被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
高級ウイスキーをフリマアプリで買ったらなんか味が違う
2018年8月31日 06:00
2014年にNHKドラマ「マッサン」が放送されてから、国産ウイスキーの人気は加熱する一方。高級ラインアップはどんどんプレミアが付いています。例えば、「山崎50年」は香港のオークションで3250万円で落札されています。同じくサントリーの高級ブレンデッドウイスキー「響30年」も値が上がっています。元は希望小売価格が12万5000円と、なんとか手が届く価格でした。筆者が経営する飲食店でも取り扱ったことがあり、そのときは1杯6500円でお出ししていました。しかし、現在はプレミアム価格で40~50万円で取引されるようになっています。確かに、最高に美味しいですが、ちょっと手が出せる価格ではありませんね。
あるとき、フリマアプリの「メルカリ」に響30年が4回に分けて、計5本出品されました。なんと、価格は19~20万円と、希望小売価格よりは高いですが、格安です。転売するだけでも利益が出そうな価格。即売れたようですが、これは出品詐欺でした。落札者に偽物を送り付け、詐欺と商標法違反の疑いで、20代の男性2人が逮捕されました。5本の代金合計99万円をだまし取った疑いです。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
実は、この手の詐欺はよくあります。1本数十万円するウイスキーやブランデーは出品詐欺がしやすいのです。なぜなら、空瓶が売っているからです。フリマアプリでもオークションサイトでも高級酒の空瓶は数万円で取引されています。ここまで高級だと購入者は瓶を大切に扱いますし、箱などもすごい作りなので綺麗に取っておくので、新品同様です。中に似たようなお酒を入れておけば、ばれにくいのです。そもそも、ここまで高いお酒だと、購入してすぐに飲まず、しばらく飾っておく人も多いのではないでしょうか。さらに、元のお酒を飲んだ経験がなければ、実際に飲んでも「こんなものかな?」と納得してしまうことでしょう。
結局、これも激安で商品が欲しいため、正規ルート以外で購入しようとした欲望を突かれたネット詐欺です。ありえないほど安いことはありえない、と肝に銘じ、ここまでの高級品であればなおさら正規ルートで買いたいところです。お酒は口に入れるものなので、購入する際は一般的な商品よりも慎重になりましょう。また、フリマやオークションで手に入れた商品は、届いてすぐに品物に問題がないか厳重にチェックする必要があります。時間が経ってからでは対処できなくなってしまうためです。
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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。