iNTERNET magazine Reboot

Pickup from「iNTERNET magazine Reboot」その12

なぜ日本からグーグルが生まれなかったのか?

――ウェブ創世記を知る人々と振り返る[拡大版]

ポータルサイトから検索エンジンへの流れ

NTT.JPは日本のポータルサイトの先駆けだと言われていたが、米ヤフーの創始者ジェリー・ヤンはNTT.JPのファンで、彼は自分のページがNTT.JPの新着情報コーナーに掲載されたのを喜んだのだという。続いてインターネットの世界は検索エンジンになだれ込む。早稲田大の千里眼、米国のAltaVistaなど各人に思い出のエンジンがあった。

坂本仁明さん(左)、クロサカタツヤさん(右)

クロサカ:グーグルが登場した当時、日本ではすでにgooが人気を博していました。gooはかなりイケていたサービスで、検索エンジンとしてはかなりのシェアを獲得していた。NTTグループのなかからは、どんな風に見えていたんでしょうか。

坂本:僕はあくまで、いちユーザーでしたね。そのころはもう広帯域通信の方に研究の興味がシフトしていたので、異動してまで手がけたいとは思わなかった。

髙田:「goo」って、通信回線の提供でもソフトウェアの提供でもなく、サービスの提供です。当時のNTTにも電話回線の上に乗ったサービスというものはありましたが、インターネット上のサービスを利用者にむけて提供しようとしたのはあれがはじめてだったんじゃないかな? その当時、それがビジネスとして成り立つのかどうかぜんぜん想像できなかった。

高橋:NTTのなかにも検索エンジンを開発している人はいて、コードを見せてもらったらすごいものでした。gooは自前のエンジンと買ってきたエンジン(Inktomi)をあわせてサービスを運用していました。

クロサカ:あの時、日本で一番グーグルに近かったはずのgooが、なぜなれなかったのか。あくまでも僕の考えですが、gooは自分たちを「検索エンジン」だと思ってしまったことが、最大の理由じゃないでしょうか。もちろんグーグルも最初はそうでした。でも、グーグルマップをリリースした時、他の人達は「グーグルは何をやろうとしているんだ?」って、みんなわからなくなったんですよ。彼らが目指しているのは、単なる検索エンジンじゃなかった。

髙田:2004年にグーグルは後に「グーグルアース」となるKeyhole社を買収しました。そのとき社内で、「この買収はいったいなんなんだろう?」って議論した記憶がある。

クロサカ:その結論はなんだったんですか?

髙田:細かい部分は忘れてしまったんですが、グーグルはなにを見据えているのか、という話になった。当時グーグルはウェブ検索の会社だったんだけど、情報を集めてサービスとして提供するという行為の対象としてみているのはウェブだけじゃないんだ、というのをそのとき感じました。Keyholeの創業者はジョン・ハンケで、その後グーグルマップやストリートビューを統括し、いまはNiantic, Inc.のトップです。

高橋:おれはハンケがKeyhole作っている時に、地図と電話帳をやっていたのか。だから今、彼が作ったポケモンGOをやっている。