被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

高齢者のネット詐欺被害を撲滅しよう!

詐欺アプリを自らインストールしないように心掛ける

 映画のハッカーのように、遠隔地のスマホやパソコンに侵入し、自由にその端末を操作する、というのは難易度がとても高い技術を要します。ユーザーがセキュリティ機能やセキュリティソフトをきちんと運用していると、ほぼ不可能と言ってよいでしょう。しかし、“遠隔操作ソフト”や、データを送信する“トロイの木馬”のような不正プログラムを、ユーザー自身の手でインストールしてしまうとどうしようもありません。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 パソコンでは、『システムが壊れているのでソフトをインストールするようにと表示された!』で紹介したように、ウイルスに感染したという嘘の画面を表示して、ウイルス除去ツールと称してソフトをインストールするように誘導するケースがあります。

 スマホでは『宅配便の不在通知がメールやSMSで来たからURLを開いた』で紹介したように、大手企業からの連絡という体裁をとって不正アプリをインストールさせようとする手口があります。スマホをターゲットにしているので、SMSで連絡が来るので、さらに信用してしまう人がいます。

 どちらも、無視して画面を閉じてしまえば終わりです。これらのネット詐欺のことを知っていれば、問題ありません。しかし、知らない場合、内容を信じてインストール操作をしてしまうかもしれません。そんなときのために、次善の策も講じておきたいところです。

 Windows PCの場合は、Windowsの標準セキュリティ機能がきちんと有効になっていれば、ほぼ安心です。Macの場合はそもそもターゲットになりにくいのですが、心配であれば、「マカフィー リブセーフ」などのウイルス対策ソフトを導入するとよいでしょう。

「Windows Defender セキュリティセンター」を開き、すべてグリーンのチェックが入っていれば安心です

 スマホの場合、不正アプリなどのように、正規アプリストア以外の場所で配布されているアプリについては、インストールできないよう制限することが重要です。iPhoneであれば、通常は正規アプリストア(App Store)からしかアプリをインストールできないので安心です。Androidの場合も、標準では正規アプリストア(Google Play)以外からはアプリをインストールできないようになっているのですが、設定を変更することでインストールできてしまいます。アプリはGoogle Playからのみインストールすることにして、「設定」から「セキュリティ」→「提供元不明のアプリ」がオフになっていることを確認しましょう。

「提供元不明のアプリ」をオンにすると、通常のウェブページなどから入手したアプリをインストールできるようになります。オフになっていることを確認しましょう

 ただし、不正プログラムではなく、サポートセンターなどのビジネスユースでも使われる正規の遠隔操作ソフトだとセキュリティ機能ではインストールを防ぐことはできません。やはり、ユーザーがインストールする際に、疑念を持ってチェックする必要があります。

 ソフト/アプリをインストールする際は、本家のウェブサイトや正規のアプリストアから自分でダウンロードするのが基本です。メールに添付されているファイルをインストールするのはリスクが高いですし、スマホの場合、関係のないウェブサイトからダウンロードするのも避けましょう。くれぐれも不正プログラムを自分の手でインストールすることのないようにしてください。

NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。