スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)
Wi-Fiでやってみた【ZenWiFi編】第4回
「電波が悪い」がなくなる、高画質4K動画もサクサク
2020年9月15日 10:00
2台以上の機器をWi-Fiで接続する“メッシュWi-Fi”を導入すれば、家中くまなくWi-Fiの電波が届く環境を作れる。その一方、2台目のメッシュWi-Fi機器につながったWi-Fi子機から見ると、子機ー2台目ー1台目という通信経路で、インターネット回線に繋がることになる。
タイトルにもある4K動画の再生には、一定以上の通信速度が継続するような通信環境が必要だが、メッシュWi-Fiのおける複雑な経路が、速度面でのデメリットにつながらないのか、疑問を感じる人もいるだろう。そこで今回は、2台目のメッシュWi-Fi機器に接続した子機でも4K動画がスムーズに再生できるのか、そしてメッシュWi-Fiの通信速度について、接続先ごとにチェックしてみよう。
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メッシュWi-Fi機器間の通信はボトルネックになるのか?
環境はこれまで同様に、ASUSのメッシュWi-Fiルーター「ZenWiFi AX(XT8)」を使用し、3LDKのマンションの北側の部屋に1台目、家の中心近辺に位置するキッチンに2台目を設置した。
ZenWiFi AX(XT8)は、2台のトライバンドWi-Fiルーターがセットになっており、Wi-Fi 6に対応した5GHz帯のうち、最大4804Mbpsの系統をメッシュWi-Fi機器間の通信専用となるバックホールとして確保している。
テストでは、以下4つのポイントで4K動画を視聴してみた。さらに、iperf3で1000BASE-Tの有線接続のPCを相手に計測したほか、Googleのインターネットスピードテストもそれぞれ実施した。
- インターネットと有線で直接繋がっている1台目の近く
- メッシュWi-Fiで接続された2台目の近く
- 南側の部屋の角(家の中で1台目からは最も遠い。2台目の電波を拾っている)
- バスルーム内(2台目の電波を拾っているが、間にドアがある)
2台目につないだ子機でも4K動画視聴もサクサク通信速度は500Mbps超、レイテンシもわずか数ミリ
これら4つのポイントで、実際にインターネットの4K動画などを見ても、どの場所からも違和感なくサクサク視聴ができた。YouTubeであれば4K動画のビットレートは40Mbps前後となるのだが、今回の筆者の環境においては、メッシュWi-Fi機器間の通信による影響はほぼないと言えるだろう。
iperf3での計測結果を見ると、1台目と2台目の通信を比較した通信速度はほぼ同等だった。さらに2台目を介したほかの場所からも、500Mbpsを超える高速な通信ができていた。ZenWiFi AX(XT8)でメッシュWi-FI機器間の通信に割り当てられた最大4804Mbpsという広いバックホールの力が証明されたとも言える。
上り | 下り | |
1台目の近く | 735.2 | 693.4 |
2台目の近く | 696.7 | 708.8 |
南側の部屋 | 509.2 | 600.7 |
バスルーム | 461.2 | 535.1 |
※単位はMbps。iPerf3はパラメーター「-i1 -t10 -P10」で10回実施し、平均値を掲載
また、Googleのスピードテストで確認できるレイテンシ(通信遅延)を見ても、数ミリ秒と小さかった。
なお、バックホール用の帯域があまり高速でなかったり、ルーター間の距離が遠すぎたりすると、十分な速度でリンクされない。ここがボトルネックとなって、通信速度が遅くなることも考えられる。製品選びや、設置場所を検討する際には、気にしておきたいポイントだ。
ちなみに、「ZenWiFi AX(XT8)」でWi-Fi子機との接続に割り当てられる5GHz帯の帯域(バックホールではない方)は、最大1201Mbpsだ、これが子機との最大通信速度となるので、バックホール用の4804Mbpsの速度は無意味に速すぎるのではと考える人もいるだろう。
この速度には2つの意味がある。1つは、2台目に有線LANでつなぐ機器がある場合だ。Wi-Fi通信と有線LANでの通信の両方が、バックホールを使って1台目と通信するので、より広いバックホールの意味が出てくる。
2つは、メッシュWi-Fi機器を追加する場合で、複数の機器が同時に通信した際に、広いバックホールが有意義になってくる。
こうしたことから、メッシュWi-Fiシステムを導入する際は、2台で家中をカバーできるかどうか、Wi-Fiと有線LANで接続する機器がそれぞれどのくらいあるかを想定して、製品を選ぶのがいい。
なお、ASUSのWi-Fiルーターの多くは、メッシュWi-Fiシステム「AiMesh」に対応していて、メッシュWi-Fiを構成する機器を後から追加しやすい特徴もあるので、覚えておきたい。
(協力:ASUS JAPAN株式会社)