スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)
Wi-Fiでやってみた【ZenWiFi編】第8回
「IPアドレスって何?」ルーターの設定や端末のIPアドレス固定に困ったら……
2020年9月29日 10:00
連載の最終回となる今回は、インターネット技術の基礎ともいえる情報である「IPアドレスって何?」という話をしたい。今さらという気もするが、理解していないとできないことも多いので、あらためて簡単に説明していこう。
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IPアドレスは、ネットワーク上の住所にあたるもの0から255までの数字4組で表す
IPアドレスは、ネットワーク上の住所と言えるもの。IPアドレスが宛先となることで、世界中に無数にあるネットワーク機器の中から、適切な端末へデータが送られる仕組みだ。
現在主に使われている「IPv4」という仕組みでは、約43億個のIPアドレスが使用できるが、世界中でインターネットが使われ続けたことで不足してきた。そのため、より多数のIPアドレスが使用できる「IPv6」という仕組みが導入されつつある。ただ、個人レベルのネットワークでは、現在もIPv4を使うことがほとんどだ。
IPv4では「192.168.1.23」というように、0から255までの数字4組でIPアドレスを表す。インターネットに接続されたネットワーク機器は、IPアドレスが割り当てられて初めて通信が可能になる。PCもスマートフォンもWi-Fiルーターも、インターネットに接続されているものは全てIPアドレスを持っている。
IPアドレスをユーザーが意識する場面はルーターの設定時
ただ、インターネットを利用していてもユーザーがIPアドレスを意識することは少ない。最もよくある使用例は、ルーターの設定だろう。
最近のWi-Fiルーターはとても賢くなっていて、接続するだけでほとんどの機能がそのまま使えることが多い。ただ、第7回で紹介した二重ルーター問題などに対処するため、ルーターの設定画面を開きたいこともある。
ほとんどのルーターは、本体に設定されたIPアドレスをウェブブラウザーに入力すれば、設定画面にアクセスできるようになっている。この仕組みを理解していれば、特に悩むことはない。
……と言いたいところだが、肝心のIPアドレスが分からなかったり、忘れてしまったりしたらどうすればいいのだろうか。方法はいくつかある。ASUSのメッシュWi-Fiルーター「ZenWiFi AX(XT8)」を例に見てみよう。
最もシンプルなのは、デフォルトゲートウェイのIPアドレスを確認することだ。デフォルトゲートウェイはたいてい、ルーターのIPアドレスと同じになっている。
Windows 10では、[設定]の画面で[ネットワークとインターネット]を選ぶと表示される[状態]タブにある[ネットワークのプロパティを表示]を選ぶと、接続中のネットワークの詳細情報が表示される。その中にあるデフォルトゲートウェイの値が、ルーターのIPアドレスとなる。
ほかにも、コマンドプロンプトから「ipconfig」と入力しても確認できる。慣れた人なら、こちらの方が早いかもしれない。
Android端末では、Wi-Fi設定で接続中のネットワークを選び、詳細設定を開くと、デフォルトゲートウェイを確認できる。
ちなみにASUS製品では、スマートフォン向けの「ASUS Router」アプリを使えばもっと簡単だ。同社のルーターにWi-Fi接続した状態でアプリを起動すれば、IPアドレスを入力することなく、自動的にルーターを見つけてくれる。
ただ、ルーターの動作モードを第7回で紹介したアクセスポイントモードに設定すると、デフォルトゲートウェイとルーターのIPアドレスは異なる値となってしまう。
そうしたときも「ASUS Router」アプリなら心配は無用だ。アクセスポイントモードで動作するルーターのIPアドレスも、アプリから確認できる。ネットワークの知識がある人も、こういったアプリをインストールしておくと重宝するはずだ。
端末のIPアドレスを固定したいときは?
ほかにIPアドレスを意識する必要がある状況を挙げれば、端末のIPアドレスを固定したいときだろう。
例えば、オンラインゲームをプレーするときに、特定のポートを開放して欲しいと言われることがある。その際、DHCPサーバーから自動配布されたIPアドレスを使っていると、後々異なるアドレスが割り当てられてしまい、設定が無効になってしまう可能性がある。
Windows 10でIPアドレスを固定するには、[設定]の画面で[ネットワークとインターネット]にある[Wi-Fi](有線接続の場合は[イーサネット])タブから接続中のネットワークを選択。その先の[IP設定」の項目にある[編集]ボタンを押し、[IP設定の編集]のメニューで[手動]を選ぶ。
続いて[IPv4]をオンにしてから、[IPアドレス]に使用したいアドレスを入力する。詳しい説明は省略するが、ルーターで設定しているプライベートIPアドレスと同じネットワークアドレスの範囲で、なおかつほかの機器とIPアドレスが重複しないアドレスを設定しよう。DHCPサーバーの割り当て範囲と重なってもいけないので、ルーターの設定も確認して決める必要がある。
[サブネットプレフィックスの長さ]はルーター設定に合わせた値(たいていは24のはずだ)。ゲートウェイには先述のデフォルトゲートウェイの値を入力する。
2つのDNSはデフォルトゲートウェイの値でおおむね問題ないことが多いが、インターネットプロバイダーから提供されたDNSサーバーアドレスを指定しておけば間違いない。
スマートフォンのIPアドレスを固定することは滅多にないと思うが、その気になれば固定することも可能だ。Android端末では、Wi-Fi設定で接続中のネットワークを選び、設定変更にある[IP設定]の項目を、[DHCP」から[静的]へ変更する。その後のIPアドレス等の設定は、Windows 10と同様だ。
IPアドレスはインターネットの基本技術であり、理解していると何かと重宝する。とはいえ、本稿で書かれていることを全部覚えている必要もない。とりあえず、IPアドレスはインターネット上の住所であり、4組の数字で表される……、ということだけでも覚えておけば、何かのときに役立つだろう。
(協力:ASUS JAPAN株式会社)