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【使いこなし編】第220回

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」をバックアップするための準備

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。

 今回からは、BeeStationに保存しているデータをバックアップすることを考えてみよう。これまでスマートフォンやPCのバックアップに使ってきたBeeStationだが、当然ながらこれがクラッシュしてしまうとダメージは甚大だ。

 バックアップであるBeeStationがクラッシュしても、現役の端末であるスマートフォンやPCが無事なら「バックアップをし直せばいい」という割り切り方もあるにはあるのだが、デジタル製品の利用歴が長い人なら、悪いことは重なるもので両方が同時にクラッシュして……という経験もあるはず。また、バックアップしてスマートフォンやPCからは削除したデータがあったら、取り戻せなくなってしまう。

 プラスアルファのコストはかかるが、BeeStationのデータをまとめて別の外付けストレージにバックアップしてもう一重のバックアップを取っておくと、手間はあまり増やさずに、データの安全性と安心感は大きく高められる。今回はBeeStationのバックアップの準備として、外付けストレージを選び、接続してみよう。

今回はBeeStationに外付けストレージを接続して、BeeStationのデータのバックアップをとってみよう

バックアップ用に4TB以上の外付けHDDを選ぶ

 連載では、さまざまな実践の最終段階でBeeStationのバックアップに触れる流れだが、実際には、本格的に使い始める段階でバックアップもできるようにしておきたい。

 もっともシンプルなのは、BeeStationと同じかそれ以上(4TB以上)の容量を持つ外付けストレージ(HDDまたはSSD)を接続し、バックアップする方法だ。今回はこの方法で実践してみる。

 ほかにも、Synologyが提供するクラウドサービス「Synology C2」にバックアップするという選択肢もあるが、クラウドサービスからの脱却を目指して導入したBeeStationのバックアップをクラウドに、というのも妙な感じになるので、今回は除外しておく。

 BeeStationの背面にはUSB Type-AとUSB Type-C(データ伝送はUSB 3.0)の2つのポートが用意されていて、バックアップ用のストレージは、どちらに接続してもOKだ。

BeeStation背面にはUSB Type-AとUSB Type-Cの2つのポートが用意されている

 外付けディスクの選択は、USB接続可能な外付けドライブであればどれでも問題はない。FAT32、NTFS、exFAT、HFS+、Btrfs、ext3、ext4形式でフォーマットされているドライブであれば認識される。

 BeeStationの容量4TBをギリギリまで使っているケースはあまりないと思うが、バックアップ用のストレージは、4TBより大きなサイズがいい。バックアップはバージョンごとに差分をとるので、設定によっては容量はかなり増えていくことになるためだ。利用時に多少の制約[※]はあるが、接続した外付けストレージを、ファイル管理アプリ「BeeFiles」から利用することもできるので、大きめの容量を選択しても無駄になることはない。

[※]……外部ストレージに保存したファイルやフォルダは直接共有できず、ラベルやスターを付けることもできない。バージョン履歴も無効で、ごみ箱もないので削除すると即時削除になる。また、当然ながら今回設定するバックアップ対象からも外れる。ダウンロードしたファイルなど、いつなくなっても構わないようなファイルを一時的に保管する目的で利用するといいだろう

 4TB以上の容量を選ぶとすると、おのずとSSDではなくHDDになるはずだ。サイズは3.5インチと2.5インチから選択できる。3.5インチは電源の接続も必要になる。2.5インチは小型で電源供給はUSBポートから行われるので接続はシンプルにはなるのだが、4TB以上の容量を選ぼうとするとけっこう割高になってしまう。

 今回は3.5インチの、バッファロー「HD-ADU3」シリーズの4TBディスクを選択した。NTFSであらかじめフォーマット済み。3.5インチディスクを縦置きでBeeStationと並べると、少しだけ小さいというようなサイズ感になる。

バックアップデータ保存用に選んだ、バッファローの3.5インチ外付けHDD「HD-AD4U3」(容量4TB)
同じ外付けHDDでも、2.5インチ(左)と3.5インチ(右)でサイズはここまで違う。容量は同じ4TB。コンパクトなものにしたければ2.5インチを選ぼう

外付けストレージの接続は簡単、すぐに認識される

 外付けストレージの接続は、BeeStationの電源が入った状態のままで行って構わない。対応フォーマットでフォーマット済みであれば、何もしなくても認識される。ウェブブラウザー版「BeeFiles」でアクセスしてみよう。[外部ドライブ]を表示してみると、接続したドライブが表示されているはずだ。

外付けストレージをBeeStationのUSBポートに接続する。この外付けストレージには電源スイッチはなく、USBポートに接続して給電が開始されると、自動的に電源オンの状態となり動作を開始する
「HD-ADU3」シリーズは長辺側にランプがあり、立てる(縦置きにする)と上に表示される
ブラウザー版「BeeFiles」でアクセスし[外部ドライブ]を表示してみると、接続したドライブが表示されている

 これで外付けHDDが認識され、準備は完了した。バックアップの操作はBeeStationの設定画面から行う。

 接続直後は特に外付けストレージを認識しても、BeeFilesの「外部ドライブ」以外では特に情報が表示されないため不安になるかもしれないが、問題はないので安心してほしい。実際のバックアップ作業は、次回から進めていく。

今回の教訓(ポイント)

安心して使うため、BeeStation自体のバックアップも考えておこう
4TB以上の外付けHDDを用意して、BeeStationに接続する

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。