被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
PCをハッキングされた! と思い込んで被害を拡大しないこと
2018年10月26日 06:00
NPO法人デジタルリテラシー向上機構の活動が始まり、より一層ネット詐欺の情報が集まってくるようになりました。まだ、相談や解決のお手伝いまでは手が回っていないのですが、よく見かけるので気になったことがあります。「PCをハッキングされた」と断言される方がいらっしゃるのです。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
もちろん、遠隔地からPCに不正アクセスされることは考えられます。ただ、見知らぬ人のPCに不正アクセスするのはとても難易度が高いのです。そう簡単に起こる事例ではありません。多くは、ハッキングされたと思い込まされてしまうのです。本当にハッキングしている場合は、全力でその形跡を隠そうとします。ばれたら対応策が取られてしまうので、当然です。
ハッキングしたと思い込ませる理由は、パニックを起こさせて判断力を低下させるためです。社内の重要データが漏えいしてしまう、プライベートな写真がさらされてしまう、怪しいサイトを利用していたことがばれてしまう、などリスクは人それぞれです。すると、お金を支払えばなんとかなるという選択肢に飛びついてしまうのです。
では、ハッキングしたという画面が表示されたときの対処法をご紹介します。まず、「ウィンドウが閉じられず操作をロックされた!」という相談のケースです。これは、ウェブページを全画面表示しているだけです。そのうえで、ブラウザー風の画像を表示し、右上には×ボタンなどを配置しているのです。もちろん、そこをクリックしても閉じることはできません。
マウスを右クリックしてもメニューが開かず、「ハードウェアを制御されている!」と思い込まないようにしてください。これは、JavaScriptによるものです。画像のコピーなどを防ぐために使われることもある基本中の基本テクです。ほかには、電話番号を表示して電話をするようにとか、口座番号を表示してお金を振り込むように書かれたダイアログが出るケースもあります。
操作を妨害されているなら、まずブラウザーを強制終了させます。キーボードの「Ctrl」「Shift」「Esc」キーを同時に押して、「タスクマネージャー」を起動しましょう。もしくは、「Ctrl」「Alt」「Del」キーを同時に押してメニュー画面を表示し、そこで「タスクマネージャー」を選んでもOKです。タスクマネージャーの「プロセス」タブからブラウザーを右クリックし、「タスクの終了」をクリックすれば強制定期に終了させられます。音が鳴っている場合も、同時に消えます。
「メールが消えた!」と情報をくださった方もいました。厳密に検証はできていないのですが、おそらく迷惑メールに分類されたものと思われます。経験がないと、これだけでもハッキングされたと思い込んでしまうのです。
くれぐれも電話したり振り込んだりしないようにしてください。さらには、間違っても指示に従って何らかのプログラムをインストールしないようにしてください。ウイルスの侵入であれば、OSのセキュリティ機能で防御できるのですが、ユーザーが通信ソフトをインストールしてしまうとどうしようもありません。
いざというときに備えて、アプリの強制終了の方法と、このようなネット詐欺があるということを覚えておきましょう。また、できればご両親などパソコンに詳しくないシニアの方に教えてあげてください。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。