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CEATEC 2024は808社が参加、「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK」併催で、過去に類のない規模の共創イベントに
CEATEC AWARD 2024も発表
2024年10月11日 06:30
2024年10月15日から18日までの4日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催されるデジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2024」への出展者数が、808社/団体になることが発表された。前年実績の684社/団体を大きく上回ることになる。そのうち初出展は340社/団体と約4割を占めた。スタートアップおよび大学研究機関は、188社/団体が出展し、過去最多となった。また、会期中の来場者数は10万人以上を見込むことも発表した。
ここでは、10月10日に行われた主催者記者会見より、開催概要とCEATEC AWARD 2024の受賞発表の内容をお伝えする。
これまでにない規模に「2万歩ほど歩くことを覚悟してほしい」!
CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「あらゆる産業界、あらゆる業種や職種、あらゆる人たちのためのイノベーションにつながる『Innovation for All』を実現する展示会にしたい。すべての来場者にイノベーションを起こしてもらいたい。10万人以上のイノベーターに来場してほしい」と述べた。
25周年の節目を迎える今年のCEATEC 2025は、25周年特別テーマとして「Innovation for All」を掲げ、幕張メッセのホール2~8を使用。ホール1では、日本自動車工業会(自工会)が主催する「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」が同じ期間で併催され、一度の入場登録で、2つの展示会を行き来できるようになっている。
JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024には、200社以上の出展者が予定されており、2つのイベントをあわせると1000社以上の出展規模になる。CEATECの25年の歴史のなかで、過去最大の出展者数となったのは、幕張メッセの全11ホールを使用した2007年の895社/団体であり、今回のCEATEC 2024とJAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024の併催により、過去に例がない規模の共創イベントが開催されるというわけだ。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「展示を見て、コンファレンスを聴いて、未来の社会を感じて、考えて、共創に向けて動き出す『CEATEC体験』をしてほしい。また、CEATECとJAPAN MOBILITY SHOWの日本を代表する二大展示会が併催されるという史上初めてのイベントになる。盛りだくさんの展示会であり、会場も広くなった。2万歩ほど、歩くことを覚悟してほしい」などと述べた。
25周年特別企画も充実、初日から注目のコンファレンスが多数
CEATEC 2024の25周年特別企画である「AI for All」では、23の企業や団体が出展。AIにフォーカスした展示とコンファレンスの両輪で、産業を超えたユーザーとの交流を促進するほか、主催者企画のパートナーズパークでは、18テーマを掲げて、テクノロジーによる社会課題解決のための最新ソリューシュンなどを展示。なかでも、デジタル田園都市国家構想特設パビリオンでは、49のブースが出展され、少子高齢化をはじめとした地方都市が抱える課題を解決するためのサービスを実装した事例などを紹介。海洋DXパビリオンでは、水槽を設置して水中におけるDXの取り組みを公開することになる。
また、ネクストジェネレーションパークでは、スタートアップ企業や大学、研究機関の出展に加えて、今年からは大手企業の新規事業開発部門の出展が可能になり、次世代ビジネスに関する共創が期待される。
グローバルパークでは、ウクライナやアラブ首長国連邦(UAE)のほか、新たにラトビアからも出展。「日本にいると、なかなか知ることができない欧米以外のIT先進国の事例に触れることができる機会になる」とした。CEATEC 2024全体の海外出展者は25カ国/地域から、158社/団体が予定されている。
コンファレンスでは、開催初日の10月15日に、25周年特別セッション「未来を創るAI:イノベーションと挑戦」を開催し、OpenAI Japanの長﨑忠雄社長による「Open AIが拓く未来」と題した講演や、さくらインターネットやPreferred Networksによるパネルディスカッション「AIが日本にもたらす可能性やその未来展望について」、いすゞ自動車の片山正則会長 CEO(自工会会長)やパナソニック ホールディングスの津賀一宏会長(JEITA会長)などが登壇する「サスティナブルな社会の実現に向けて~多様なフロントランナーが思いを語る~」、内閣官房や経済産業省、総務省、デジタル庁、国土交通省の審議官などが登壇する「デジタル田園都市国家構想による国民生活の豊かさの向上」などが行われる。さらに、会期中には、「社会課題を考える」「未来を創造する」「技術を究める」「世界の潮流を読む」「次世代を応援する」という5つのテーマから、203のセッションが予定されている。
参加型イベントで来場者・出展者の共創を支援
また、CEATEC 2024では、共創イベントを実施する。
アビームコンサルティングでは、来場者が持つ課題を解決するスタートアップなどをコンサルタントが選定、案内し、マッチングを支援する「ウォーキングブレスト」と、企業や自治体の課題を起点として来場者との商談機会の創出を目指す課題発信型展示「Biz-Board」を実施。来場者と出展者との共創を支援することになる。
また、ゼロワンブースターとの連携により、CEATEC出展者によるスタートアップピッチコンテストや、事業会社発の新規事業ピッチコンテストを開催。10月16日には、CEATEC 2024とJAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024 の連携によって、それぞれの展示会への出展者によるネットワーキングイベントを開催する。
JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEKとの共創で
「想像もできなかった未来へのヒント」に期待
今回の説明会では、JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024を主催する日本自動車工業会 モビリティショー委員会ショー広報部会長の町田晃氏がゲストで登壇。同イベントについて説明した。
JAPAN MOBILITY SHOWは、奇数年に開催する最新のクルマなどを展示し、乗りたい未来を、探しに行く場として、モビリティの未来を見てもらうショーケースイベントの「JAPAN MOBILITY SHOW」と、偶数年に開催し、企業同士の連携強化を進めて、未来を創る、仲間づくりの場とするビジネス向けイベント「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK」によって構成。2つのイベントを連携させ、交互に開催することになる。
JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024では、「新たな仲間づくり」、「事業共創の推進」、「議論や提言の発信」の3つに取り組む。
会場では、「All roads lead to the future」と題して、自動車メーカー14社によるマルチパスウェイを採用した自動車やバイクを展示。ビジネスマッチングプラットフォーム「Meet-up Box」を開設し、コミュニケーションツールで事前にお互いのシーズやニーズ、事業課題を把握し、商談予約することを可能にしている。すでに1000件以上の登録があるという。さらに、未来モビリティ会議を開催し、10月15日には、自工会の片山会長や日本自動車部品工業会の茅本隆司会長などによる「モビリティ社会実現に向けた共創やオープンイノベーションに向けてのテーマセッション」などを開催する。そのほか、カーボンニュートラル、モノづくり、付加価値創造をテーマにした講演が行われる。
自工会の町田部会長は、「昨年、約70年間にわたり開催してきた東京モーターショーを、JAPAN MOBILITY SHOWとして、共創プラットフォーム型イベントに進化させた。自動車産業は、モビリティ産業への変革を進めており、多くの仲間と一緒に社会課題解決や新たな価値の創造、豊かで夢のある未来社会の構築に取り組んでいる。JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024では、モビリティ産業のほか、スタートアップ企業、電気・情報産業、通信産業、建設産業なと、200社を超える企業が出展する。事業共創の重要性と未来に向けた可能性を共有する場にしたい。想像もできなかった未来へのヒントを得られることを期待している。CEATECとの連携により、新たな価値が生み出されることにワクワクしている」などとした。
CEATEC AWARD発表、総務大臣賞はViXionの次世代アイウェア
説明会では、CEATEC AWARDの各賞の発表も行われた。
CEATEC AWARDは、会場に展示される技術や製品、サービスなどのなかから、出展者が事前に応募した出展品や案件を、CEATEC AWARD 2024審査委員会により、学術的観点や技術的観点、市場性や将来性などの視点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを審査、選考して、表彰している。
総務大臣賞を受賞したのはViXionのViXion 01s。眼のピント調整機能を代替、拡張する次世代アイウェアだ。個人の目の見え方や、見ているものに合わせて自動でピントを調節し、スムーズなオートフォーカスを実現するのが特徴だ。センサーが対象物までの距離を測定し、独自のアルゴリズムをもとに小さな特殊レンズの形を瞬時に変えることで、ストレスフリーなピント調節を実現している。老視や近視、弱視などによる見えにくさに課題を持つ人を対象としており、両手が塞がる細かい近接作業や、近くと遠くを繰り返し見る場合などに適しているという。
経済産業大臣賞は、シャープの屋外対応A0サイズのePosterが受賞した。消費電力が0Wで、表示保持可能な電子ペーパーディスプレイであり、屋外に設置が可能なA0 サイズの製品を開発。外光を反射して表示するため、明るい屋外設置と相性が良く、屋外の掲示板やバス停などの大判ポスターをデジタル化したいという市場の声を反映し、大型化したという。夜間は太陽光発電システムと組み合わせて、蓄積した電気を使って、表示部を照らすことができる。
デジタル大臣賞は、CalTaのTRANCITYが受賞した。動画をウェブブラウザーからアップロードするだけで、誰でも簡単に3D データが生成できるデジタルツインソフトウェアで、生成した3D データは寸法情報のほか、位置情報や時系列情報を有しているため、Google 3DMap をはじめとする複数の地図に実寸大で配置すれば、インフラ施設の状況が一目で分かる。インフラの維持管理や建設を中心とした幅広い用途での活用が進んでいるという。
今回用意された25周年特別賞は、NECが受賞した。産業DX推進と業務効率化を実現するNECの映像認識および生成AIにより、長時間の映像データに映った人物や車、建物、動物、樹木、空の様子といった様々な物体や環境、それらの変化を認識。さらにNEC が開発した生成AIを用いて、利用者の目的に応じた短縮動画と説明文章を自動生成する世界初の技術になるという。デジタル都市に蓄積される膨大な映像データを利活用し、産業DXの推進と業務効率化の実現に貢献することができるとしている。
CEATEC AWARD 2024 部門賞についても発表された。
イノベーション部門は、HMSの「3D センサーと独自開発AI による3 次元認識の複合による配筋検査自動化システム― GEMBA 3D ―」、TDKの「スピントロニクス技術を用いた第4 の受動素子でAI デバイスの消費電力が1/100 に」、村田製作所の「最先端半導体の高性能化、省電力化に貢献するコンデンサ/インダクタ内蔵基板(iPaS)」の3件が受賞した。
ネクストジェネレーション部門賞は、慶應義塾大学後方散乱通信研究コンソーシアムの「同期・マルチチャネルバッテリフリー無線センシングシステム」、東北大学の「CMOS/スピントロニクス融合AI 半導体」の2件が受賞した。
コ・クリエイション部門賞は、エゾウィンの「Reposaku(レポサク)- 超高精度GPS ロガーで、挿すだけ・カンタン・農業DXを実現」、トリマティスの「水中フュージョンセンサー」の2件が受賞している。
なお、グローバル部門は会場審査のため、会期中に発表される。
CEATEC 2024の開場時間は、10月15日は、午前10時から正午までがプレミアムタイムとなり、招待者およびメディア関係者だけが入場できる。一般公開は、15日が正午から午後7時まで、16日~18日は、午前10時から午後5時まで。入場は無料だが、登録入場制となっている。事前登録はCEATEC 2024公式サイトから行える。
事前参加登録の方法や、会場内での便利なサービスなどについては「CEATECの歩き方」を参考にしてほしい。