被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

ヒュー・ジャッックマン詐欺に注意! ファンならワンチャン狙って引っかかるかも

 映画「ソードフィッシュ」や「ヴァン・ヘルシング」などで主演を務める俳優のヒュー・ジャックマンが、InstagramやTwitterアカウントでネット詐欺に関する投稿をしました。

 ヒュー・ジャックマンの名前や画像、アカウント名を真似たアカウントを作成し、ファンに連絡をするというものです。直接会う代わりに、わずかなお金が必要なので、クレジットカード情報や個人情報を教えてくれ、と誘導します。

 これは、国際ロマンス詐欺の有名人バージョンです。ファンの心理につけ込み、数百ドルを求めてくるのは狡猾すぎます。有名俳優であれば、そのくらいの金銭は当然必要だろう、という心理が働くので引っかかってしまう可能性が高くなるからです。

 ヒュー・ジャックマンは「SNSで自分に会うために金銭を要求しないし、今後も絶対にしません。私とかたってあなたにお金を求めてきたなら、それは詐欺です」と言っています。

SNSに投稿された注意喚起です

 ヒュー・ジャックマンのアカウントは、TwitterInstagramも認証済みアカウントの青いチェックが付いています。もちろん、ネット詐欺を仕掛けた輩には認証バッジは付いていません。そのため、ここをチェックすべきという意見もあるのですが、Twitterは2017年11月から認証バッジのリクエストを受け付けていません。そのため、有名人でも認証バッジなしで運用している人がたくさんいます。Instagramは申請を受け付けていますが、本当に有名人本人なのに却下して不評を買っています。認証バッジがなければ即偽物、という判断はできないのです。

さすがヒュー・ジャックマン、TwitterもInstagramも認証バッジを取得しています

 あり得ない幸運が舞い込んできたと思ったら、有頂天になる前にまず慎重になりましょう。熱狂的なファンだと、嘘かもしれないけど、チャンスがあるなら数百ドルなんて安いもの、と飛びついてしまいかねません。

 まずは、本当のアカウントかどうかを確認しましょう。名前や画像はコピーできますが、アカウント名は同じにはできません。微妙にどこか変わっているはずです。ただし、別の詐欺では、この連絡のために別のアカウントを用意していると言い訳を用意しているケースもあります。こうなると、アカウントだけでは真偽の判別が付きません。

 お金を前払いさせようとしたり、クレジットカード情報をメッセージのやりとりで得ようとする時点でネット詐欺だと気が付くデジタルリテラシーが必要になってきます。今回のニュースで、ヒュー・ジャックマンをかたる詐欺は減るでしょうが、これは他のあらゆる有名人に適用できる手法です。

 有名人から連絡が来たら、すぐにネットで検索してみてください。本当に、そのメッセージのような経験をした人が存在するのかどうか、確認しましょう。何ひとつ検索にヒットしないなら、怪しさ満点です。さらには、その検索ですでに被害に遭った人の情報が出てくる可能性もあります。検索することで、被害の拡大を防げるのです。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。