地図エンジニア達のWork From Hokkaido

第2回:「北海道移住」は寒さが心配だったが……

前職は日本気象協会、「地図が大好き」「GISをもっと深く学びたい」と転職

株式会社MIERUNEの札幌オフィスが入るクリエイター支援施設「インタークロス・クリエイティブ・センター(ICC)」

新型コロナウイルス感染症の流行にともなってテレワークが普及し、場所に制約されない新しい働き方が模索されつつあるなか、地方への移住が選択肢の1つとして注目されている。とはいえ、それまでの居住地・勤務地から遠く離れて新天地へ移住するのはそう簡単に決められるものではないし、不安もある。

北海道を拠点にGIS(地理情報システム)などの事業を展開する株式会社MIERUNEは、新型コロナ以前から数年にわたり、首都圏での勤務経験を持つエンジニアを受け入れてきたITベンチャーだ。実際に同社に転職し、北海道に移住したエンジニア達は、どのような理由で移住を決意し、そこでどのような生活を送っているのか? また、そもそも地方でITベンチャーとして起業・ビジネス展開するとは、どういうことなのか? 同社の3人のエンジニアと、代表取締役の朝日孝輔さんに話を聞いた。(全6回)

寒さが心配だったが……地方移住に向いているのは「環境の変化を楽しめる人」

 2019年11月に入社した西林直哉さんは、前職が日本気象協会。環境コンサルティング業務を担当していた。

 「風力発電の発電所を建設する際に、動植物への影響や景観の面で問題になるかどうかを解析して、適正な場所を決定するという仕事で、GISをフル活用して業務を行っていました。実は、朝日さんとは学生のころからの知り合いなんです。大学では地理学を専攻していて、GISを学んでいた関係でFOSS4Gのイベントに参加したのがきっかけで朝日さんと出会い、その縁もあってMIERUNEへ転職することになりました。転職の理由は、地図が大好きだったことと、GISをもっと深く学んでみたいと思ったからです。」

 学生のころは大阪に住み、東京では練馬区で6年半過ごしたという西林さん。もともと「いろいろな土地を見てみたい」という欲求が強く、東京を離れることにも抵抗はなかったという。

 「冷え性なので寒さが心配だったのですが、北海道の家屋は寒さ対策が意外としっかりしているので、屋内にいる分は快適です。なんといっても東京に比べて家賃が安く、広い部屋に住めるようになったのがうれしいですね。あと、刺身の安さも感動的です。新鮮で美味しくて、これに慣れると東京で売っている刺身は食べられなくなりそうです(笑)。札幌のデメリットは友人が少ないことくらいですね。北海道に来てからは趣味でスキーを始めて、休日には1人でフラッとゲレンデに出かけることがよくあります。」

 現在の仕事はQGISのプログラム処理のコードを書いたり、QGISの講習会のサポートなどを行ったりしており、残業もほとんどなく快適に仕事しているという。

 「MIERUNEは自分がやりたいことをさせてくれる会社だと思います。興味を持った分野や言語などは自分で積極的に自分で勉強するようにしていますが、それを業務で役立てられるように会社のほうも考えてくれるので、好きなことを仕事にできる環境だと言えます。環境の変化を楽しめる人ならば、地方への移住に向いているのではないかと思います。」

第3回に続く)

西林直哉さん

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。