INTERNET Watch 30周年
【2006年のINTERNET Watch】「ライブドアショック」に社会が騒然。大ブレイクしたYouTubeをGoogleが買収
2026年4月13日 06:30
2006年の出来事
2006年(平成18年)は、1月に起きたライブドア強制捜査および堀江貴文氏の逮捕が社会全体でもIT業界でも大きなニュースとなった。強制家宅捜査を受けて株式市場でもライブドア株の取引停止などの混乱が起こり、「ライブドアショック」と呼ばれる。
政治では、小泉純一郎首相が自民党総裁としての任期満了に伴い退任し、安倍晋三氏が首相に。海外では、北朝鮮が初の核実験(地下核実験)を実施。当時、北朝鮮のほか日米中露韓による6カ国協議(六者会合)が行われていたが、北朝鮮の核開発に関して、特に前向きな結論を出すことはできなかった。
2月にはトリノ五輪が開催された。フィギュアスケートの荒川静香選手が金メダルを獲得し、「イナバウァー」が流行語となった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2006年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
1. ライブドア堀江氏逮捕、起訴
この年の1月16日に、東京地検特捜部がライブドアを家宅捜査。23日に社長の堀江氏らが証券取引法違反の疑いで逮捕された。同氏は25日にライブドア社長を辞任。2月13日には起訴されている。
INTERNET Watchでは、起訴時にそれまでの経緯をまとめているほか、2011年の「ライブドア」消滅(NHN Japanに吸収)時には、2007年の堀江氏への実刑判決なども含めたまとめ記事を公開している。
2. NTT、「NGN」のフィールドトライアルへ
NTTおよびNTT東西は、かねてより発表していた次世代ネットワーク「NGN」(Next Generation Network)のフィールドトライアルを2007年1月に開始するにあたり、この年の12月にISP各社とともに会見を実施して概要を説明した。
NTTグループのNGNは、「地域IP網」などの既存IP通信網を大容量通信に対応できるよう高度化したもので、2004年11月に発表されたNTTグループ中期経営戦略で言及されていたもの。トライアルを経て「フレッツ 光ネクスト」としての商用提供が2008年3月より開始され、2026年現在も同社の基幹ネットワークとして運用されている。
3. 「YouTube」が世界的に大ヒット、Googleが買収
▶GoogleがYouTubeを16億5,000万ドルで買収
動画共有サービス「YouTube」は2005年12月に正式サービスを開始。すぐに世界中から大量のアクセスを集めたが、データ通信量が多いことから運営コストも非常に高いであろうことと、著作権侵害コンテンツの問題などが指摘され、運営体制が注目されていた。
そのような中、この年の10月にGoogleが巨額でYouTubeを買収。YouTubeでは広告チャンネルの開始や、以降行われる各国の権利者との交渉などにより、運営基盤を固め、現在も動画共有サービスの大定番として利用されている。INTERNET Watchでは、Googleによる買収を報じた10月10日までの関連記事まとめも公開している。
4. Winny開発者に地裁で有罪判決、即日控訴
▶「Winny」開発者の金子勇氏に罰金150万円の有罪判決 幇助として問われるかどうかは「現実の利用状況や本人の認識による」
2004年に著作権法違反ほう助の疑いで逮捕・起訴されていた、P2Pファイル共有ソフト「Winny」開発者の金子勇氏に、12月13日に罰金150万円の支払いを命じる有罪判決が言い渡された。判決では、「それ(Winny)自体はP2P技術としてさまざまな分野に応用可能な有意義なものであり、技術としては価値中立的なもの」としたうえで、金子氏は当時Winnyにより著作権侵害となるファイルが広くやりとりされていることを認識し、こうしたソフトの提供が公然と行えることではないことも知りながら、Winnyの開発・公開を続けているとした。
金子氏は「私だけでなく、日本のソフトウェア技術者が曖昧な『幇助』の可能性に萎縮して、有用な技術開発を止めてしまう結果になることが何よりも残念です」として、その日のうちに控訴した。
5. 東京電力、光回線事業を分割しKDDIに統合へ
▶東京電力がFTTH事業を分割、1月にKDDIへ統合。両社が正式合意
東京電力とKDDIは、東京電力の光ネットワーク・カンパニーを2007年1月に分割し、KDDIに統合すると発表した。東京電力の光回線サービス「TEPCOひかり」および、2社が共同で提供していた「ひかりOne」がKDDIからの提供となる。
2026年現在、TEPCOひかり、ひかりOneは「auひかり」に統合されている。また、東京電力グループの株式会社PinTは、2018年から「フレッツ光」回線を利用したISP「TEPCOひかり」の提供を開始している。
6. Winny利用者以外にも感染する暴露ウイルス「山田オルタナティブ」
▶HDDの全内容を公開する「山田オルタナティブ」、Winny利用者以外も注意
2006年もWinnyネットワークを通じて感染する暴露ウイルス(ファイルを流出させるウイルス)と情報漏えいが相次いだが、この「山田オルタナティブ」は、メールの添付ファイルやウェブサイトからのダウンロードでも感染する可能性があるとされ、上記記事では「Winnyユーザーでなくとも信頼できないファイルはダウンロードを控えたり、開かないことが感染を防ぐことになる」と説明している。
7. 「ボットネット」対策が重要な課題に
▶ボット対策や人材面の脆弱性の克服を~次世代IPインフラ研究会が報告書案
マルウェアにより乗っ取られ、攻撃者の指示によりサイバー攻撃を行う機器のネットワークが「ボットネット」。近年では、特定のサーバー・サービスへのDDoSを行うIoT機器を指してボットネットと呼ぶことが多いが、この頃は主にPCがボットネット化し、DDoS攻撃のほかスパムメールの送信などウイルス(マルウェア)の拡散を狙った攻撃を行うことが問題視されていた。
上記のニュースは、総務省がセキュリティの課題などをまとめた「次世代IPインフラ研究会 報告書(案)」の中で、ボットネット対策が集中的に取り組むべき3つの課題の1つとされたというニュース。JPCERT/CCも、2006年の事業方針の中で、「ボットネット対策の推進」を重要な取り組みの1つとして挙げている。
8. 「Googleスプレッドシート」提供開始
▶米Google、表計算Webアプリケーション「Google Spreadsheets」ベータ版 スプレッドシートの共有と同時編集が可能
6月に「Google Spreadsheets」ベータ版の提供が開始されたというニュース。この後、同年10月には「Google Docs & Spreadsheets」となり、2007年9月にはプレゼンテーション機能(後のスライド)も追加して「Googleドキュメント」となった。そして、2012年4月に「Googleドライブ」が公開された際、Googleドライブに統合された。
9. 著作権の保護期間延長に関する議論始まる
▶著作権関連16団体、著作権の保護期間を「死後70年」に延長を求める共同声明
インターネット放送など著作物の利用機会が拡大する中で、権利者保護の観点から保護期間の延長を求める声もあるとして、9月に総務省が著作物の保護期間延長を提案。これを背景として、著作権関連16団体からなる「著作権問題を考える創作者団体協議会」は、当時死後50年とされていた保護期間を、欧米と同様の死後70年にそろえる必要性があるとの声明を発表した。
この後、2018年末に「TPP11」(米国を除いた環太平洋連携協定)が発効することにより、著作権の保護期間が死後70年となった。これを受けてINTERNET Watchでは、例えば著作権の保護期間が切れた小説などを公開する「青空文庫」への影響を懸念する記事を公開するなどしている。
10. 世界のインターネット人口が10億人に達する
▶世界のインターネット利用者が10億人を突破~UNCTAD調査
国連貿易開発会議(UNCTAD)が、2005年における世界のインターネットユーザー数が10億2061万人に達したと発表した、とのニュース。国別では、米国が1億8593万人(2004年時点)、中国が1億1100万人、次いで日本が8529万人。

