iNTERNET magazine Reboot

Pickup from「iNTERNET magazine Reboot」その12

なぜ日本からグーグルが生まれなかったのか?

――ウェブ創世記を知る人々と振り返る[拡大版]

グーグルはオペレーションカンパニーなのか?

グーグルはM&Aによってサービスを拡大していった。一方、日本企業は自分たちでサービスを作ろうとがんばり、ネットオークションのようなヒットサービスも生まれた。

クロサカ:彼らはずっとサービスを提供するということに徹しているんですよね。

髙田:グーグルは、いつどうやってそれに気づいたのかがわからない。

遠山:それはエリック・シュミットが来た頃から、整理していたんじゃないですか。

クロサカ:オペレーションマインドが高まったというのはユーザーとして感じる。

髙田:NTTもオペレーションカンパニーなんだけど、その差はなんだろう。

クロサカ:NTTは、ネットワークオペレーション。そこは世界で第一級。でもアプリケーションサービスのオペレーションではない。

坂本:例えば、NTTにもYouTubeと同じような動画サイトを作ろうと思えば、作れちゃうんですね。

遠山:だから、買ってこようじゃなくて、作っちゃおうとなる。

髙田:実際に作りました。でもそれは動画サイトに限ったことでも、NTTに限ったことでもない。「サーチエンジン史」という1993年頃からの日本の検索エンジンの歴史をまとめたサイトがまだ残っているんだけど、それをみると日本でもいろんな会社が検索サービスを作っていたことがわかります。NTTやソニー、富士通、日立とかは1996年の時点で、すでに自分たちでシステム作ってサービスを公開していました。一方でアメリカのサービスを日本に持ってこようという人たちも当時からいた。

坂本:グーグルはSNSに何度もトライしているけど、すべて上手くいっていない。技術があればいいのではなくて、買収するときにはユーザーも一緒についていっている。単純にサービスを買っているんじゃなくて、ユーザーやブランドを買っているんじゃないか。

クロサカ:買収とは違いますが、DAZNがJリーグの放映権を取得したのもそうです。スカパーを契約していたJリーグ・コミュニティがあるからこそ、放映権を買った。

高橋:おれもJリーグとともにスカパーからDAZNに移籍してしまった。

クロサカ:見られなくなったらしょうがないですよね。もはや黎明期じゃないから、ユーザーがいるコミュニティを買うという形でサービスを仕入れて、育てていかないといけない。では、なぜNTTはそうなれなかったのか。

髙田:正直なところ、NTTだけの話をしてもしょうがない。じゃあ日本には、ほかには誰かいたでしょうか。

坂本:アメリカのヤフーは傾いたが、日本のヤフーには価値がある。日本にはヤフオクがあったけど、アメリカはeBayだったことでの収益構造の違いがある。

クロサカ:ヤフーオークションは、極めて日本のヤフーにとって大きな存在。あらゆる人があれを事例に出す。事業部門だけじゃなく法務部門も、オークションをオークションたらしめるために頑張った結果です。

高橋:アメリカのヤフーは、それこそM&Aの失敗だと思うな。