被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
ネットを見ていたら突然「ウイルス感染」警告、誘導先のアプリをインストールしてみると……
2021年1月29日 06:00
AndroidやiPhoneの端末でウェブサイトを閲覧していると、いきなり警告画面やセキュリティアップデートを促すような画面が表示されることがあります。画面をジャックされたような表示が出て、ウェブブラウザーの「戻る」ボタンの操作も効かなくなります。
画面には「ハッカーに追跡されています」「ウイルスに感染しています」「セキュリティアップデートが必要です」などと表示され、「接続を保護」や「ウイルスを削除」「ダウンロード」といったボタンを押させようとします。
誘導に従ってボタンを押すとアプリストアが開き、アプリをインストールするように促されます。アプリは無料で、評価も数百件付いており、そのほとんどが高評価です。しかし、ここでアプリをインストールしてしまうと面倒なことになります。
「VPNアプリ」や「ウイルス対策アプリ」と謳ったアプリをインストールさせられるのですが、無料で利用できるのは数日間で、その後有料のサブスクリプションになるのです。もちろん、課金前にはユーザーの同意を求められるのですが、英語で表示されているとよく読まずに同意してしまうケースがあります。すると、1週間ごとに9.99ドルとか、1カ月ごとに43ドルなどを引き落とされてしまうのです。しかも、ユーザーが対応しない限りずっと引き落とされます。また、ウイルス対策と謳っていても、まともに機能していない悪質なものばかりです。
これは、高額サブスクリプション詐欺です。セキュリティ機能やVPN機能が必要であれば、信頼できるアプリを購入しましょう。例えば、セキュリティベンダーのノートンライフロックが提供する「ノートン360デラックス」であれば、PCやスマートフォンの合計3台でセキュリティ機能やVPN機能を利用できます。価格は1年間5480円です。怪しいアプリに年間何万円も支払うのは避けましょう。
もし、アプリをインストールしてしまったのなら、削除してしまいましょう。ただし、サブスクリプションを契約してしまった場合は、アプリを削除しても請求は止まりません。
iOSで契約しているサブスクリプションを確認する場合は、「設定」から一番上のユーザー名をタップし、「サブスクリプション」をタップします。現在契約しているサービスが表示されるので、詳細を開き、「サブスクリプションをキャンセルする」をタップすればOKです。
Androidの場合は、Google Playのメニューから「定期購入」をタップすると契約しているサービスが表示されます。詳細を開き、「定期購入を解約する」をタップすれば解除できます。
高額サブスクリプション詐欺は昔からありますし、特にVPNアプリに多く見られます。しかし、今でもDLISに被害の報告と、サブスクリプションの解除方法を質問してくる方が後を絶ちません。
ウェブサイト閲覧中に突然警告が表示されたら、基本的にはネット詐欺だと考えてスルーしましょう。ウェブブラウザーの機能を悪用して元のページに戻れなくするケースもあります。そんな時は、タブごと閉じてしまいましょう。元のウェブページを表示したいなら、閲覧履歴から辿れます。元ページにアクセスした瞬間に詐欺ページが開くなら、閲覧をあきらめましょう。
もし誘導されても、アプリをインストールしなければOKです。高評価の数を見て騙されてしまう方が多いのですが、レビューの中身もチェックしてみましょう。日本人名なのに不自然な日本語で書かれている場合があります。低評価のレビューを見れば、「詐欺です」「4000円請求されました」などといった被害が報告されているので、確認する癖を付けましょう。
また、アプリストアからの請求や銀行口座から引き落とされている金額をチェックしていないと、何カ月も放置されている状態でいつの間にか被害金額が大きくなってた……なんてことが起こってしまいます。引き落とされた金額の詳細は毎月きちんと確認することをお勧めします。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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