被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
Amazonに登録しているカードの期限が切れたので更新メールが来た
2019年1月11日 06:00
先日、「再度Amazonのアカウントの情報を入力して下さい」というメールが来ました。差出人の名前は「Amazon Alert」で、メールを開くとAmazonのロゴも表示されています。カードが期限切れになったか、請求先住所が変更された、などの理由でアカウントの検証が必要とのことです。中程に、「アカウント検証」というリンクがあるので、とりあえず開いてみました。当然、Amazonジャパンのログイン画面が開きます。
メールアドレスとパスワードを入力すると、「アカウントが一時的に無効に」と表示され、氏名と住所、電話番号を求められました。元からAmazonに登録している情報なのですから普通に入力すると、次はクレジットカードの情報を求められました。期限が切れているとのことだったので、新しいカードの情報を入力します。すると、「修復が完了しました」と表示され「閉じる」ボタンをタップすると、Amazonアプリが起動し、無事にログインできました。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
後日、Amazonに不正アクセスされ、クレジットカードに身に覚えがない請求が届きます。これは、フィッシング詐欺と呼ばれるタイプのネット詐欺になります。
商品を購入すると足が付きやすいので、デジタルコンテンツを購入される傾向にあります。AmazonコインやAmazonギフト券を不正利用され、10万円単位で使い込まれることもあります。氏名や住所、電話番号に加え、クレジットカード情報とAmazonアカウントという個人情報はとても高い値段で取引されます。
Amazonはたとえ本人でも、クレジットカードの情報は見えないようになっています。しかし、不正利用が確認されれば、何週間にもわたる調査とやりとりの上、結局、クレジットカードを再発行する可能性が高くなります。ネット詐欺だと分かれば補償してくれるカード会社が多いですが、必ずしも全額とは限りません。また、過去60日間の不正利用までと期間が決まっているケースもあります。
この被害を回避するポイントは2つあります。
まず、そもそものメールを見破ることです。幸いなことに、犯人の日本語レベルがとても低いです。「Amazonをご利用いただきありがとうございますが」や「アマゾンアカウントで何ができるか的を絞って下さい」といった文章が書いてあります。「Amazonアカウント」と「アマゾンアカウント」と同じ単語の表記がぶれているのも分かりやすいポイントです。
差出人のメールアドレスが、とても長いこともヒントになります。「xxxxx-xxxxx-support-amazon.com」のようなドメインになっています。文字列の最後を「amazon.com」にして誤認させようとしているのです。ウェブサイトのドメインも同じで、偽装しています。今回は、「Webサイトは安全ではありません」と警告してくれています。このメッセージが出るからといって必ず詐欺サイトとは限らないのですが、警戒はしたほうがよいでしょう。
怪しいと感じたら無視することが重要です。何かアクションする際は、自分でGoogle検索して、本家のウェブサイトからログインすることを心がけておくことをお勧めします。
2つ目がクレジットカードの利用履歴を確認することです。すぐに不正利用されていることに気が付けば、被害が広がる前に対処できますし、補償も受けられます。とはいえ、最近は紙で取り寄せると有料なので、ウェブ履歴に切り替えている人も多いでしょう。普段から気にすると言うだけでできれば苦労はありません。そこで、カードの引き落とし日の数日前に、利用しているカレンダーアプリに「カード履歴チェック」という予定を入れてしまいましょう。「繰り返し」機能で、今後ずっと毎月第○水曜日とかに予定を入れてしまうのです。これで、見逃さずに済みます。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。