スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)

Wi-Fiでやってみた【ZenWiFi編】第8回

「IPアドレスって何?」ルーターの設定や端末のIPアドレス固定に困ったら……

 連載の最終回となる今回は、インターネット技術の基礎ともいえる情報である「IPアドレスって何?」という話をしたい。今さらという気もするが、理解していないとできないことも多いので、あらためて簡単に説明していこう。

ASUSのメッシュ対応Wi-Fi 6ルーター「ZenWiFi AX」
ZenWiFi AXは、最大4804Mbpsに対応するトライバンドのWi-Fi 6ルーター。単体でも使える1台構成と、メッシュWi-Fiを構成できる2台セットに加え、Amazon.co.jp限定のブラックモデルが販売されている。さらに1台の環境へ追加してメッシュWi-Fiを構成できる11ac対応の「ZenWiFi AC」もラインアップする

IPアドレスは、ネットワーク上の住所にあたるもの0から255までの数字4組で表す

 IPアドレスは、ネットワーク上の住所と言えるもの。IPアドレスが宛先となることで、世界中に無数にあるネットワーク機器の中から、適切な端末へデータが送られる仕組みだ。

 現在主に使われている「IPv4」という仕組みでは、約43億個のIPアドレスが使用できるが、世界中でインターネットが使われ続けたことで不足してきた。そのため、より多数のIPアドレスが使用できる「IPv6」という仕組みが導入されつつある。ただ、個人レベルのネットワークでは、現在もIPv4を使うことがほとんどだ。

 IPv4では「192.168.1.23」というように、0から255までの数字4組でIPアドレスを表す。インターネットに接続されたネットワーク機器は、IPアドレスが割り当てられて初めて通信が可能になる。PCもスマートフォンもWi-Fiルーターも、インターネットに接続されているものは全てIPアドレスを持っている。

IPアドレスをユーザーが意識する場面はルーターの設定時

 ただ、インターネットを利用していてもユーザーがIPアドレスを意識することは少ない。最もよくある使用例は、ルーターの設定だろう。

 最近のWi-Fiルーターはとても賢くなっていて、接続するだけでほとんどの機能がそのまま使えることが多い。ただ、第7回で紹介した二重ルーター問題などに対処するため、ルーターの設定画面を開きたいこともある。

 ほとんどのルーターは、本体に設定されたIPアドレスをウェブブラウザーに入力すれば、設定画面にアクセスできるようになっている。この仕組みを理解していれば、特に悩むことはない。

「ZenWiFi AX(XT8)」の設定画面をウェブブラウザーで開いたところ。IPアドレスを入力すれば表示できる

 ……と言いたいところだが、肝心のIPアドレスが分からなかったり、忘れてしまったりしたらどうすればいいのだろうか。方法はいくつかある。ASUSのメッシュWi-Fiルーター「ZenWiFi AX(XT8)」を例に見てみよう。

 最もシンプルなのは、デフォルトゲートウェイのIPアドレスを確認することだ。デフォルトゲートウェイはたいてい、ルーターのIPアドレスと同じになっている。

 Windows 10では、[設定]の画面で[ネットワークとインターネット]を選ぶと表示される[状態]タブにある[ネットワークのプロパティを表示]を選ぶと、接続中のネットワークの詳細情報が表示される。その中にあるデフォルトゲートウェイの値が、ルーターのIPアドレスとなる。

「ネットワークとインターネット」の設定で、「ネットワークのプロパティを表示」を選択
デフォルトゲートウェイとして表示されている値がルーターのIPアドレスになる

 ほかにも、コマンドプロンプトから「ipconfig」と入力しても確認できる。慣れた人なら、こちらの方が早いかもしれない。

コマンドプロンプトで「ipconfig」と入力してもIPアドレスを確認できる
接続中のネットワークの詳細設定にデフォルトゲートウェイが書かれている

 Android端末では、Wi-Fi設定で接続中のネットワークを選び、詳細設定を開くと、デフォルトゲートウェイを確認できる。

 ちなみにASUS製品では、スマートフォン向けの「ASUS Router」アプリを使えばもっと簡単だ。同社のルーターにWi-Fi接続した状態でアプリを起動すれば、IPアドレスを入力することなく、自動的にルーターを見つけてくれる。

 ただ、ルーターの動作モードを第7回で紹介したアクセスポイントモードに設定すると、デフォルトゲートウェイとルーターのIPアドレスは異なる値となってしまう。

 そうしたときも「ASUS Router」アプリなら心配は無用だ。アクセスポイントモードで動作するルーターのIPアドレスも、アプリから確認できる。ネットワークの知識がある人も、こういったアプリをインストールしておくと重宝するはずだ。

「ASUS Router」アプリを使えば、ネットワーク内のルーターを自動で探索。IPアドレスの入力は不要だ
アクセスポイントモードで動作しているルーターのIPアドレスも、アプリから確認できる

端末のIPアドレスを固定したいときは?

 ほかにIPアドレスを意識する必要がある状況を挙げれば、端末のIPアドレスを固定したいときだろう。

 例えば、オンラインゲームをプレーするときに、特定のポートを開放して欲しいと言われることがある。その際、DHCPサーバーから自動配布されたIPアドレスを使っていると、後々異なるアドレスが割り当てられてしまい、設定が無効になってしまう可能性がある。

 Windows 10でIPアドレスを固定するには、[設定]の画面で[ネットワークとインターネット]にある[Wi-Fi](有線接続の場合は[イーサネット])タブから接続中のネットワークを選択。その先の[IP設定」の項目にある[編集]ボタンを押し、[IP設定の編集]のメニューで[手動]を選ぶ。

 続いて[IPv4]をオンにしてから、[IPアドレス]に使用したいアドレスを入力する。詳しい説明は省略するが、ルーターで設定しているプライベートIPアドレスと同じネットワークアドレスの範囲で、なおかつほかの機器とIPアドレスが重複しないアドレスを設定しよう。DHCPサーバーの割り当て範囲と重なってもいけないので、ルーターの設定も確認して決める必要がある。

 [サブネットプレフィックスの長さ]はルーター設定に合わせた値(たいていは24のはずだ)。ゲートウェイには先述のデフォルトゲートウェイの値を入力する。

 2つのDNSはデフォルトゲートウェイの値でおおむね問題ないことが多いが、インターネットプロバイダーから提供されたDNSサーバーアドレスを指定しておけば間違いない。

「Wi-Fiのタブから接続中のネットワークを選択
「IP設定の編集」のタブで「手動」を選ぶと、IPアドレス等を入力できる

 スマートフォンのIPアドレスを固定することは滅多にないと思うが、その気になれば固定することも可能だ。Android端末では、Wi-Fi設定で接続中のネットワークを選び、設定変更にある[IP設定]の項目を、[DHCP」から[静的]へ変更する。その後のIPアドレス等の設定は、Windows 10と同様だ。

Android端末でも、接続設定の[IP設定]の項目を[静的]にすることで、IPアドレスを固定できる
そのほかの設定項目は、Windows 10と同様だ

 IPアドレスはインターネットの基本技術であり、理解していると何かと重宝する。とはいえ、本稿で書かれていることを全部覚えている必要もない。とりあえず、IPアドレスはインターネット上の住所であり、4組の数字で表される……、ということだけでも覚えておけば、何かのときに役立つだろう。

(協力:ASUS JAPAN株式会社)

石田 賀津男