インタビュー

「ヤマダで家も、車も!」CEATECでヤマダホームズが見せるスマートハウスとは?

EV、V2H、太陽光発電、スマートハウス……ポイントは「プラットフォームとしてのヤマダ」?

家電量販店のヤマダデンキ。店舗によっては、家電だけでなく、家具やインテリア、自動車も販売しているという。「住まいの相談カウンター」では住宅やリフォーム、土地の相談もできる。写真はTecc LIFE SELECT 前橋吉岡店で、自動車の展示・販売や「住まいの相談カウンター」もあるとのこと。
住まいの相談カウンターの例
自動車が展示されている店舗もある

 10月15日~18日に幕張メッセで開催されるCEATEC 2024に、株式会社ヤマダホームズが出展する。同社は家電量販店「ヤマダデンキ」を展開する株式会社ヤマダホールディングスのグループ会社で、住宅の建設や販売、不動産売買などを手掛ける。

 ヤマダホームズのブースでは、2023年10月に販売を開始した「YAMADAスマートハウス」をテーマにした展示が行われる。日中、太陽光パネルで発電した電力を家庭で優先的に使用し、余った電力はEV(電気自動車)に搭載された大容量バッテリーへ充電。そして太陽光パネルが機能しない夜間は、EVにためた電力を家庭へ放電するためにV2H(Vehicle to Home)を活用する。

 また、標準搭載されたスマートIoTシステムは、HEMS(Home Energy Management System)により発電量や電力使用量を可視化し、家電や住宅設備を適切に制御することで、節電に大きく貢献するという内容を紹介していく。

 今回の展示では、単にYAMADAスマートハウスの機能紹介に留まらず、内閣府が提唱する「Society 5.0」で実現する社会の一例を体験できる展示を行うために、LIXILALSOKファイテンの各社も参加し、協業して展示を行っていくという。

 そこで、今回のCEATECでの出展内容やその狙いについてヤマダホームズの清村浩一氏(代表取締役 兼 社長執行役員)にお話をお伺いした。

今や車や家具も………「くらしまるごと」をサポートするのが「ヤマダ」

――まずヤマダホームズがどんな会社なのかご紹介ください

株式会社ヤマダホームズ 代表取締役 兼 社長執行役員 清村浩一氏

[清村氏]2011年、当時のヤマダ電機(現ヤマダホールディングス)が事業拡大をしていく過程で、家電と親和性の高い衣食住の“住”に着目し、住宅が大きなキーとなると考え、住宅メーカーであるエス・バイ・エルを傘下に入れ、本格的に住宅事業に参入しました。

 2013年に自社ブランドのヤマダ・ウッドハウスを立ち上げた後、エス・バイ・エル住工、ハウジングワークスを合併し、2018年に現在のヤマダホームズが誕生しました。その後、レオハウスや地場ハウスメーカーのJIDAI、さくらホーム、ホクシンハウス、セキホームがM&Aを通じてヤマダホームズに加わりました。

――まったく新しい住宅メーカーなのかと思っていましたが、かなり歴史のある会社なのですね。

[清村氏]はい、中でもエス・バイ・エルは1951年設立と、大手ハウスメーカーの中でも一番古くに設立されているので、これを受け継ぐヤマダホームズは日本でもっとも歴史ある住宅メーカーと言って間違いないと考えております。

――とはいえ、一般の人から見るとヤマダデンキが住宅を展開しているのは、少し不思議に感じる面もあると思います。

[清村氏]外から見ると確かにそのように見えるかもしれません(笑 ただ、実は「シンプルな流れの結果」だと思っています。

 ヤマダデンキはもともと街の電気店で、近隣のお宅を回るところからスタートしました。

 この頃は、家電を通じてお客様の暮らしをサポートしていましたが、店舗のネットワークを広げていく過程で、「お客様のくらしをまるごとサポートしていけるのではないか」という風にシフトしてきました。

 日用品や書籍なども扱うようになりましたし、最近は車や家具を扱っている店舗も増えています。そうした動きの中で、「お客様が家電や家具を使う場所はどこだ?」と視点を広げていくと、当然、そこは「住宅」になります。

 発想としては電気や家電が前提にあり、それを活かしきれる住宅があるといいよね、という感じでしょうか。この点は、一般的な住宅メーカーさんとは発想が違うところかと思います。さらにスマートハウスの先として「スマートシティ構想」というビジョンがあるのですが、将来は、街づくりを通じたネットワークにも貢献できればと考えています。

展示では「スマートハウス+太陽光+V2H+EV」で「くらしまるごと」を表現LIXIL、ALSOK、ファイテンなどとも連携

――CEATECへの出展は初めてだと思いますが、どんな展示になるのでしょうか?

[清村氏]我々が提供している「YAMADAスマートハウス」をコアとして、「くらしまるごと」を表現すべく、様々なメーカーさんと連携した展示を行います。

 YAMADAスマートハウスは、スマートハウスの要素の多くをワンストップでご提案できることが特徴です。つながるIoTによリ家電や住宅設備を動かせることや、健康、セキュリティ、エンタメなどをご提供できます。

 展示では、太陽光パネルで発電した電力を、家庭で使い、余った電力はEV(電気自動車)に搭載された大容量バッテリーへ充電。太陽光パネルが機能しない夜間は、EVにためた電力を家庭へ放電するために、V2H(Vehicle to Home)を活用するシステムのイメージを表現します。

 また、標準搭載のスマートIoTシステムでは、HEMS(Home Energy Management System)により発電量や電力使用量を可視化、家電や住宅設備を最適に制御することで、省エネに大きく貢献できます。V2Hのイメージを体感していただけるよう、実際のEVも展示する予定です。

 他社さんとの連携についてですが、Society 5.0というテーマはやはり幅広いものですので、理念を共有できる会社さんと一緒にやらせていただくのが良いと思っています。

――どのような会社と連携しているのでしょうか?

[清村氏]はい、大きなところではLIXILさん、ALSOKさん、そしてヘルスケア・スポーツ関連機器などを出されているファイテンさんと連携しています。

 さらに、Qセルズさんの太陽光パネルや、ニチコンさんのV2Hシステムもブース内に置かせていただいています。

 先ほどお話ししたようにブース内にEVも設置していますので、さまざまな企業が連携してSociety 5.0をかたちづくっている姿をお見せできると思います。

――そうした各社と連携する中、実際ブースではどんなことを体験できそうですか?

[清村氏]限られたスペースなので、住宅展示場で行っているようなデモを何でも……というわけにはいかないのですが、IoTデバイスを通じた住宅機器の連携や、LIXILさんの製品とAIスピーカーが連携するデモなどをお見せできると思います。

 一方、ALSOKさんは、IoTを通じた見守りサービス、駆けつけサービスに関する展示を行う予定で、見守りカメラやスマホを通じた防犯という部分を見ることができると思います。さらにファイテンさんは、最先端技術メタックスコーティングを使ったリラックスタイムを体験していただこうと思っています。

見守りカメラの例

「創エネ」「スマートハウス」の先にある新しい住宅の提案を目指す

――今回、CEATEC 2024の出展ではどんな人たちに来てもらいたいと考えていますか?

[清村氏]YAMADAスマートハウスには「創エネ」「蓄エネ」「省エネ」「EV」「エンタメ」「健康」、「セキュリティ」、「繋がるIoT」という8つのポイントに取り組んでいます。

 CEATECは、こうしたことに関心の高い方が多く集まる場所だと思います。

 ALSOKさんのセキュリティ関連でもいいし、LIXILさんのIoT機器、ファイテンさんのヘルスケア・スポーツ関連機器、さらには大塚家具の家具、どこを入口としてもいいのですが、興味を持っていただき、立ち寄っていただいて、ヤマダホームズが表現するSociety 5.0の世界観を知っていただければと思っています。

 そこを辿ってヤマダホームズをはじめ、連携している各社さんの製品やサービスを知っていただけると嬉しいですね。幅広いお客様が一堂に会する場というのは、なかなかありませんので、CEATECという場に期待しているところです。

――「他社との共創」という視点ではいかがでしょうか?

[清村氏]そうですね。ヤマダホームズというのは、家を通じたプラットフォーマーの役割を担い、ヤマダホールディングスグループの培った情報網や商流を使って、さまざまな企業の技術や想いを繋ぐことで、お客様へ新たな価値を提供しています。

 そこにLIXILさん、ALOSKさん、ファイテンさんが加わって、さらに大きく広げていく。そこをキッカケに何等かの興味を持ってもらい、今後お付き合いができるようになるといいな、と考えております。

 また、CEATECにはさまざまな技術ベンチャー企業も出展していますし、数多くの技術革新が出てきて、ここに集結しています。ヤマダホームズとしての立ち位置だけでなく、ヤマダホールディングスグループとして見ても、非常に興味深いところであり、いろいろなお付き合いに発展できることを期待しています。

 まずはブースに来ていただいて、我々が目指しているものを感じていただければ、と思っております。