被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

自分の個人情報をごっそり持っている相手に、AVを見ている姿を録画された!

 最近、急激に広まっているネット詐欺メールがちょっと怖いのでご紹介します。「すぐにお読みください」という件名で、日本語でのメールが来るのですが、その文面に戦慄します。こちらの名前やメールアドレスに加えて、自宅の郵便番号や住所、携帯電話番号などが全部書いてあるのです。その上で、PCをハッキングし、ポルノサイトで動画を閲覧しているところを録画したり、SNSの情報を取得したと脅してくるのです。録画した動画を見ていた動画と合成し、SNSをはじめとする連絡先全てに送信されたくなければ、お金を払え、と書いてあります。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 この手法は、本連載の記事「自分が設定したパスワードが書かれた脅迫メールが来た」でもすでに紹介しました。以前は、英文がメインで、要求金額も高額でした。しかし、その記事では、日本語になり、金額が下がると被害が拡大すると予測しました。残念ながら、そのような事態になってきたようです。

 以前は、メールアドレスとパスワードが記載されていました。本連載で何度も触れているとおり、パスワードを使い回していなければ、他のサービスへの不正アクセスは発生しません。それどころか、漏えいしたサービスを突き止めることもできます。しかし、今回は、住所・氏名・電話番号というごりごりの個人情報です。どこから漏えいしたのか分かりませんし、もう取り返しもつきません。

 対処法は、以前と同じです。無視するしかありません。返信すると、カモになってしまうので、完全に無視します。実は、今回もまだ不幸中の幸いであると言えます。文章が機械翻訳なのです。

「この瞬間、私はあなたのアカウント<筆者のメールアドレス>をハッキングし、そこからメールを送りました。 私はあなたのデバイスに完全にアクセスできます!」であればどきっとしますが、「私は何をしましたか? 私は二重スクリーンビデオを作った。 最初の部分はあなたが見ていたビデオを表示しています(あなたは良いと奇妙な味を持っている)、2番目の部分はあなたのウェブカメラの記録を示しています。まさにあなたは何をすべきですか?」では、そもそも何を言っているのか分からない人もいるでしょう。

 また、要求してきた金額は850ドルに下がっていたのですが、支払い方法は相変わらずビットコインだったのです。現時点でビットコインを扱えるようなリテラシーがあれば、この手の詐欺には引っかかりにくいですし、引っかかる人であればビットコインでの支払いは難しいでしょう。とはいえ、今後、決済手段が増える可能性もあります。やはり、普段から注意が必要です。

 対策としては、前述の通り同じパスワードを使い回さないこと。ハッキングが不安なら、セキュリティ機能をきちんと運用すること。ウェブカメラでの撮影が不安なら、カメラ部分にシールを貼ってしまいましょう。

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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。