INTERNET Watch 30周年記念インタビュー
「共創の場」として他にない存在感の総合展示会、今後も国内外に産業の方向性を示す~CEATEC・JEITA
30年後には展示会はなくなる!? 鹿野エグゼクティブプロデューサーの未来予測
2026年8月27日 07:00
「CEATEC」(シーテック)は、JEITA(電子情報技術産業協会)の主催で毎年秋に開催される総合展示会。2026年の開催日程は10月13日~16日で、来場事前登録を本日8月27日10時より開始する。
前身となる展示会から数えて60年以上の長い歴史を持ち、その性質は、商談を中心とした多くの展示会とは少々異なる。まずはJEITAという組織とCEATECの、独特な立ち位置について押さえておきたい。
ITの広がりと共に、「共創」の場として拡大する総合展示会
JEITAは、電子情報技術産業協会という名前から想像される通り、エレクトロニクス/IT業界を中心とした業界団体だが、現理事には旅行会社であるJTBや、セキュリティサービスを提供するセコムの役員も名を連ね、デジタル技術が影響する産業の範囲の広がりを感じさせる。言うなればJEITAは、今後も関係する業界を広げていく可能性が高い業界団体であるという点で、ユニークな存在だ。
CEATECは、1962年に開催された「日本電子工業展」がその源流となる。1964年には「エレクトロニクスショー」と改称。その後も電子機器の展示会として歴史を重ねていき、2000年に通信分野の展示会だった「COM JAPAN」と統合して「CEATEC JAPAN」と改称。CEATECは「Combined Exhibition of Advanced TEChnologies」(先端技術の総合展示会)の略である。
JEITAが今の姿になったのも、同じく2000年のこと。それまでの電子機械工業会(EIAJ)と電子工業振興協会(JEIDA)が統合し、今のJEITAが生まれた。
CEATECは、2016年にはテーマを「CPS/IoT Exhibition」へと転換し、2017年には「Society 5.0の展示会」を掲げるようになる。Society 5.0とは、今の「情報社会」(Society 4.0)の先として日本政府が提唱する、「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」を指す言葉だ。2019年には、正式名称を「CEATEC」にあらためている。
このように、JEITAもCEATECも、デジタル技術が影響する領域の広がりに伴って進化を続けていると言える。そして、そのような状況を踏まえ、近年のCEATECが重視していることに「共創」がある。異なる領域の人たちが交じり合い、新たな価値を生みだす場として機能しており、今後もそのような機会を増やそうとしているのだ。
今回は、CEATECエグゼクティブプロデューサーを務める鹿野清氏 に、これまでと、この先30年についてお話を伺った(聞き手:本誌編集長 山田貞幸 写真・構成:村上俊一)。
INTERNET Watchは、2026年2月に30周年を迎えた。激しい変化が続き「今」を追いかけるだけで精一杯となりがちなインターネット業界周辺だが、本企画では主要プレイヤー各社に「これまでの最大の転機」と「今後30年先までの見通しや想像するイメージ、あるいは夢」を伺いながら、読者の皆様とインターネットの未来像を共有することを目指す(インタビューの一覧はこちら)。
10年前、「CPS/IoT」をコンセプトに来場者数を回復
——CEATECの歴史における、これまでの最大の転機についてお聞かせください。
鹿野氏:最大の転機、とのご質問ですが、大きな転機は2つあります。どちらを取るかということでなく、2つをお話しさせていただきたいと思います。
2000年に「CEATEC JAPAN」が誕生しました。当時、私は運営に携わっていませんでしたが、2つの展示会を複合して一緒になり組み上げていこう、という思いがすごくあったのでしょう。「CEATEC」という言葉自体にインパクトがあり、画期的だったと思います。
2000年頃は、ちょうどデジタル家電の絶頂期で、BSデジタル放送が始まったり、テレビがデジタル化したりして、会場も当時では超大型のテレビが各企業から展示されていて、とても華やかで派手な展示会でした。
2000年のCEATEC JAPANの記事は、PC Watchで掲載している。INTERNET Watchが最初に記事を掲載したのは、当時のBB Watchで掲載したCEATEC JAPAN 2001のNTT西日本の講演
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当初はまだ、純粋に日本のエレクトロニクス産業の総合展示会という位置づけでしたが、このエレクトロニクス産業界が競争によって厳しい環境に置かれ、特にテレビを中心とした家電製品の売り上げは、右肩下がりになっていきます。2007年に来場者20万人を記録しましたが、これがピークとなり、その後、徐々に来場者は減少していきます。
2016年、当時としては少し難しい言葉で「CPS/IoT Exhibition」という言い方をしたのですが、サイバーフィジカルシステムとIoTの展示会にしていく、というコンセプトを掲げました。インターネットが急速に普及したことによって、インターネットを通じていろいろな新しい世界ができてくるということ、特にIoTという、モノがインターネットでつながる時代になってくるという、その先駆けだったと思います。
CEATECのあり方を何とかしなければ、という思いもあったのでしょう。2016年の時点ではかなり先進的で、そのような未来指向の展示会にしたいという狙いだったと思いますが、今でいえば「デジタルツイン」や「フィジカルAI」として広がっているものです。
2016年は、このコンセプトを打ち出し、出展数も来場者数も回復に転じました。さらに、翌年2017年になると、政府や経済界が「Society 5.0」というキーワードを打ち出し、風向きが変わりました。
日本の展示会の中で未来の社会の姿を示す展示会は、意外となかったのです。私たちの意識として、将来の超スマート社会とも言われる「Society 5.0」が、実際にどんなものかを見て、感じていただこうと、そういう思いの乗った展示会になったのが、2017年のCEATECです。
この2016年~2017年が、1つの大きな転機だったと思います。以降、来場者数が再び増加していくようになりました。この頃から現在に至るまで、「Advanced Technologies」の名を背負いながら、常に時代の一歩先を提示し続ける展示会であり続ける姿勢こそが、CEATECの一貫した核心部分なのです。
——なるほど。「Combined Exhibition of Advanced TEChnologies」という名前から、未来指向の方向性につながったのですね。
CEATEC JAPANのこうしたテーマの変遷については、以下の記事などを参照のこと。CEATEC JAPAN 2017開催前の鹿野氏のインタビュー記事は、本誌における鹿野氏の初インタビューとみられる
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コロナ禍を経て「DX」の新しい風が吹き込む
——展示会にとって、直近のコロナ禍は極めて大きな影響があったかと思いますが、もう1つの大きな転機は、それになるでしょうか?
鹿野氏:そうです。実は、2020年の春頃までは、CEATEC 2020をリアル会場で実施するつもりでいました。しかし、世界中で展示会の中止が続き、CEATECもやはり断念して、CEATEC 2020はオンライン開催に移行します。
当初は経験もなく、まったくどうしていいか分かりませんでしたが、結果的には、6カ月ほどでゼロからオンライン展示会のインフラを構築し、実際にそれを運用しました。今から振り返ると、かなり思い切った挑戦だったと思いますが、この取り組みは、転機というか新しい力をもたらす結果になったと考えています。
うまくいくことばかりではなく、初日には回線がパンクしてしまったりもしたのですが、サイバーの世界の感覚を、リアルに経験できたと思います。
2022年からリアル会場に戻るのですが、この間にDXが進み、Society 5.0の世界を実現するコア技術が確立されました。そして、DXが進んだ世界で、私たちは新たな経験をしています。
「Digital Transformation」の略。デジタル技術を活用し、業務プロセスやビジネスモデルから抜本的な変革を行うこと、「デジタル化」「IT化」が既存の業務プロセスをデジタル技術で置き換えることを指すとすれば、新たな価値や競争優位などの創造も行った、より大きな変化を起こすことを指す
コロナ禍前から、DXによってエレクトロニクス/IT産業だけでなく、さまざまな業種にデジタル技術が関係するようになり、出展企業の業種が広がったのです。DXは、どのような業界にとっても重要な関心事であり、CEATECに来場いただく理由にもなっています。
建築機械のメーカーとして知られるコマツ(株式会社小松製作所)に大型のショベルカーを展示していただいたり、そのほかでも航空会社であるANA(ANAホールディングス株式会社)、コンビニエンスストアのローソン(株式会社ローソン)など、さまざまな業種の方がユニークな展示をされて、DXをテーマに同じくさまざまな業種の方が訪れ、横のつながりを生む展示会になりました。そうした変化により、昨年(2025年)は10万人近い方々に来場いただくことができました。
INTERNET Watchでは、2018年のコマツとローソンの出展、2019年のANAの出展を記事で紹介している。ANAについてはあらためて後述する
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——オンラインのほうは、リアル会場が回復した2022年以降縮小の傾向にあると思いますが、どのような理由によるものでしょうか?
鹿野氏:技術面やコスト面には、特に問題はありませんでした。しかし、2020年は初めてのオンライン開催自体に新鮮さもあったのですが、オンラインで2年目以降になると目新しさも薄れてしまいますし、やはり触ってみないと、対面して話さないと分からない、といった声も増えてきました。そこで、やはり中心はリアル会場で、ということにしたのです。
一方で、オンラインのメリットに、収容数が無制限であることがあります。期間中にはコンファレンスを200以上行いますが、幕張メッセでは、どんなに大きな会場でも1000人ぐらいが上限になります。ところが、オンラインであれば何千人という人数に集まっていただくことができるんですね。これは大きなメリットで、コンファレンスはオンライン開催も続けています。
共創の場として定着し、技術者・開発者の来場が増えている
鹿野氏:以上の2つの転機はいずれも外的な要因で、CEATECは変化しなければならなかったのですが、結果的には、どちらも良い影響がありました。その上で、一方通行ではなく、出展企業と来場者との間での「共創」(Co Creation)という新しいスローガンを掲げました。
さまざまな方が来場される中で、皆さんが話し合って新しいものを作り出す機会としてCEATECを位置づけ、土地(展示スペース)というよりも機会を提供する、という役割にシフトしていきました。
その結果、商談を目的とした営業やバイヤーの方以上に、技術者・開発者の方の来場が多くなっています。そして、出展企業の説明員としても技術者の方が参加されることが多くなっており、技術者同士で話して、自社の課題をこの企業の技術で解決できるぞ、といった発見が生まれる。そういった、R&D(研究開発)の場として、価値を感じていただけるようになっています。
鹿野氏:今、国内でCEATECのように「総合展示会」をうたう展示会はほとんどなくなっていると思います。「CEATECは何の展示会ですか?」と聞かれて、一言で答えられず困ったこともありましたが、今では、日本でこれだけ多くの産業を網羅的にカバーしている展示会はほかにないのではと思っています。
現役の技術者だけでなく、技術者・開発者を目指す学生の来場も増えていることを受け、CEATECの「JEITA半導体フォーラム」では「半導体業界人生ゲーム」という体験展示が定番として定着しつつある。その名が示す通り、人気ボードゲーム「人生ゲーム」のタカラトミーとコラボしたものだ。CEATEC 2025では「黒ひげ危機一発」を模した「半導体産業人生占い」も登場した
国内のオープンイノベーションを後押しする場を作りたい
——続いての質問になります。この先1~3年ぐらいの間にお考えの、新しい取り組みについてお聞かせください。
鹿野氏:近年、CEATECでの出展の切り口に、変化が起きていると感じます。先ほどのスローガン「共創」とも関連しますが、かつて、2000年頃の製品開発は力のあるメーカー1社の中で完結していたのが、最近では他社と共創したり、ユニークな技術を持つスタートアップを取り込んだりしたプロダクトが増えています。
いわゆる「オープンイノベーション」が進んでいるということですが、これは、デジタル家電のようなデバイスでは、必要になる技術やノウハウの範囲が従来よりも広くなる、ということなんですね。オープンイノベーションの分野で、日本企業が海外に遅れを取らないためにも、このような動きを、CEATECではさらに後押ししていきたいですね。
今年(CEATEC 2026)は「Transformation」をテーマに、会場中央に象徴的な場として「X(Transformation)パーク」というエリアを設けています。ここでは、企業AがB、C、Dと一緒になって作り上げたものを展示するような、共同出展による展示が行われます。
この先1~3年の新しいことと考えると、この「X(Transformation)パーク」のような、新しい形態での展示を募っていくことに、最も注力していきたいと考えています。ネットワーキングイベントなども、さらに企画していきたいですね。
出展が増えるスタートアップに、より高い価値を提供したい
鹿野氏:CEATECで近年起きているもう1つの変化に、スタートアップ企業の出展数が顕著に増えていることがあります。ここ5年ほどは順調に伸びていて、昨年は大学の研究室を含め、200を超える出展がありました。今年だと「ネクストジェネレーションパーク」と呼んでいますが、スタートアップ向けに比較的低コストで出展できるエリアを設けています。
こうしたスタートアップに対しては、先述した「共創」のきっかけを作る場としていただくだけでなく、投資家を会場に呼び込んで、投資が決まる場にもなるようにしたいと考えています。
また、最近では、事業会社が投資をしながらスタートアップを育てていくという、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)と呼ばれる取り組みも増えています。
そうなると、わが社はこういう技術を探していて、一緒にやっていきたい、といった提案をスタートアップに向けて行う場が欲しくなるわけですが、従来のピッチイベント(スタートアップが自社の技術などをアピールするショートプレゼンの場)とは反対の「リバースピッチ」と呼ばれる、企業が求めるものをスタートアップに対して提案する場を、これから3年間で強化していきたいと考えています。
参加者の皆さんが「なぜCEATECに行くのか?」と考えるとき、ほかの展示会で一堂に会するのは難しい、いろいろな産業の方がCEATECにはいらしていて、それまで会えなかった人と会える場がCEATECだから、と考えていただきたい。そうした期待に応えられる場を提供することが、私たちにとって、この先3年間の課題だと思っています。
CEATECを通じて日本の産業・市場の魅力を海外に発信する必要
——続いて、さらに先の5~10年後に予想される環境の変化と、それについて考えていらっしゃる対応について、お聞かせください。
鹿野氏:今も直面している課題の1つに、「CEATECは日本のドメスティックな展示会である」ということがあります。昨年は800以上の出展、約10万人の来場者という規模でしたが、海外からの来場者の割合は非常に少ない。10万人のうち、1000~2000人ぐらいです。
その原因の1つが、海外から見た日本の市場に対する魅力が向上していないことです。外国人や外国の企業が、他国の展示会に参加する理由は、極言すれば「その国の市場に魅力があるから」です。「共創」の場としてここまで浸透してきてはいても、海外とのコネクションは物足りない。
JEITAは半導体や電子部品を含むIT・エレクトロニクス産業の団体ですから、そのJEITAが主催するCEATECで、日本の産業、日本の市場の魅力を、より一層発信していきたいですね。
インターネットによって時差を意識せずコミュニケーションできる時代ですから、シームレスに海外ともつながって共創の機会を作ったりしていければと考えています。そうなるためには、海外の人たちにもっと魅力を伝えていくため、もっとコミュニケーション能力を上げていかなければならない、特に海外から出展していただくためには、まず日本の魅力をもっと発信していかなければなりません。
30年後には「展示会」はなくなる!?
鹿野氏:次の質問として30年後の話題を用意していただいていますが、私が極論として考えているのは、30年後には「展示会」というものはなくなっているんじゃないか? ということです。
それくらいの頃になれば、おそらくどこかの会場に集まらなくても、別々の場所でリアルに新しい製品や技術を見て、実際に触ったのと同じような感覚も得られるのではないでしょうか。現代はまだそこまでの技術がないのでリアル会場が大切ですが、30年後には、展示会が持つ強みはなくなるのではないかと思いつつ、そういう方向に技術が進化するとき、15年後ぐらいにはどうなるのか? といったことに、考えを巡らせています。
今はAIが登場していますが、こうした新しい技術をうまく活用することで、理想的なバーチャルの世界も実現できるのではないかと思います。今はまだうまくできていない、バーチャル展示会のようなものが、もっと「本物」に近づいていくという期待はあります。
私たちが主催しているのはCEATECという1つの展示会ですが、先に述べたように、展示会の魅力とは、その国の市場の魅力を期待させるものでもあります。そうした意味で、JEITAという団体が、日本の市場が今後どうなっていくのか方向性を示す羅針盤にならなければいけないと考えています。
さらに言えば、日本の産業界はどうなっていくのか、どっちに向かうのかということも、根本的な課題ではあります。ご存知の通り、JEITAに加盟する企業の周辺は変化が激しいですから、どこに向かっていくか見極めなければいけませんし、展示会が実態のないイメージを作ることはできません。たとえば、私の出身はソニーですが、私がいた時のソニーと今のソニーは、まったく違う会社ですからね。
全国の展示会をつないで、そのコアとしてのCEATECに?
——30年後の見通しまでお話しいただきましたが、ここまで、社会も産業も複雑化していく中、それに対応していく鍵となる「共創」というスローガンを見つけ出して今がある、というお話と理解して、エレクトロニクス/IT業界の歴史としても興味深く伺いました。
その上で、10年後、15年後も「共創」が鍵となり続けるかは分からないし、展示会という形式自体が必要なくなるかもしれない、ということですね。この先の新しい可能性として、見えているものはあるでしょうか?
鹿野氏:先日、静岡で「TECH BEAT Shizuoka」という展示会に参加しました。その内容は地方創生イベントの鑑のようなもので、CEATECとも連携できそうに感じました。
同じようなイベントはほかの地方でも行われています。1つの夢としては、地方で活発に活動している展示会とCEATECがつながり、ネットワーク化することで、気がつくと日本中でやっている、という形にできるのではないかと思っています。物理的に一緒の場所でやらなくても、今の技術を使えば、全国でつながったイベントは実現できるんですよ。これから5年10年で、さらに技術が進化すれば、より現実的になるものと思います。
地方の産業界や金融機関も、それぞれ地域を盛り上げようと取り組んでいます。実はこの3年ほどをかけて、地方創生やデジタル田園都市構想として、自治体との連携にずっと取り組んできました。もしかすると、全国の展示会のコアとしてのCEATEC、といった位置づけも考えられるのかなと思っています。
静岡県内の事業者と首都圏などのスタートアップ企業の出会い、地域スタートアップの育成、オープンイノベーションの推進などを目指し、静岡経済の未来を紡ぐ試みとして開催されるビジネスマッチングイベント。静岡県や県内の銀行、産業・経済団体などが参加して2019年より開催されている
TECH BEAT Shizuoka
——最近だとワット・ビット連携の動きなどもあって、地方発の取り組みが活発になっているように思えます。
鹿野氏:CEATECは現在幕張メッセで行っていますが、本当は全国をまたいで開催したいくらいなのです。
かつての展示で、大分県にある釣り堀の魚を幕張メッセからバーチャルで釣り上げる、というものがありました。それは2020年以前のことでしたが、最新の技術を用いれば、さらに磨きのかかった体験として提供できると思うんです。
例えば、地方の先進的な工場の中をブースにいながらリアルに見学できるとか。そうしたことが実現すると、私の感覚としてはもう「展示会」ではなくなってしまうなと思うのです。
CEATEC 2019に初出展したANAホールディングス株式会社の展示の1つで、大分県の釣り堀に設置されたアバターロボットを幕張メッセの会場から操作して釣り体験ができた。当時のレポートでは「大分の釣り場とつながっているので、現地の天候が悪い場合などは、体験できない場合もある」との説明もされている。
——そうなると、今展示会に期待されている人々の「納得」や「満足」といったものが、どのように生じるのかと問い直すことにもなるかもしれませんね。2026年現在では、まだ幕張メッセに集まる価値が大きい。でも、今後新しい技術が登場することで、展示会に劇的な変化が訪れるかもしれない、と。
鹿野氏:新しい技術を、技術そのものとして見せるのでなく、「技術で社会や生活がどう変わるのか」を提示して、皆で語れる場にしていきたいというのは、CEATECがまさに目指すことです。それを展示会の変化としてお見せすることになるかもしれません。
JEITAはコンテンツやエンターテインメントの展示会である「Inter BEE」も主催しているのですが、エンターテインメントの世界がどんどん拡大し、その中でさまざまな意味でのDXも起きています。
Inter BEEに限らずCEATECにも、エンターテインメントの要素をもっと取り入れていきたいと考えています。新しい切り口というか、産業の一角としてエンターテインメントビジネスを取り込みたいと思っています。
まだ自分の中の、ちょっとしたアイデアの段階ですが、今年はコンファレンスのセッションとして、その要素を入れ込もうと考えています。もしうまく反響が得られれば、次年度以降へも拡大していきたいですね。やはり、どんどん新しい要素を取り入れていかなければいけません。
——ありがとうございました。









