スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)
Wi-Fiでやってみた【ZenWiFi編】第7回
「なんかネットゲームに繋がらない!」二重ルーターを解消する設定は?
2020年9月25日 10:00
高性能なWi-Fiルーターを使おうとした際、プロバイダーが提供するONUがWi-Fiルーター機能内蔵だったりすると、どうつなげばいいのか、悩んでしまう人も多いだろう。
これをそのまま直結する……、つまりWi-FiルーターとWi-Fiルーター機能付きONUを直接つないだ状態を、“二重ルーター”などと俗に呼んだりするが、実はこの状態でも問題なく使用できることも多い。
しかし、ソフトや環境によっては「遊んでいたオンラインゲームが遊べなくなった」ということもある。今回は、メッシュWi-Fiルーター「ZenWiFi AX(XT8)」を例に、この二重ルーターの状態を解消する方法を確認してみたい。
「Wi-Fi 6やメッシュなど、高性能なWi-Fiルーターを導入したいが、二重ルーターが気になる……」という人は、ぜひ参考にしてほしい。
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LAN内に複数機器にIPアドレスを割り当てる「ブロードバンドルーター」Wi-FiをLANで使用可能にする「Wi-Fiアクセスポイント」
“二重ルーター”について説明する前に、「そもそも何が問題なのか」を説明しておきたい。
まず、Wi-Fiルーターとは、「ブロードバンドルーター」と、「Wi-Fiアクセスポイント」が一体化した製品だ。
一般的な家庭向けインターネット回線では、ネットワーク機器が通信するために必要なIPアドレスが、1契約ごとに1つしか割り当てられない。
ブロードバンドルーターには、家庭内でだけ使えるIPアドレスを、各機器に割り当てる「DHCPサーバー」の機能と、ネットワーク機器がインターネットにつながるように、通信を取り次いでIPアドレスを変換する「NAT」の機能を持つ。この2つにより、IPアドレスが1つだけの環境でも、複数のネットワーク機器が同時にインターネットを使えるわけだ。
後者のWi-Fiアクセスポイントは、ブロードバンドルーター配下の有線ネットワークにWi-Fiの通信を繋ぎ込むために使う。「Wi-Fiが使いたいからWi-Fiルーターを買った」というなら、まさにWi-Fiが使いたいからだろう。
一方、プロバイダーにインターネット回線のサービスを申し込むと提供・レンタルされるONUやモデムといった通信装置には、こうしたブロードバンドルーターやWi-Fiルーターの機能を内蔵したものもある。筆者宅の「NURO光」も、Wi-Fiルーター機能内蔵のONUを提供している。
“二重ルーター”とは、ONUの内蔵機能とWi-Fiルーターで機能が重複している状態
前置きが長くなったが、ここからが本題だ。筆者宅にあるNURO光の機器はWi-Fi 5までの対応だ。そこで、Wi-Fi 6に対応したルーターを導入すると、NURO光の機器であるONUの内蔵機能と新しいWi-Fiルーターで、ブロードバンドルーターが2つ重なった状態になる。これが“二重ルーター”と呼ばれる状態だ。
このとき、何が起こっているのか。まずインターネット側と通信できるIPアドレスは1つだけなので、NURO光機器のNAT機能で、家庭内LANだけのIPアドレスへ変換される。そして新たに追加したWi-Fiルーターの機能でも、再び別のIPアドレスへ変換される。
本来、2度のNATは不要なのだが、Wi-Fiルーターを初期状態のまま使うと、こうなってしまう。それでも通信はできることが多いのだが、一部のオンラインゲームやネットワークサービスでは、接続できないなどの不具合を発生させる原因になり得るのだ。
別の環境では、DHCPサーバー機能が2つ同時に働き、機器ごとに割り当てられるIPアドレスがちぐはぐになり、通信ができなくなってしまうこともある。
“二重ルーター”を回避するには、Wi-Fiルーターのアクセスポイント機能だけ使う
こうした状況は、Wi-Fiルーターの設定を変更して、Wi-Fiアクセスポイントとしてだけ使用することで回避できる。メッシュWi-Fiルーター「ZenWiFi AX(XT8)」を例に、実際にやってみよう。
ウェブブラウザーで「ZenWiFi AX(XT8)」の設定画面を見ると、動作モードが「無線LANルーター」となっている。これは、ブロードバンドルーターとしても機能している状態だ。
そこで、動作モードをクリックすると、管理・動作モードの設定画面が表示される。ここで無線ルーターモードから、「アクセスポイント(AP)P0[33 モード」へと変更しよう。
続いて、本機の管理用IPアドレスを自動取得に関する設定と、Wi-FiのSSIDとパスワードの再設定が求められる。今回は、IPアドレスを自動取得にし、SSIDとパスワードは既に設定済みの内容を引き継ぐように設定しよう。
次に、Wi-Fi 6モードにするかを設定して、これで完了だ。
動作モードの設定を変更した後、再び管理画面にアクセス(先の設定で決められた管理用IPアドレス)すると、動作モードがアクセスポイント(AP)モードへと切り替わっていることが確認できる。
これで、ブロードバンドルーターとしてのNATやDHCPサーバーの機能が停止し、Wi-Fiアクセスポイントとしてのみ機能するようになった。これにより、二重ルーター問題は解消されたわけだ。
設定方法は機種によっても異なるが、機能としては「Wi-Fiアクセスポイントモード」などの呼び方をしているメーカーが多い。気になる方はマニュアルを見るなどして、設定を確認していただきたい。
(協力:ASUS JAPAN株式会社)