被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

新型コロナワクチンをネット販売? パンデミックに便乗するサイバー犯罪の手口

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が世界各地でスタートしました。最初は、感染リスクの高い人や医療従事者が優先されますが、ワクチンに対する関心の高さに付け込んだ詐欺も出てきます。

 2021年1月1日、中国で製造したとされる未承認のワクチンが日本国内に持ち込まれて富裕層が接種しているというニュースが報道されていました。この件について、中国政府側は、ワクチンの流通は厳格に管理しており、偽ワクチンの販売や国外への違法な持ち出しなどの犯罪行為は各国とともに取り締まる、と発表しました。こうした未承認のワクチンに飛びつく人がいることから、世界中でワクチンに関連する詐欺が多発しています。

 例えば、米国ではたくさんの人がワクチンを接種する順番を待っていますが、そこでサイバー犯罪者は「待機リストの優先順位を変更できる」といったメッセージやメールを送ってきます。個人情報として、氏名や住所、クレジットカード番号、社会保障番号などを要求してくることもあります。これは、フィッシング詐欺です。

 中には、「注射器ごと発送するので、料金を支払ってください」と言ってくるケースもあります。もちろん、全部嘘です。お金を支払ってしまったら、取り返すことは困難です。

 通常のウェブブラウザーではアクセスできない「ダークウェブ」にある犯罪者御用達のマーケットプレイスでもワクチンが販売されていました。筆者が見つけたのは400ドルのものでしたが、ニュースによると150ドル程度で販売しているものもあるそうです。もちろん、嘘ですし、もし何らかの液体が送られてきても偽物です。得体の知れない薬を打つくらいなら、金銭だけを取られた方がまだマシというものです。絶対に手を出さないようにしましょう。

筆者撮影。ダークウェブでは「COVID19 VACCINE」と称するものが販売されています

 米連邦捜査局(FBI)はパンデミックに便乗した詐欺に関して頻繁に注意を呼び掛けています。サイバー犯罪者は政府を騙ったり、特効薬や革新的な治療法を発見したと騙してきます。ウイルスの治療技術に投資すれば儲かると誘ってくることもあります。慣れないテレワークを強いられている人に「コロナ・マネーミュール詐欺」でマネーロンダリングの片棒を担がせることもあるのです。

 FBIはこれらの詐欺から身を守るための心構えとして、あまりに話が良すぎること(too good to be true)は疑え、とアドバイスしています。本連載でも繰り返し言っている、「あり得ないほど美味しい話はあり得ない」と同じですね。

 くれぐれも、ワクチンが欲しいからとサイバー犯罪者の詐欺に引っ掛からないでください。恐怖や欲望に目をくらませることのないよう、きちんとしたデジタルリテラシーを身に付けましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「support@dlis.info」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。