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2017年の3大ニュースは「赤色立体地図」「BGP誤経路情報トラブル」そして「Amazonプライム年会費」

INTERNET Watchニュース記事の年間アクセスランキングを発表!

 「INTERNET Watch」で今年1年間に掲載したニュース記事について、アクセス数(ページビュー)に基づくランキングを算出した。


4月14日付記事『ブラタモリでもおなじみの「赤色立体地図」無料ダウンロード提供、日本全国から好きな地域を選択可』より。無料ダウンロード提供が開始された「赤色立体地図RRIM10_2016」の例(甲府エリアのもの)

 トップ3を見ていくと、まず第3位には「赤色立体地図」の話題がランクイン。赤色立体地図というのは地形の立体表現手法の1つで、傾斜量を赤色の彩度で、尾根谷度を明度にして調整したもの。NHKの番組「ブラタモリ」でも地形を解説するのにしばしば用いられていたりするのを見たことがある人も多いことだろう。

 ラインクインした4月14日付記事『ブラタモリでもおなじみの「赤色立体地図」無料ダウンロード提供、日本全国から好きな地域を選択可』は、地図ショッピングサイト「MAPSHOP」(現在は「マップショップ ぶよお堂」)において、「赤色立体地図RRIM10_2016」の無料ダウンロード提供を開始したことを伝えたもの。個人利用に限られるが、日本地図のエリア一覧から好きな地域を選んでダウンロードできるということで、地図好き・地形好きの注目を集めたようだ。


 続いて2位は、8月下旬に発生したインターネットの大規模障害の原因を報じた8月25日付記事『25日(金)のネット障害、原因は経路情報の誤り、世界に影響』。当初は日本に対するサイバー攻撃も疑われたようだが、その原因は、インターネットの通信パケットを正しい宛先(IPアドレス)へ転送するためにネットワーク事業者の通信機器間で共有している経路制御(BGP:Border Gateway Protocol)の情報に、とあるネットワーク事業者が誤った情報を流してしまったことによるものだった。

 こうした誤経路情報トラブルは、インターネットではたびたび発生しているということだが、このときは影響範囲が過去に例がないほど大きかったこと、また、その範囲に日本国内の経路も多く含まれていたこと、OCNやKDDIなど日本有数のインターネットサービス、さらにはオンライン証券取引サービスなどにも影響が出たことなどから日本で大騒ぎとなったわけだ。

 この大規模障害については総務省の電気通信事故検証会議が12月、「平成29年8月に発生した大規模はインターネット接続障害に関する検証報告」(PDF)をとりまとめて公表している。障害の原因が説明されているほか、関係者へのヒアリングなどを通じて検証を行い、そこから得られた“教訓”もとりまとめており、誤経路情報トラブルでなぜ、ああした大規模なインターネット障害が起きるのかを知るにもちょうどよい資料となっている。

総務省の電気通信事故検証会議が12月にとりまとめた「平成29年8月に発生した大規模はインターネット接続障害に関する検証報告」(PDF)より

 ちなみに、このとき誤った経路情報を流してしまったネットワーク事業者とは米Googleであり、ネットワーク運用・技術者の間では障害発生からほどなくして、Googleが“やらかしてしまった”のが大規模障害の原因であることはほぼ特定されていた。しかし、こうした誤経路情報トラブルでは通常、その原因について公式な発表元がないため、OCNなど実際に障害が発生しているネットワーク事業者も含め、その原因をユーザーに対してはっきりと説明できず、マスコミも含めてサイバー攻撃説の可能性を思い浮かべてしまうことになったのかもしれない。上述の総務省の報告書でも、OCNへのヒアリング結果として「本事象の発生原因は、ネットワーク技術者レベルでの非公式な情報交換を通じて、グーグルによる経路情報の誤設定によるものと推定はできたが、判断がつかなかったため、利用者への情報提供に苦慮したとのことであった」と記されている。

 なお、Googleはその後、やらかしたことを認め、謝罪コメントを出している(8月28日付記事『米Googleが経路情報の誤設定を認め、謝罪コメント~25日のネット障害の原因に』参照)。


 そして第1位。INTERNET Watchで2017年に最も多く読まれたニュース記事は、6月29日付の『「Amazonプライム」年会費が2900円に、「プライムデー」を前に6月30日~7月2日に特別キャンペーン』だった。7月10日に開催した「Amazonプライム」会員向けのビッグセール「プライムデー」を前に実施された、Amazonプライム年会費の割引キャンペーンを伝えた記事だ。プライムデーそのものへの関心も大きかったのだろうが、それよりも年会費3900円→2900円のインパクト(ただし、割引は入会1年目のみ)によって記事アクセスランキング年間1位にまで押し上げられたと思われる。

 引き続き2018年も「INTERNET Watch」をよろしくお願い申し上げます。

2017年のニュース記事 ランキング