清水理史の「イニシャルB」
Wi-Fi 7に正式対応し、他の機能もより便利に! Windows 11 24H2のネットワーク新機能を見ていく
2024年10月15日 06:00
Windows 11の24H2が公開された。Copilot+ PC向けのAI機能が搭載され、ユーザーインターフェースやアプリにも細かな改善が加えられているが、本稿で注目したいのは、やはりネットワーク関連の新機能だ。Wi-Fi 7対応や接続操作の改善、プライバシー制御機能の強化などが行われてている。
今回は、Windows 11 24H2のネットワーク関連の新機能を、それぞれ詳しく紹介する。
Wi-Fi 7に正式対応!
24H2で、Windows 11がようやくWi-Fi 7に正式対応した。
従来の23H2でもWi-Fi 7での接続は不可能ではなかったが、速度表示やWi-Fi 7ならではの機能であるMLOなどの接続状況が適切ではなかった。
今回の24H2で正式にWi-Fi 7に対応したことで、こうした状況が改善された。下図は、24H2を搭載したWi-Fi 7対応PC(Lenovo Yoga Slim 7x Gen9)でのWi-Fi 7接続状況だ。接続規格がWi-Fi 7となっており、速度が3226Mbpsと表示されるのに加え、Wi-Fi 7ならではのMLO(2.4GHz帯+5GHz帯)で接続していることが確認できる。
従来の23H2では、下図のような表示になっていた。基本的にはWi-Fi 7と表示され、4096QAMの接続も可能だったが、MLOでの接続はサポートされていなかった。
なお、24H2がWi-Fi 7対応となったといっても、実際にWi-Fi 7の機能をどこまで使えるかはハードウェア次第となる。320MHz幅で通信できるか? MLOのどのモードに対応しているか? は搭載されているWi-Fiチップ(とドライバー)に依存する。
Wi-Fi接続時のリフレッシュが可能になった
24H2では、Wi-Fiの接続関連の機能が改善されており、接続先のSSID一覧表示をリフレッシュするボタンが追加された。
従来のWindowsでは、接続したいSSIDが見つからなかった場合に、しばらく待つか、Wi-Fiそのものを手動でオン/オフする必要があった。しかし、24H2では、ボタンを押すだけでリストを更新できる。
オフィスや家庭で常に決まった接続先を利用する場合は、さほど恩恵はないが、外出先で接続先を探すケースで重宝する。また、レアケースではあるが、筆者のようにいろいろな接続先を切り替えながらテストしたりするケースでは、非常にありがたい機能と言える。
さらに、地味な変更だが、接続時にタスクバーのWi-Fiアイコンがアニメーション表示されるようになった。
Windowsを起動させたまま端末を移動させたときなどに、Wi-Fの接続(接続先や使用帯域)が切り替わるケースがあるが、こうしたケースでもアニメーション表示されるので、接続が再試行されていることなどが分かるようになった。
QRコードで接続情報を共有可能になった
24H2では、Wi-Fi接続の共有が簡単にできるようになった。
接続先のパスワード(文字列)、および接続情報をQRコードで表示可能になり、カメラで撮影するだけで同じ接続先に接続できるようになった。
これにより、ほかのPCやスマートフォンを追加で接続する際に、わざわざアクセスポイントの設定シートや設定画面で、SSIDとパスワードを確認しなくて済む。
Wi-Fiルーターによっては、付属の設定シートに接続用のQRコードが記載されている場合もあるが、SSIDやパスワードを変更すると、このQRコードが使えなくなってしまう。Windows 11の機能の場合、Windowsに登録されている接続情報から動的に生成されるため、SSIDやパスワードを変更した場合でも利用できるのがメリットだ。
なお、現在接続中のアクセスポイントだけでなく、[既知のネットワークを管理]から過去に接続したことがあるアクセスポイントの情報も表示できる上、PCのインターネット接続を共有する[モバイルホットスポット]でもQRコードを利用できる。
この機能で表示したQRコードは、スマートフォン(iPhoneやAndroid)のカメラで読み取れるのはもちろんのこと、PCでもカメラアプリをQRコードモードに切り替えることで読み取り可能だ。もっとも、一般的なノートPCに付属したウェブカメラで別のPCの画面に映ったQRコードを読み取るのは難しいが、うまく読み取ることができれば、新しい接続先として登録できる。
スマートフォンの場合、QRコードでの接続は、その場で接続するための機能なので、接続先の範囲内で読み取らないと設定情報を保存できない。だが、PCの場合は、その場で接続しなくても接続先を保存できる。
このため、例えば、自社の地方拠点に出張する前に、同じ出張先に行ったことがある同僚のPCでQRコードを表示し、それを読み取ってWi-Fiの接続情報を保存しておく、といった使い方もできる。
プライバシー制御が強化された
Windowsに搭載されたアプリの中には、Wi-Fiの接続先情報から現在地を取得して、接続場所に合ったサービスを提供するものがある。
代表的なのは[天気]などのアプリだ。これらのアプリでは、GPSのほかWi-Fiの情報を利用して現在地を特定しようとする。従来はWindows全体の設定(位置情報サービスのオン/オフ)を参照していたが、24H2では、各アプリが初めて現在地の情報を利用しようと試みたときに、確認用のダイアログボックスを表示するように改善された。
アプリが位置情報を取得する際は、通知領域にアイコンも表示されるので、ユーザーが情報取得の状況を確認しやすくなっている。
もちろん、あとから[プライバシーとセキュリティ]の[位置情報]で許可を変更したり、アプリごとにいつ位置情報を取得したかの履歴を確認したりもできる。
スマートフォンでは当たり前の機能だが、Windowsでも、アプリに情報の利用を許可するかどうかをより細かく制御できるようになった。
Wi-Fi 7のさらなる普及に期待
以上、Windows 11 24H2で追加されたネットワーク関連の新機能を紹介した。主にWi-Fiの機能だが、全体的に使い勝手が改善された印象だ。
中でも正式にWi-Fi 7に対応したことは大きく、これによってWi-Fi 7対応ルーターの実力をフルに活用できるようになった。今後、エントリーモデルも含めWi-Fi 7ルーターが増えてくることを考えると、Wi-Fi 7の普及に大きく貢献することだろう。
個人的にも、このタイミングで正式にWi-Fi 7に対応したPCを購入し、本稿執筆時点では納品待ちの状態になっている。Wi-Fi 7目的でPCを購入したのは、これで3台目だが、今度こそ320MHzのテストができるだろうと考えている(たぶん大丈夫。じゃないと困る……)。追ってレビューを掲載する予定なので、期待していてほしい。