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【使いこなし編】第184回

スマホのテザリングでチューナーレステレビを視聴、どれくらいの回線速度があれば快適?

 TCLのチューナーレステレビ「50P63J」の使いこなしを、第160回から紹介している。このチューナーレステレビをモバイル回線で使ってみようと、前回は、スマホでテザリングする設定を行った。

 今回は、実際にスマホのテザリングでチューナーレステレビを使い、映像コンテンツを視聴してみよう。気になるのは、どの程度のパフォーマンスの回線ならどれくらいのクオリティでコンテンツを視聴できるのか、というところだ。今回は、筆者が契約している楽天モバイルと、MVNOのmineoの2つの回線で試してみる(mineoは速度制限のあるプランとなる)。

チューナーレステレビ「50P63J」の活用方法を実践中

 チューナーレステレビからスマホへの接続は、通常のWi-Fi接続とまったく同じで、スマホのSSIDを選んで接続すればいい。

 iPhoneでは設定の[一般]ー[情報]画面の[名前]で、Androidでは設定の[ネットワークとインターネット]ー[アクセスポイントとテザリング]ー[Wi-Fiアクセスポイント]画面の[アクセスポイント名](機種によりメニューの構造が異なる可能性もある)で設定したものだ。

 SSIDを選択し、続けて暗号化キーの入力すれば接続できる。ここで接続出来ないときには、テザリング設定の暗号化方式で「WPA2/WPA3-Parsonal」を選択している(WPA3-Parsonalのみの選択になっていない)ことを確認しよう。

リモコンの設定ボタンを押してパネルを表示させ、[Wi-Fi]を選ぶ
テザリングで設定したSSIDが表示されるので選択する
暗号化キーを入力し、チェックマークを押して進める
スマホでテザリングしているWi-Fiに接続した

 接続できたら、あとはこれまでどおり動画コンテンツを楽しむだけだ。ホーム画面の読み込みも心なしか遅く感じられるはずだが、特に問題なく表示される。50P63Jは4Kに対応しているが、モバイル回線で4Kの動画を常時再生させ続けるのは、ちょっと難しい。フルHDで視聴できればいい、と考えておこう。

平均15Mbpsの楽天モバイルでは、フルHD動画を快適に視聴できる

 まずは、楽天モバイルの回線からだ。月額税込み3278円で、5Gまでのデータ通信が無制限にできる「Rakuten最強プラン」を契約しているので、動画コンテンツも通信料金を気にせずに視聴できる。なお、あまり使わない月(3GBまで)は1078円で済む。

 筆者宅がある埼玉県東部の住宅街は、一応5Gのエリアに入っており、ときどき5Gを掴むが、ほぼ4Gの表示という状況だ。それでも、Amazon PrimeビデオやNeflixで動画を再生してみると、特に問題はない。4K(Ultra HD)コンテンツはギリギリ再生できることがあるものの、すぐにフルHD表示に切り替わってしまう状況となるが、フルHDなら、言われなければモバイル回線だと気づかないレベルで十分快適に楽しめる。

 回線速度計測では、おおよそ15Mbps程度だった。これは、Netflixの基準でいえば、ギリギリ4Kでも楽しめる回線速度だ[*1]。これは、引っ越し直後で回線がないときの「つなぎ」に限らず、チューナーレステレビを楽しむ回線として、十分にアリな選択肢だろう。

 ちなみに、Rakuten最強プランでは音声通話の付かない「データタイプ」も選ぶことができ、その場合には契約時に本人確認が不要で、開通までの時間が早くなる。料金は変わらない。

[*1]……Netflixで推奨している回線速度は、HD(720p)で3Mbps以上、フルHD(1080p)で5Mbps以上、Ultra HD(4K)で15Mbps以上となっている。テザリングしているスマホは、なるべくモバイル回線の電波が安定して入る窓際に置くようにするとよい

Netflixでは、メニューを表示させると右下のある「ヘルプ」から……
[ネットワークを確認]を表示させると回線速度測定ができる。結果は約15Mbps
Netflixを使っていなければ、ウェブブラウザー「Sleipnir TV」で「fast.com」を表示させてチェックしよう
常時4K表示ではないが、回線状態がよければ4K(Ultra HD)でも再生できた。これはAmazon Primeビデオでの再生

1.5Mbps制限で安いmineo「マイそく」も、意外とストレスなく楽しめる

 もうひとつ用意したmineoの回線は、制限がある最大速度を選ぶことでデータ無制限使い放題にできるプラン「マイそく」の「スタンダード」で契約しており、最大1.5Mbps/月額990円で利用できる。

 「マイそく」は、もう少し速度を上げたければ最大3Mbps/月額2200円の「プレミアム」も選べ、198円払えば「24時間データ使い放題」として、速度制限を外すこともできる。ただし、月曜~金曜の平日昼の12~13時(お昼休み時間帯)は最大32kbpsと、この時間帯だけはほぼ使えない速度まで落ちる。また、3日間で10GB以上の通信を行うと速度制限が行われることには注意が必要だ。

 1.5Mbpsだと、NetflixではHDの推奨速度である3Mbpsの半分しか速度が出ないため、さすがに厳しそうに思った。しかし、実際に再生してみると、画質はやや落ち、動きの速いシーンだと頻繁にブロックノイズは入るものの、再生は止まることなく、意外とスムーズに再生できる。画質にあまりこだわらず、画面が小さめのチューナーレステレビで視聴する分には、問題ないと感じた。

 ちなみに、mineoではNTTドコモとau、ソフトバンクの回線を自由に選択できるが、筆者はau回線を選択している。コストを重視して、平日昼間は在宅せず、夜に1~2本ドラマを見る程度、といったライトな使い方であれば、アリな選択だろう。

 HDのコンテンツを10分間再生してみたところ、おおよそ120MBというデータ消費量になった。これを元にすると、1時間で720MBぐらいのデータ通信量となる[*2]。ということは、1日3時間の視聴で2GB程度、3日間では6GB程度で、速度制限ラインを気にする必要はなさそうだ。あくまでも筆者の環境でのテストであり、いつでも同じ状態にはならないので参考程度にとどめてほしいが、意外とストレスなく利用できることは分かっていただけるだろう。

[*2]……一般的なHDのデータ量よりも少なく済んでいるが、サービスによって圧縮が強めだったり、ストリーミング再生のため回線混雑(または1.5Mbpsの速度制限)によって転送が追いつかず低いデータ転送量になっていることが想像できる。実際のデータ転送量はスマホ側でチェックできるので、確認しながら使うとよいだろう

Netflixの速度計測では、ほぼ1.5Mbps
「fast.com」でも同じ結果
たまにブロックノイズが目立つことがあるが、カクつくことなく再生されている

 ここまで、自宅Wi-Fiでチューナーレステレビを活用する方法をさまざま実践してきたが、今回でチューナーレステレビの活用は、いったん区切りをつけておこう。チューナーレステレビの使い方に迷ったら、過去の連載記事も参考にして、楽しんでみてほしい。

今回の教訓(ポイント)

モバイル回線でチューナーレステレビを使うならデータ無制限プランを選ぼう
1~3Mbps程度の回線速度でもチューナーレステレビでNetflixを楽しめる

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。