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本誌記事で振り返る“ダウンロード違法化”著作権法改正の流れ

“ダウンロード違法化”に向けた議論は、文化審議会著作権分科会の私的録音録画で行われた(写真は2008年12月16日に行われた会合より)

 6月12日、参議院本会議で改正著作権法案が可決された。衆議院では5月12日に可決されており、法案は成立。2010年1月1日から改正法が施行される。

 改正著作権法では、違法にアップロードされた音楽・映像を「違法と知りつつ」ダウンロードする行為についても違法とすることが盛り込まれた。ただし、罰則は設けられていない。

 この「ダウンロード違法化」に対しては、2007年に文化庁が実施した意見募集(パブリックコメント)に多数の反対意見が寄せられたが、違法コンテンツ対策はアップロード側とダウンロード側の双方が必要だとする、主に権利者側の意見が取り入れられ、改正法が成立した。

 ここでは、これまでにINTERNET Watchに掲載した“ダウンロード違法化”関連の記事をリストアップした。



● ダウンロード違法化の議論は2007年に開始

 いわゆる「違法着うた」などの、著作権者の許諾を得ていないネット上のコンテンツは、コンテンツをアップロードした側については権利者の送信可能化権の侵害にあたるため、違法行為となる。さらに、こうした無許諾コンテンツのダウンロード行為も違法とする「ダウンロード違法化」についても、検討の必要があるという方針が2007年1月の著作権分科会で示され、分科会の私的録音録画小委員会で議論が進められた。

 小委員会では、違法と知らずにダウンロードしたユーザーも違法とみなされるのは行き過ぎであるといった意見が挙がったことから、「違法と知りつつ」音楽や映像をダウンロードした場合のみが違法行為にあたるとする方針が示された。また、YouTubeなどのストリーミング型のサービスについては対象外であるという見解が示されたが、ストリーミングとダウンロードをどう区別するのかといった疑問の声も挙がった。

● パブコメ7500件の8割が違法化に反対も、法改正の方針は変わらず

 私的録音録画小委員会では、2007年9月にそれまでの議論を中間報告としてまとめ、一般からの意見(パブリックコメント)の募集を行った。

 この問題に対しては、小委員会に委員として参加していたジャーナリストの津田大介氏や、AV機器評論家の小寺信良氏らが任意団体「インターネット先進ユーザーの会:MIAU」(現在は一般社団法人インターネットユーザー協会)を設立。ダウンロード違法化への反対を表明し、パブリックコメントでの意見表明を呼びかけた。

 パブリックコメントには7500件の意見が集まり、このうち8割はダウンロード違法化に反対する意見だったが、文化庁ではダウンロード違法化は「やむを得ない」とする見解を示した。

 私的録音録画小委員会ではその後、いわゆる“iPod課金”など私的録音録画補償金制度の機器拡大や制度の見直しなどが議論の中心となり、2007年中には報告書をまとめられなかった。議論は2008年に持ち越されたが、2008年中にも私的録音録画補償金制度については結論が得られず、最終的にはダウンロード違法化の部分について法改正を求める報告書がまとめられた。

● 改正法案が国会に提出、衆院・参院とも全会一致で可決・成立

 文化庁では、文化審議会での議論を受け、ダウンロード違法化などを含む著作権法の改正案を国会に提出。法案は衆議院では5月12日に可決。参議院では6月12日に可決し、成立した。改正法は2010年1月1日に施行される。衆議院・参議院とも可決に際しては、違法配信と知らずにダウンロードした利用者に不利益が生じないよう留意することや、合法サイトを示す「識別マーク」の普及を促進することを求める附帯決議を行っている。

(2009/06/12)

[編集部]


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