被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
自分だけは大丈夫が一番危ない! 尾木ママのネット詐欺事例に学ぶ
2018年7月27日 06:00
筆者は日々、ネット詐欺の事例を収集しているが、7月17日、尾木ママがブログにて「不覚 不覚!! PCハッキング詐欺にひっかかる!」と投稿。PCのハッキング詐欺にやられた、と報告した。同日には、「高齢者の皆さん!だまされないように気をつけましょう!!」と悔しさのあまり追加で投稿している。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
ワールドカップの決勝戦を見ようとして、何らかのアプリに接続したときに、「このパソコンは、ハッキングされました。直ちに以下の電話番号に電話連絡して下さい!」と表示されたそう。あわてて電話したところ、外国人の女性が出て、放置するとハッキングの被害が広がるため、PCを動かせなくすると言われる。そして、なんとかしてあげるからとクレジットカード番号を教えてくれと続く。ここで、そんな危険なことはできないと断ったのは流石。教えたら、速攻で限度額まで使われていたところだ。しかし、コンビニでAmazonギフト券を購入して、そのコードを教えてもらればOKと言われ、2万8000円のギフト券を購入して、番号を教えてしまったという。
これは、セキュリティ詐欺とギフトカード詐欺の複合ワザだ。最初の、PCがハッキングされたという警告に驚いてしまうと、相手の思うつぼ。このような詐欺サイトに接続したということは、なんらかの公式サービスではなく、適当に検索し、ヒットした怪しげなサイトを開いてしまった可能性が高い。そんな流れもあり、電話をしてしまう人は多い。
そして、2万8000円という微妙な金額は、PCよりも安いので心理的なハードルが低い。それで動くなら、どこかに相談するよりもラクと判断してしまうのも仕方がない。
対応策はいくつかある。まず、この手の事例を知ること。本連載でも、セキュリティ詐欺とギフトカード詐欺は紹介しているので、どちらかに似ていると判別できれば疑うことができる。
次に、この手の話でこちらから電話をするときは、信用していてもしていなくても、Googleで検索してみよう。本物であれば、普通になんらかの団体のウェブページがヒットするはず。詐欺に使われたことのある番号はネットで共有されており、すぐに見抜ける。
自信がある人は、状況を自分で判断してしまうのだ。犯人は当然、あらゆるパターンの受け答えを用意している。自分は大丈夫だと思い込んでいる人ほど、会話がスタートしてしまえば、簡単に詐欺にかけることができるのだ。自分はこういうのに引っ掛かりやすいからと、すべて疑ってかかる人の方がリスクを軽減できる。そもそも、犯人が一番いやなのが、無視されること。この手の表示が出たら、即ブラウザーを閉じて、そのようなサイトには近寄らないようにして欲しい。
詐欺事例を学びデジタルリテラシーを高めるのとともに、相談できる人を確保しておく、ということも重要だ。自称上級者も引っ掛かるときは見事に引っ掛かり、自分だけは大丈夫だと思ったとか、最近のネット詐欺はすごい、と言い訳したりする。誰しもネット詐欺に遭う可能性はあるので、慢心せず、危険を感じるアンテナは立てっぱなしにしておこう。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」連載記事一覧
- 誰にも相談できずネット詐欺の蟻地獄にはまった男性
- ウェブサイトを閲覧していたらいきなり請求画面が開いた!
- システムが壊れているのでソフトをインストールするようにと表示された!
- 欲しい品物があり得ないほど超激安で売られていた!
- Apple IDのパスワードを変更するようにメールが来た
- 「1億円あげますので受け取ってください」というメールが来た
- 「振り込みの受付が完了しました」と連絡が来た
- Facebookで見知らぬ美男美女から友達申請が来た
- 宅配便の不在通知がメールやSMSで来たからURLを開いた
- W杯が盛り上がってるので格安ユニフォームを買ってみた
- 仲のいい友達から電話番号を教えてとLINEが来た
- 楽天から不正ログインされたというメールが届いた
- 自分だけは大丈夫が一番危ない! 尾木ママのネット詐欺事例に学ぶ
- 突然「Googleをお使いのあなた! iPad Air 2の当選者に選ばれました」と表示された
- ネットオークションやフリマサイトでの詐欺パターンを知る
- ネット詐欺の中で件数が多いのはワンクリック詐欺と不当請求詐欺
- 高級ウイスキーをフリマアプリで買ったらなんか味が違う
- 自分が設定したパスワードが書かれた脅迫メールが来た
- アイドルから間違えてメールが来てやり取りが始まった!
- 「NPO法人デジタルリテラシー向上機構」が認証されました
- 一定期間無料の怪しいアプリを試用したことがある
- コンビニで電子マネーを購入するように言われた
- 自分のパスワードが漏えいしていないか、「Have I Been Pwned」で確認しよう
- 自分の個人情報をごっそり持っている相手に、AVを見ている姿を録画された!
- PCをハッキングされた! と思い込んで被害を拡大しないこと
- 詐欺アプリを自らインストールしないように心掛ける
- 大事な写真やメールを人質に取られて身代金を要求された
- 白人のハイキャリアナイスミドルからラブレターが来た
- アップルから「アカウントは閉鎖されます」とメールが来た
- 芸能人の被害報告も続々! サポート詐欺に要注意
- 宅配便をかたった詐欺手法がアップグレードされた
- ヘルスアプリで心拍数を測定するので親指でホームボタンに触れるように指示された
- 還付金が当選したというメールが届き口座番号を聞かれた
- Amazonに登録しているカードの期限が切れたので更新メールが来た
- ZOZOの社長から100万円振り込むので手数料を振り込むようにDMが来た
- Instagramに写真を撮るだけ、1日5分の作業で月収100万円という投稿を見かけた
- 平均被害金額2090万円! 大企業でも騙されるビジネスメール詐欺
- 自分から電話して自分で口座番号を教えてしまう“リバースヴィッシング詐欺”とは?
- 出会い系サイトで仲良くなった相手にわいせつ画像を送ってしまった
DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。