被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
ネット詐欺の中で件数が多いのはワンクリック詐欺と不当請求詐欺
2018年8月17日 06:00
ソフトバンクのグループ会社であるBBソフトサービス株式会社は、毎月、「インターネット詐欺リポート」というレポートを公開している。同社が提供している日本人向けの詐欺サイトブロックサービス「Internet Sagiwall(インターネット サギウォール)」で検知・収集された情報を分析しているのだ。2018年7月31日にも、6月度のレポートが出た。今回は、どんなネット詐欺がどのくらい蔓延しているかをチェックしてみよう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
6月の詐欺サイト検知数は136万9131回。あくまでも同社製品が検知した回数なので、氷山のごくごく一角なのにこの回数となっている。どれだけ詐欺サイトが広がっているのかが分かることだろう。この中で、ワンクリック詐欺や不当請求詐欺サイトが85.7%を占める(本連載2018年4月27日付記事「ウェブサイトを閲覧していたらいきなり請求画面が開いた!」を参照)。
ワンクリック・不当請求詐欺サイトの内訳としては、Windowsをターゲットにしたサイトが65.61%、iOSターゲットが89.94%、Androidターゲットが94.04%となっている。
フィッシング詐欺サイトは8.92%と、比率はそこまで高くない。内訳としては、Windowsターゲットがダントツで、iOS、Androidと続く。マルウェア(悪意のあるプログラム)感染サイトは全体の0.05%と少なく、こちらはほとんどがWindowsターゲット。スマホでウェブサイトを表示し、いきなり感染すると言うことはほぼないことが分かる。
ボーガスウェアの配布サイトは4.98%。ボーガスウェアとは、本連載2018年5月11日付記事「システムが壊れているのでソフトをインストールするようにと表示された!」で紹介したように、偽のセキュリティソフトなどをインストールさせる手口のこと。こちらも、Windowsターゲットがダントツ。
脆弱性悪用サイトは0.35%。マルウェア感染サイトとほぼ同じで、ウェブサイトを開いただけでマルウェアにやられてしまう可能性がある。ただし、こちらはシステムの脆弱性を利用し、通常のウェブサイトを攻撃し、改ざんしているので見破るのが難しいのが難点だ。
これらのデータから見ると、防御策としては、ワンクリック・不当請求詐欺サイトへの対応をチェックしておくと効果が高そう。いきなり、「会員登録されました!」とか「利用料金が支払われていません!」と表示されてもあせらず、無視するようにしたい。支払わなくても、連絡を取ってしまうと個人情報が盗られて面倒なことになってしまうので要注意。
とはいえ、それ以外の詐欺の比率が少ないとはいえ、被害に遭ったら大変だ。マルウェアに関しては、OSのセキュリティ機能をきちんと有効にしていればほぼ問題なし。ボーガスウェアは、本連載でも取り上げているように、インストールしないことが重要。万一のときでも、セキュリティ機能が防御してくれる可能性は高い。フィッシング詐欺の場合は、本連載2018年7月20日付記事「楽天から不正ログインされたというメールが届いた」で紹介したように、メールやSMSで来たリンクはそのまま開かず、自分で検索してアクセスすれば防げる。もちろん、OSやブラウザーのセキュリティ機能によりシャットアウトしてくれることもある。
やはり、OSやブラウザーを常に最新の状態に更新しておき、セキュリティ機能をきちんとオンにしておくことが重要。あとは基本的な心得だけでほとんどのネット詐欺を防御できる。ちょっと自信がないという人なら、このレポートの発行元が販売している「インターネット サギウォール for マルチデバイス」を購入する手もある。月額324円(税込)で、Windows/Android/iOSデバイスの合計3台まで利用できる。
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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。