イベントレポート

見つけたミライ@Inter BEE

「食べられるマーカー」で、料理にプロジェクションマッピング!

 「Inter BEE 2018」が11月14日~16日、幕張メッセで開催された。Inter BEE 2018は、音と映像と通信のプロフェッショナルのための展示会だが、今年は「デジタルコンテンツEXPO」と併催になり、メディア総合イベントとしての意味合いを強めている。そこで、Inter BEEおよびデジタルコンテンツEXPOの展示の中から、超スマート社会というテーマにふさわしい展示や、読者の関心が高そうな展示を紹介する。

 デジタルコンテンツEXPOでは、さまざまなVRコンテンツや体感コンテンツのデモが行われていた。その中でも注目を集めていたのが、群馬大学大学院奥寛雅研究室による「食べられる再帰性反射材による料理へのプロジェクションマッピング」のデモだ。

パンケーキが乗った皿を動かしても、リアルタイムにアニメーションの投影位置が変更され、きちんと追従する

 再帰性反射材とは、光が入ってきた方向に光を反射して戻す反射材のことで、事故を防ぐために自転車の後ろなどに貼り付けられているのも再帰性反射材だ。奥研究室では、この再帰性反射材を寒天とグラニュー糖、水で作ることに成功した。これらは全て食べられる材料であり、食べ物の上に置くことで、反射材ごと食べることができるようになる。

群馬大学大学院奥寛雅研究室は「食べられる再帰性反射材による料理へのプロジェクションマッピング」のデモを行っていた
この研究はカフェテリアでの応用を想定したもので、食べられる再帰性反射材を載せたパンケーキ上にキャラクターのアニメーションを動的にプロジェクションマッピングするものだ

 デモでは、パンケーキの上に再帰性反射材を置き、それをマーカーとして検出し、その下に「ぐんまちゃん」のアニメーションを表示させていた。パンケーキを動かしても、リアルタイムにアニメーションが追従する。デモでは、プラスチックでできた再帰性反射材が使われていたが(寒天製の食べられる再帰性反射材は、乾燥により形が崩れるので、長時間のデモには適さないため)、実物の食べられる再帰性反射材が展示されていたほか、実際に試食も行われていた。筆者も試食してみたが、普通に甘い寒天であった。

このように、再帰性反射材をマーカーとし、その下に「ぐんまちゃん」のアニメーションが投影される。デモでは、プラスチックでできた再帰性反射材が使われていたが(食べられる再帰性反射材は乾燥するので長時間のデモには適さないため)、食べられる再帰性反射材でも同じことができることを確認済み
寒天で作られた食べられる再帰性反射材の実物
食べられる再帰性反射材の試食も行われていた。材料は、寒天とグラニュー糖と水だけ
実際に食べてみた。普通に甘い寒天だった(当たり前)

 奥研究室では、カフェテリアなどでの応用を想定しているという。海外では、テーブルにプロジェクションマッピングを行うレストランもあるが、食べられる再帰性反射材というのはなかなか面白い発想である。