストールした段階で相手の態度が豹変。今までのやり取りを録画し、アプリで連絡先の一覧を取得したので、20万円や30万円などの金銭を支払うように脅迫してくるのです。

 こちらも映像を録画しているぞ、と言っても相手は歯牙にもかけません。コンビニでプリペイドカードなどを購入して、その番号を見せるように要求してきます。さもなければ、録画した動画を連絡先の人たちにばらまくぞ、と脅してくるのです。LINEビデオでのエロチャット中に個人情報を話している場合、そこから調べたこちらのSNSアカウントなどを送りつけてきて脅してくることもあります。

 連絡先を取得していると言っていますが、これははったりでしょうか? 実は、そうでない場合もあるのです。

 「App Store」「Google Play」などの公式アプリストア以外でアプリをインストールした場合、インストール時に連絡先へのアクセス権限を許可してしまうと、取得される可能性があるのです。Androidであれば「.apk」という拡張子のファイルを手動でインストールさせます。iPhoneでも、こうした悪質なアプリをインストールさせる手口が報告されています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によると「Apple Developer Enterprise Program」を悪用して、iPhoneに悪意のあるプログラムをインストールすることができるというのです。

iPhoneに悪意のあるアプリをインストールする手口(画像はIPAより)

 今回の事例はハニートラップでの脅迫行為のようなものですが、被害者がどこまで対応してしまったかで被害の範囲も変わってきます。ビデオ通話でどこまで恥ずかしい姿を見せてしまったか、個人情報はどこまで教えたか、言われるがままにアプリをインストールしたか、アクセス権を許可してしまったか、金銭を支払ってしまったか、が重要になります。

 基本的にはできるだけ早い段階で、相手との連絡を切ることが有効です。相手もお金稼ぎが目的なので、取れないと分かれば次の獲物を探しに行きます。しかし、相手に渡ってしまった動画や情報を消去することはできません。もし、インターネット上に動画をばらまかれたら、被害届を出すなどの対応はできますが、一度拡散されたものを全て削除することは難しく、後の祭りとも言えます。

 一方的に話し掛けてきた素性の分からない人と連絡を取ったり、自分の個人情報を教えるのは厳禁です。スマートフォンに公式アプリストア以外からアプリをインストールしてはいけません。詐欺師にお金を払うと、それでは済まずにとことん搾り取られて被害がさらに大きくなります。

 筆者が所属するNPO法人DLISは、これらのデジタルリテラシーはできるだけ多くの人に知ってもらいたいと考えています。皆さんが手口と対策を知ってしまえば、この手の詐欺は起きません。相手は儲かることが分かっているからこそ仕掛けてくるのです。

 もし、見知らぬ人とエロチャットを楽しんでいる、という人がいたら、ぜひこの記事をシェアして、その危険性を教えてあげてください。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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